遠軽町の「音楽ホール」開館に向けた動き

遠軽町民が、待ちに待った「音楽ホール」の8月開館が間近になってきた。そのような中、今日の朝にオホーツク管内の友人から本日付けの「北海道新聞」が送付されてきた。

〈風街だよりー吹奏楽のマチ 待望のホール〉

曲が終わり、管楽器がやんだ。大ホール内は一瞬、水を打ったように静まりかえった後、万雷の拍手が鳴り響いた。

8月26日オープンを目指して準備中のオホーツク管内遠軽町芸術文化交流プラザ(愛称・メトロプラザ)で今月13日に開かれ音響測定会。舞台で演奏したのは、全国コンクール常連と知られる遠軽高校吹奏楽局の70人だ。生徒や観客の関係者は「こんなに音響が良いなんて」と絶賛。音漏れなどをチェックした職員は「ホール外では音が全然聞こえない」と驚いた。

待望の施設だが、ここまでの道のりは長かった。「文化センター建設の資金に」と、4町村合併前の旧遠軽町に寄付が集まり始めたのは1978年頃にさかのぼる。91年には、町の第2次総合計画に「文化活動の拠点となる文化センターなどの建設を推進します」と明記された。遠軽開拓100年に当たる97年開設の見通しになったが、当時の町長が先送りを表明した。

2010年に入り、町民らでつくる「考える会」が発足。建設地も複数の候補が挙がり、議論の末、JR遠軽駅近くの病院跡とその周辺に決まった。19年度に着工したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で工期が延び、1年遅れて今年2月末にようやく完成した。

公募した愛称はメトロノームなどに由来する。地上4階地下1階、延べ床面積7347平方㍍。メインとなる約600席の大ホールは、特に吹奏楽の演奏に適した設計で、残響時間を調整する可変装置も取り付けた。

遠軽は、小中高の吹奏楽が全国レベルを誇る「吹奏楽のマチ」。だが、練習・演奏場所に恵まれているとはいいがたい。遠軽吹奏楽局は町総合体育館で定期演奏会を開いてきたが、そのたびに、局員らが箱などを並べて簡易ステージを作り、学校から楽器を運び込んでいた。メトロプラザには大型楽器が備え付けとなるなど、さまざまな労苦から解放される。

同局で指導にあたる高橋利明教諭は「いろんな面でマチの中心になっていくと思う」と、新しい「ホームグランド」に期待を寄せる。「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインで知られる遠軽出身の漫画家安彦良和さんの絵もホワイエに飾られる予定。会合やサークル活動にも幅広く利用されそうだ。

記事にある「音響測定会」(3月13日)の状況は、3月15日付け「北海道新聞」(オホーツク版)で報道されている。

〈新ホール響きやわらかー遠軽高生が演奏〉

遠軽】町芸術文化交流プラザ・メトロプラザ(岩見通南1)で13日、「音響測定会」が開かれた。遠軽吹奏楽局が大ホールで10曲を演奏し、保護者や関係者ら約200人が音色を確かめた。

メトロプラザは当初、昨年夏の開業を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年延びた。プラザが活動拠点になるはずだった吹奏楽局の3年生に最後に演奏を体験してもらおうという町の配慮もあった。

真新しいステージで1〜3年生約70人が「ふるさと」「東京ブギウギ」などを披露。客席の関係者らは、木を生かした内装や最新設計の反響板によるやわらかな音色に感動した様子だった。山崎誠校長は「響きがすてき。このホールと一緒に、吹奏楽局も成長していくと思います」と笑顔だった。

館内各所で音漏れがあるかなども確認したが、職員は「驚くほど静かで、大ホールの使用中も他の活動に支障はなさそう」と話していた。

プラザは8月26日開館予定。建物は2月末に完成している。今後は大型楽器などの備品搬入や駐車場整備を急ぐ。

さらに日付を遡って、3月11日の遠軽町ホームページを紹介する。

〈道内の町村では初めて〜芸術文化交流プラザでピアノ寄贈式〉

3月8日、芸術文化交流プラザ「メトロプラザ」で、ピアノの寄贈式が行われました。

   これは、メトロプラザ完成時の念願であったヤマハ製コンサートグランドピアノ「CFX」を導入したもので、株式会社渡辺組(渡辺勇喜社長)の多額の寄附により実現したものです。

   このピアノは、北見木材株式会社(西原英基社長)で加工された響板などの部品が使用され、ピアノの選定にはプロピアニストの清塚真也氏が関わり、道内の町村では初めて導入されました。

寄贈式には、佐々木修一遠軽町長、河原英男教育長、株式会社渡辺組の渡辺博行会長、渡辺勇喜社長、北見木材株式会社の西原英基社長などが参加し、CFXのお御披露目が行われました。

渡辺会長は「遠軽町吹奏楽の町で、昔から音楽に親しまれた町であり、北海道家庭学校では、117年前に寄贈されたピアノが今もなお奏でられております。このピアノを町をあげて大事に大事に100年以上見守っていただければありがたいと思います」と述べると、佐々木町長からは「メトロプラザの利用価値に大きく弾みがつき、このピアノでたくさんの有名なプレーヤーがここで音色を奏でてくれるだろうと期待しております。渡辺組様のご寄附に心から感謝を申し上げます」とお礼の言葉を述べていました。

というわけで、日付を遡って「音楽ホール」オープンに向けた動きを紹介したが、何となく町内が喜びに溢れている感じを受けませんか。それもそうで、今後の人口減少を考えると、当分の間これだけ高級な公共施設を建設することは考えられないからだ。

そこで、地元の後輩に「高価なピアノの導入に対して、渡辺組は一千万円くらい寄附したのですか」と尋ねたところ、後輩は「いや、三千万円くらい出したようだ。ピアノも、北海道内には2台(その後、札幌市の文化芸術劇場「hitаru」と「ふきのとうホール」と判明)しかないような高級ピアノと聴いている」という返事であった。これだけ素晴らしいピアノを備えていれば、いずれ有名なピアニストの演奏もあるかもしれない。

そういえば3月21日(月)にNHKBS1スペシャルで、「旭川商業高校吹奏楽部」の顧問・佐藤淳教諭(1992年に就任し、全日本吹奏楽コンクールに5回出場、2回金賞)が、今年度で定年を迎えることで制作された番組が放映(約50分)された。その佐藤教諭は、遠軽高校吹奏楽局のブログに「凄い音楽ホールができましたね」と打ち込んでいたが、確か同教諭は音楽大学のピアノ科を卒業していると記憶しているが、間違いならすみません。

いずれにしても、遠軽高校吹奏楽局が素晴らしい施設を利用して、今まで以上に活躍してほしいものだ。しかしながら、学業を疎かにして、練習のし過ぎにはならないように願いたい。というのは、2018年(平成30年)12月に全国屈指の強豪校である柏市立柏高校の吹奏楽部に所属する2年生の男子生徒が、校舎屋上から飛び降り自殺する事件が起き、その背景を調べるために柏市教育委員会は第三者委員会を設置した。その調査報告書が3月25日に公表されたが、その中で自殺の直接的な原因は特定できなかったとしたが、部活動の長時間練習や過密スケジュールが背景にあると認定した。

吹奏楽部の練習時間は、平日4~5時間半、休日は11時間、月192時間30分に及び、国や県教委が示したガイドライン平日2時間、休日3時間をはるかに上回る。授業時間を合わせた時間は346時間30分で、過労死ラインとされる月総労働時間240時間を100時間も上回る。ー

吾輩は毎年7月末開催の「柏まつり」で、同校吹奏楽部(毎年約70人が入部)の素晴らしい演奏を聴いていたので、非常に残念な気持ちでいっぱいである。つまり、あの見事な演奏の裏で、異常に長い練習時間があることを考えると、何ともいえない気分になるからだ。

最後に、主旨から外れたネガティブな文章を作成したことをお許して下さい。