吹奏楽×高校野球のコラボレーション

以前からブラバン応援曲には関心を持っていたところ、書店で新刊本「高校野球を100倍楽しむ!ブラバン甲子園大研究」(著者=梅津有希子、文芸春秋)を見つけたので、すぐに購入した。著者は、札幌白石高校時代に「全日本吹奏楽コンクール」に出場し、3年連続で金賞を受賞したという。調べると、札幌白石高校は1986〜88年、90〜94年にそれぞれ金賞を受賞していた。

それでは、さっそく吹奏楽高校野球の関係など、皆さんが参考になる事柄を紹介したい。

○日本の吹奏楽人口は、現役だけでも約100万人、経験者は一説によると1000万人を超える世界有数の吹奏楽国家である。

○日本での吹奏楽の始まりは諸説あるが、1869年(明治2年)に薩摩藩の軍楽伝習生が、横浜に赴任していたイギリス陸軍軍楽隊の隊長であるジョン・ウィリアム・フェントン(1831〜90)から指導を受け始めたのが始まりという説が有力だ。

○有名な応援曲「天理高校のファンファーレ」は同校初代指揮者(1959年)、早稲田大学の応援歌「コンバットマーチ」は同校吹奏楽団員(1965年)、慶応大学の応援歌「ダッシュKEIO」は同校一般学生(1966年)が、それぞれ作曲した。

○2014年夏の甲子園では、どの曲が多く演奏されたのか。1位アフリカン・シンフォニー、2位SEE OFFL、3位エル・クンバンチェロ、サウスポー、紅、6位ルパン三世のテーマ、狙いうち、8位情熱大陸、9位夏祭りであった。

○2007年に発売されたCD「ブラバン!甲子園」、最初のプレスはわずか600枚であったが、最終的には15万枚売れる大ヒットになった。

吹奏楽の指導者の中には、野球応援は「百害あって一利なし」と言う人が結構いる。更に、以前は学校の中でも「ブラバンなんて野球応援の付属品」という程度の扱いしかされなかったが、少しずつ「応援時に全校生徒を牽引するもの」という認識が強くなってきた。

実は我が輩も、遠軽高校吹奏楽部には、多少の思い出がある。もう15年前のことだが、夏休みの旅先で、日本テレビの番組「吹奏楽の旅」を観たところ、遠軽高校吹奏楽部と野球部が取り上げられていた。更に9年前、早期退職して北海道砂川市の「道の駅」を訪ねた際、我が輩が土産品の支払い時に「遠軽高校出身者」と述べたところ、40歳代の女性が「私、遠軽高校吹奏楽が大好きです。この前、遠軽の応援が聴きたくて、高校生の娘と一緒にスタルヒン球場(旭川市)に行きました。北北海道大会の決勝でしたが、遠軽の応援席で応援しました。応援出来るのなら、OBとして遠軽を応援して欲しい」と言った。というわけで、後日、吹奏楽部に新品の楽器を寄付した。

最後に、吹奏楽で一番人気がある楽曲「アフリカン・シンフォニー」について書きたい。この曲は、アフリカの大地に轟く象の雄叫びを、ホルンやトロンボーンで力強く表現した威圧感のある曲ということで、我が輩も大好きな一曲である。そこで、遠軽の女性が「シエナ・ウインド・オーケストラ」に加わっているので、佐渡裕指揮のCD「吹奏楽と合唱の祭典」(3000円)を購入したが、その中の「アフリカン・シンフォニー」が、これまで聴いたこともないほどのすざましい演奏なのだ。我が輩、もう虜になってしまい、既に百回以上聴いている。吹奏楽が好きな人であれば、きっと我が輩と同じように虜になると思う。是非とも、聴いてみて下さい。