白滝産のジャガイモを知っていますか

本日(2月23日)の早朝、オホーツク管内の友人から同日付けの「日本農業新聞」の記事がファクスで送られてきた。その中身は「過疎高齢化、農業の疲弊、担い手不足ーー。課題が多く指摘される北海道の農業・農村地帯。だが、農山村再生への小さな取り組みを積み重ね、活気づく地域がある。日本農業新聞北海道版長期キャンペーン『つなぐ 歴史を未来へ』の最終章・第11部『農山村再生へ』では、危機にめげずに長い時間をかけて再生の道を歩んできた道内各地の兆しを追う。」という文面に続いて、次のように記述されていた。

〈移住者を呼ぶ好循環〉

オホーツク管内遠軽町旧白滝村(白滝地区)。20年間で人口は半減し、530人になった。数字だけで見ると過疎高齢化が進み、先行きが見通せない地区のように思える。

しかし、人は減っても、地域は移住者を呼び、活気が芽生え、好循環が育まれているーー。核となるのは地域の農家たち。農家数は20戸と長年減っていない。農家が、専業農家だけではなく、ファンも含めて関係する人々を受け入れ、育み、連携の輪を広げている。

「白滝地区の人々は外部の人を受け入れ、共に楽しみ地域をつくろうという風土がある。私も早々に溶け込めた」

2000年、神奈川県横須賀市から夫と共に移住した農家の大久保真由美さん(54)が笑顔で語る。現在、長男の賢さん(22)と52㌶の畑作を営む。

真由美さんは02年、JAえんゆう白滝じゃが生産部会加工班のメンバーと「おいしいジャガイモを『白滝じゃ』としてブランド化し、その名を残したい」と一念発起。現在も続く、創作料理コンテスト「じゃがリンピック」を企画するなど、地域を盛り上げる一員だ。真由美さんの新しいアイデアを地区の農家たちは歓迎し、協力してきた。

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多くの若い移住者たちを受け入れてきた同地区。19年に大阪市から友人の東郷理さん(43)と共に家族で移住した、元旅行会社勤務の杉山大輔さん(43)もその一人だ。農業実習を経て21年に、東郷さんが「合同会社北大雪ファーム」を設立。現在、農地51㌶を引き受け畑作営農を始めた。

昨年6月、杉山さんの妻・知恵さん(43)は、地域の拠点として、仕事と観光を兼ねた都市住民らを呼び込もうと、滞在ができるワーケーション施設「自家焙煎珈琲と森のお宿・森の暮らし」をオープンした。

大輔さんは「農産物と自然が豊かなところに、ぽつんと立つ施設。都市住民が求める環境を想定して設計した。来店者を呼び込み、地域住民との交流も含め、地域振興につなげたい」と見据える。地区全体の応援を受け、経営移譲希望者と第三者継承で新規就農希望者のマッチングが順調に進んでいることが、同地区に若者が定着する鍵の一つという。

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同地区の雰囲気を気に入った新規参入者が“キーマン"となり、移住者や町のファンが増え、新たな展開が次々と見えている。同地区では、農家個人で経営の規模拡大をさせるのではなく、農家たちが連携し、地域の仲間とジャガイモの収穫などの共同作業を増やし、機械投資を少なくする動きも進んでいるという。JA白滝支所の石川鉄也支所長は「高原に位置し、春開けが遅く、秋が早い厳しい環境だが、移住者が来て、活気が芽生えている」と感じる。

さらに今春から地元の農業者と企業が農業生産法人を立ち上げ、離農者から農地35㌶を引き受け営農を始める予定だ。こうした新たな機運に、石川支所長は「1戸当たりの耕作面積が多いことも魅力の一つ。新規参入者の好影響を住民も農家も受けている。移住者と地域住民との交流も深まり、活性化が進んでいる」と喜んでいる。同町では、他の地区でも、移住者が増えるなど波及効果が生まれている。

もう15年も昔、全国の旨い食材を宿泊施設などに売り込む業者(新潟県の人)と、栃木県宇都宮市で知り合ったことがある。その際、吾輩が遠軽高校出身者というと、その業者は「白滝のジャガイモは、日本一美味しいですね。だから、売り込む食材の中に白滝のジャガイモも入っています」というのだ。さらに吾輩が「白滝に行ったことがあるのですか」と尋ねると、業者は「当然、行ったことはあります。白滝のジャガイモが美味しいのは、標高が高いので昼夜の寒暖差が大きいこと。他に石が多い畑であるので、水はけが良いこともあると思う」などと説明した。そういうことで、その当時から「白滝のジャガイモ」は、知る人は知る有名な産品であった。

また、記事の中で「じゃがリンピック」のことが記述されているが、昨日(2月22日)の遠軽町のホームページに、「おいしいレシピが集まりました〜第18回じゃがリンピック」という見出しで、応募総数26品の中から選ばれた創作料理が紹介されている。さらに、記事の中で宿泊施設「森の暮らし」が記述されているが、これは1月23日に書いたブログ「遠軽町を紹介するテレビ、新聞、新刊」の中で紹介しているものだ。

ところで、遠軽町白滝産の黒曜石が国宝に指定されることは昨年11月に書いたが、当然のことに今後白滝に多くの観光客が訪れることが予想される。それを考えると、黒曜石を展示している「遠軽町埋葬文化財センター」の近くに、白滝産のジャガイモを食べさせる“お食事処"があっても良いのではないか。余計なことかもしれないが、高校1年生の時にしか居住したことがないものの、加速度的に人口が減少することを食い止めるために提案してみました。