プーチンの世界観と国際政治への戦略

ロシアのウクライナ侵略戦争が始まって、今日で9日目に突入した。その間、プーチン大統領はどのような戦略を追求してウクライナ侵略を始めたのかと考えてきたが、やっぱり今週発売の「ニューズウィーク日本版」(3月8日号)に掲載された、見出し「プーチンウクライナの次に狙う標的」(本誌コラム二スト=グレン・カール〈元CIA工作員〉)が一番参考になった。

では、プーチンはどのような戦略を追求しているのか。その戦略は、4つの大きな要素で構成されている。

第1に、プーチンは国際関係をゼロサムゲームと見なしていて、ある国が利益を得るためにはほかの国が犠牲を払わなくてはならないと考えている。この考え方によれば、互いの利益のために妥協しようと主張する政治指導者は、嘘つきか、愚か者だということになる。

第2に、ロシアの影響力圏を西方に拡大させたいと考えている。この一帯に位置する国々は、1991年にソ連が崩壊するまではロシアの支配下にあった。

第3に、NATOの弱体化を一貫して目指してきた。NATOはロシアの存在を危機にさらす脅威であり、アメリカがヨーロッパを牛耳る口実だと考えているためだ。プーチンの頭の中では、ヨーロッパの旧共産圏諸国で2000年代に相次いだ「カラー革命」も、2011年にロシア下院選への抗議から起きた反政府運動も、プーチン体制打倒を狙う米CIAの策謀ということになっている。

それに対抗するために、プーチンはロシアの情報機関を動かして、NATO諸国の選挙を混乱させることを目的に大々的な秘密工作を行ってきた。加えて、米欧の間にくさびを打ち込むことも目指している。

第4に、ロシアを世界の大国の座に復帰させたいと考えている。そのために、ロシアの影響力を世界に拡大させると同時に、アメリカの力をそごうとしてきた。

では今後は、どのような展開が待っているのか。ロシアのウクライナ侵攻により、ロシアとNATOの緊張が大幅に高まることは避けられないが、両者とも戦火を交えることは望んでいない。その点は、双方が繰り返し述べているとおりだ。

そのほか、この記事には次のような記述もある。

ウクライナ全体主義国家ロシアの傀儡政権に戻るか、ロシアが支配する東半分と政治的に中立の西半分に分割される可能性が高い。

○ロシアの侵攻は憂慮すべき蛮行だが、ウクライナの悲劇は副次的な問題にすぎない。より大きな問題は、プーチンの世界観と国際政治への戦略的アプローチ、そして近い将来の狙いだ。

プーチンが一貫して目指してきたのは、世界3大強国の1つにふさわしい地位をロシアが回復すること。

プーチンは、欧米の個人主義を敵視する哲学の信仰者だ。専門家は、このロシア特有の反欧米的哲学を「ユーラシア主義」と呼ぶ。

○もしプーチンがバルト3国で緊張を高めれば、ロシアとNATOの間の戦争がーー第3次大戦がーー始まる危険性が今以上に高まる。

これまでの文章を読んで、皆さん方はウクライナ戦争が今後、どのように展開すると予測しますか。吾輩は、ロシアがウクライナを制圧できず、ロシアの非人道的な行動が止まず、戦況が泥沼化して長期化するのではないのか、と見ている。そして、その間には「第三次世界大戦」に近づくくらい緊張する場面が出てくるのではないか、と悲観的な見通しを持っている。

ところで、ネットの2月22日付けで、軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏が、

〈今こそ、過去の誤りを認めて未来に向かうべき〉

プーチン政権にもともと1島引き渡しの意思もなかったのだから、交渉継続を最優先してロシア側を忖度し続けてきた日本政府の対ロ外交は、日本の国益を毀損していたことになる。したがって、日本政府がまずすべきは、「2島先行返還を現実的と認識したのは間違った分析だった」ということを認め、誤分析に至った経緯を反省し、本当の国益を考えた対露外交を再構築することである。

いちばん間違った対応は、過去に一切「誤りはなかった」ことにするため、今後もその誤った分析を前提に、誤った外交方針を惰性で続けていくことだろう。誤った分析に基づく外交方針を主導してきた森喜朗元首相や安倍晋三元首相ら自民党の大物議員・OBへの忖度や、外務省の「間違いを認めない原則」を死守するために「国の安全」を毀損することのないよう、関係者に強く求めたい。ー

という文面を発見したが、全く持ってその通りと思う。だが、文面の内容は、あまりにも温厚な内容であるので、多少刺激的に書きたい。

吾輩は以前から森喜朗安倍晋三鈴木宗男(参院議員、日本維新の会)は「北方領土3バカトリオ」と呼んでいた。本来、領土問題というのは、何十年のスパンで待つ覚悟で交渉するものであるが、選りに選って能力に問題がある3人が北方領土問題解決に過度の望みを駆け、プーチン相手に対露外交を行っていたので非常に不安を感じていた。特に安倍は、独裁者・プーチン人間性を見抜けず、へらへら笑って計27回も会って信頼関係を築いてきたというが、これは「人間が軽い」と見られていたからである。嘘というなら、欧米諸国の情報機関員に尋ねれば良い。日本の情報機関関係者でもいいが、はっきりと言わないであろうが…。

今のプーチンは、現在のヒトラーとかスターリンと言われているが、前述の3人は、以前プーチンをどのように批評していたかが、いずれ明らかになるであろう。そして、いかに愚かな人物批評であったかが、明白になるであろう。