遠軽高校野球部に新1年生37 人が入部

4月27日の早朝に、オホーツク管内の友人から同日付けの「北海道新聞」(オホーツク版)が送付されてきた。記事の内容は「遠軽高校野球部に新1年生37人が入部し、総勢77人の体制に」というものであった。

遠軽高野球部 最多77人の大所帯ー環境充実、SNS効果も〉

遠軽遠軽高(生徒数495人)の野球部に今春、新1年生37人(うちマネジャー3人)が入部し、3学年合わせた部員数は過去最多の77人(同6人)となった。下宿や練習環境の充実、進路支援の手厚さなどに加え、昨年始めた交流サイト(SNS)による広報活動も実を結んでいる。札幌圏の私立校にも劣らないオホーツク管内最多の大所帯となったチームは今夏、2013年春以来の甲子園大会出場を目指す。

1年生選手で町内出身者は3人。それ以外はオホーツク管内が10人、札幌や釧路、函館などの管外は21人を数える。全道中学軟式野球で優勝・準優勝の経験者や、道選抜メンバーなど実績十分な選手が多数入部。阿波克典監督は「(軟式の)管内トップ選手らが遠軽を選んでくれた。それに呼応して札幌圏などの軟式野球出身者も志高く集まった」と大量入部の内実を明かす。

町は15年度から親元を離れて入学した生徒への助成制度を続けるほか、町内企業も下宿や寮の整備などで積極的に協力してきた。21年に完成した野球部の専用寮には、コーチを務める20代教員が管理人兼「選手の兄貴分」として同居し、部活動引退後の進路サポートなどと合わせ、同校進学を考える中学生や保護者の不安払拭にも一役買っている。

昨春開設したツイッターやインスタグラム、ティックトックなどのSNS効果も大きい。練習風景や卒業生の活躍、外部コーチによる技術指導の様子などを連日発言し、他校にない特色をPR。昨年までの部員数も60人前後と比較的多かったが、地道な取り組みがさらなる上積みを生んだ。

5月の春季大会のの登録メンバー(25人)には、すでに1年生6人が名を連ねる。選手間の競争も激化しており、3年の佐藤駿主将は「『日進月歩』のチームスローガンの下、毎日成長が感じられる。春の大会を制し、夏の甲子園出場まで駆け抜けたい」と意気込む。

4月4日に、題名「遠軽高校入学者の実態」という文章を作成した際、遠軽高校の通学区域外からの出願者54人のうち、「吹奏楽が25人、野球が10人、ラグビーが5人、学業が14人」と入学目的を推定した。ところが、推定数は多少外れて、野球部が最も多かったようだ。

それにしても、北海道の辺境地域・オホーツク管内の道立高校に、団体競技の中で最も人気がある野球部に、これだけ入部数が多いことは、ある面で驚きと言える。しかしながら、喜んでばかりいられない。なぜなら、選手34人のうち町内出身者が3人で、町の助成事業がなければ31人は入学することもなく、数年後には単独チームが編成できない可能性が出ていた。さらに、急速な少子高齢化に直面している中で、今年の新入生が173人であることを考えると、近い将来に現在の5クラスは維持できず、4クラスどころか、3クラスまで減ることが考えられた。

さて、野球部の実力の程は、この20年ほどはオホーツク管内ではナンバーワンのチームであったが、北北海道大会を勝ち抜く実力はなかった。つまり、他地区のクラーク記念国際高(空知地区)、白樺学園(十勝地区)、旭川実業(旭川地区)という実力校を破れない現実があった。そういう現実を考えると、来年と再来年当たりは、非常に面白いことになるかもしれない。

ついでに、遠軽高校吹奏楽部のことも書きたい。ネットを見ていたら、プロの「シエナ・ウインド・オーケストラ」の団員(遠軽高校卒業)が、クラリネット四重奏のメンバーと一緒に演奏して「素晴らしい演奏だ」との感想を書いていた。このクラリネット4人組は、この3月開催(開催地・山形市)の「第45回全日本アンサンブルコンテスト」で、創部以来3度目の“金賞"に輝いた生徒たちである。

そこで、生徒4人の出身中学を調べると、旭川市2人、北見市1人、遠軽町1人であった。やはり、下宿生活しながら遠軽高校に通う生徒は、音楽(吹奏楽)が非常に好きである、隠れた才能がある、根性がある、という側面があると思う。それを考えると、遠軽高校で大いに“大化けしてほしい"と願うものであるが、クラリネットが素晴らしいなら、今年9月開催の「北海道吹奏楽コンクール」が楽しみになってきた。全国大会に行けるのは2校、楽しみに待ちたいと思うし、野球部の活躍も見逃せなくなってきた。