遠軽高校吹奏楽局ー全国大会12 年ぶり出場ー

第66回全日本吹奏楽コンクール(高校の部)が10月21日、名古屋国際会議場で開催された。昨日の全国大会には、北海道代表として遠軽高校が12年ぶりに出場(課題曲〈作曲者〉=コンサート・マーチ「虹色の未来へ」〈郷間幹男〉、自由曲=吹奏楽のための協奏曲〈高昌帥〉)するので、我が輩も初の金賞を期待して注目していた。しかしながら、結果は残念ながら銀賞であった。

まず最初は、本日の朝日新聞(全日本吹奏楽連盟と共催)が取り上げくれた記事を紹介する。

ー負けて成長 復活のサウンド 遠軽12年ぶり出場ー

12年ぶりの全国出場を果たした遠軽。負けても顔を上げ、生まれ変わろうとした部員たちの思いの積み重ねが道東の名門を長いトンネルから抜け出させた。

1970年に初出場を果たした遠軽は、今回が9回目の出場だ。2004年から3年連続で全国大会に進んだ。だが、3年連続出場の翌年は出られない当時の決まり「三出休み」が明けた08年に顧問が交代すると、全国大会を逃す。地元中学校で吹奏楽部を率いていた高橋利明教諭(46)が同校吹奏楽局顧問となったのはその翌年だった。「最初に音を聴いた瞬間、がたがたになっているのがわかりました」

かつて90人以上いた部員は60人前後に。新入部員が減り、辞めていく部員も少なくなかった。就任後にも全日本マーチングコンテストへは3年連続で出場。道吹奏楽コンクールでも金賞は取っていたが、全国出場には届かなかった。

「あのころとは違うバンドなのだから、みんなで新しい遠軽を作ろう」。4年目からは、一方的に教え込むのではなく、一緒に学び、音楽をつくるスタイルに変えた。道大会が終わるたびに話し合い、練習の仕方や音楽のつくり方を少しずつ進化させてきた。

昨年の道大会後は徹底的に基礎を見直した。「音の色を増やしたくて基礎練習を大切にしてきました」(河端彩海部長)

自由曲は、多彩な音が求められる「協奏曲」。ついに全国大会行きの切符を取り戻した。「何かを劇的に変えたわけではなく、負けて成長することを積み重ねた結果です」と高橋教諭。名古屋国際会議場に、歴代の部員たちと作り上げた遠軽サウンドが響いた。

そのほか、総評の中で、遠軽も取り上げられ、

ー「柔」の例として挙げたいのは遠軽。高昌帥の「協奏曲」では素朴な旋律に全体が聴き入り、時間が止まるような瞬間があった。ー

というお褒めの文章もあった。

というわけで、これだけ大きく朝日新聞が取り上げてくれたのは、初めてのことではないのか。だから、新聞記事を残す意味で、全文を紹介することにした。

さて、これから記すことは、現在の全日本吹奏楽コンクールの改善点である。だか、指摘することは、全日本吹奏楽連盟の会報「すいそうがく」(18・7、No.208)で取り上げていることで、連盟も自覚していることである。

まずは、現状を把握したい。我が輩も、母校の出場が12年ぶりということで、それなりにチケット入手に努力した。ところが、チケットがプレミア化しているということで、ネットのダフ屋が「2枚=四万五千円」で売り出す始末。これなどは、名古屋の会場(三千人収容)が狭いからと考えていた。

ところが、会報を読んで驚いたのは、名古屋の会場は普門館(五千人収容)よりもキャパシティが狭いにも関わらず、空席が目立ち、普門館で開催していた時よりも盛り上がっていないという。空席が多い理由として、指定席であるので、父兄などが鑑賞したい団体の演奏が終わるとその席が空席になるという。また、前方の二千二百席は指定席として売り出すが、後ろの席は出場生徒たちの席として確保しているので、演奏中は空席になるという。

ということで、主催者側も帰る時には指定席券を返却して貰い、その空席に新たな観客を入れることを考えているようだ。さらに、会場も東京に移し、会場も大きなキャパシティを考えているようだが、東京の日本武道館(一万人程度の収容)はどうか。我が輩も以前、自衛隊の音楽祭を鑑賞したが、何ら問題を感じなかった。問題があるとして、音響が悪い、利用料金が高い等々があるのか。

そのほか、連盟の協議会では、九州の役員から出場枠の見直しが上がっている。あらゆる高校の全国大会では、常に出場枠の問題が持ち上がる。特に、レベルの高い地域からの要望であるが、ある面当然のことである。しかしながら、高校の部活は地方の隅々まで普及させるという目的がある以上、なかなか難しい面がある。だが、連盟の協議会では、奈良の役員から「全国大会の出場団体30は、高校野球でも50ほどあるので、レベルが上がりすぎた今、団体数を増やすことで過度な競争が緩和されるのではないか」という意見が出ている。

また、奈良の役員からは、「全国大会のチケットがプレミア化されているのに空席問題がある。テレビでの生中継をやってはどうか。奈良はケーブルテレビで生中継しており、大変喜ばれている。2年前からやっているが、チケットの売上げに影響は出ていない。広く知ってもらうよい機会にもなる。ネットテレビ等なら可能ではないか」との意見も出している。奈良県は、なかなか先進的な地域のようだ。

思い出すと、高校野球も、高校ラグビーも、既に全国大会出場を掛けた地方大会の決勝戦は、ネットテレビで見られる時代になっている。それを考えると、吹奏楽の全国大会が、会場収容人員は三千人で、さらにチケットはなかなか買えず、場所はなぜか名古屋市、共催者は朝日新聞社。これで良いのかとも考えてしまう。本日の朝日新聞に、20日に横浜で閉幕したバレーボール女子世界選手権で、競技団体と共催するTBSテレビが、億単位の赤字が見込まれているという記事が掲載されていた。その中で、TBS幹部は「世の中の関心が高いイベントを放送するのはテレビ局の使命」と話している。つまり、連盟はこのような使命感があるマスコミと共催するべきではないのかと思うのだ。そして、一万人規模の会場で開催して、その利益を子供たちに還元することも重要な行為と考えるのだ。