遠軽高校の部活動の縮小とオホーツク地域の実情

今年も4月から新年度が始まるが、遠軽高校を始めとするオホーツク地域の高校は、どこも少子化による生徒減少で悩んでいる。ということで、3月17日付け「北海道新聞」オホーツク版の、見出し「高校部活動 縮小進むー遠軽高5部募集停止 湧別高も休部相次ぐ」から紹介する。

遠軽、湧別】遠軽高が新年度から五つの部活動で新たな部員の募集を停止する。同校は「継続的に生徒を確保することが難しい上、教職員の削減で今後、部活動の安全な運営に支障をきたす恐れもある」と説明する。地域の関係者からは残念がる声が挙がる一方で、生徒が望む活動ができるよう地元団体や行政の支援も行われている。

遠軽高では現在25の部活動があるが、4月から男子と女子のバドミントン部、男子ソフトテニス部、女子バスケットボール部茶道部の五つが受け入れを停止する。当面は現1、2年生の部員のみで活動し、卒業後は休部とする。五つの部活動は、在籍部員数や近隣の中学校の部活動の状況などを調べて決めた。

永谷哲治教頭は「3年ほど前から話し合い、慎重に判断した。部活動には全生徒が参加することになっているので数が減るのは残念だが、苦悩の決断」と理解を求める。

今回の決定に当たり、同校は生徒が希望する活動を続けられるよう、地元団体との連携を進めている。新年度からは部活動の全入制は維持しつつ、所属する部とは別のスポーツ団体への参加を認め、顧問の引率が必要な大会では教諭を派遣するなどの態勢を整える。

遠軽高と協力するのは遠軽バドミントン協会と遠軽ソフトテニス協会の2団体。バドミントン協会の吉川健児事務局長は遠軽高の新入部員の受け入れ停止について、「遠軽高でバドミントンを続けたかった子もおり大変残念。だが、少子化もあり理解できる部分はある」と受け止める。ただ、部活動の全入制が維持されると、部活動をしながら地元のスポーツ団体の練習や大会にも参加することになるため、「子どもの負担が増えるのが心配だ」と話す。同協会によると、小学生の頃からバドミントンに打ち込んできた中学生が、遠軽高の事実上の休部を受け、進路を変えたケースもあるという。

近隣の湧別高も、5年ほど前には12の部があったが、野球部やソフトテニス部などが相次いで休部となっている。現在、部活動は七つで、湧別町教委はこれ以上の減少に歯止めをかけようと支援を行っている。

湧別町教委は湧別高の存続対策事業として、部活動用具の購入費や合宿の遠征費などを助成。20年度は事業費として1900万円を計上した。

中でも「部活動クリニック」事業は、町内の中学校にも部活動があるバレーや吹奏楽で外部から講師を招き、中学生と高校生が一緒に指導を受ける取り組みで、技術の向上はもちろん、中高生の交流を進める狙いもある。

町教委は「部活動は生徒の進路選択における重要な要素の一つ。中高の連携を密にして、子どもが取り組んできた活動を続けられるよう環境を整えていきたい」と話している。

以上のように、オホーツク地域の中では一番元気な遠軽高校でさえも、非常に厳しい状況に置かれている。地元の後輩に言わせれば、「これでも吹奏楽ラグビーの部活動を目的に、北見、紋別旭川など他の学区から20人以上の生徒が入学しているから、この程度の減少で収まっている」ということだ。しかし、今年町内の中学校から173人が卒業し、遠軽高校の出願者が166人であることから、相当数の中学生が勉学や部活動を目的に札幌や旭川に流れたと考える。遠軽町も他の学区からの生徒に対しては、下宿代や交通費の半額を負担して生徒を募集しているが、大都会の高校の魅力には勝てないようだ。

続いて、同じ悩みを抱えているオホーツク地域の“中核高校"の出願数を、北見市(道立高校7校、私立1校)を除いて紹介する。

稚内高校(定員数200名〈普通120名、商業40名、衛生看護40名〉)…出願者数146名

紋別高校(定員数200名〈普通120名、電子機械40名、総合ビジネス40名〉)…出願者数127名

遠軽高校(定員数200名〈全て普通〉)…出願者数166名

○網走南ケ丘高校(定員数160名〈全て普通〉)…出願者数163名

根室高校(定員数200名〈普通120名、商業40名、事務情報40名〉)…出願者数175名

以上、網走南ケ丘高校を除いて、いずれも1学年5クラス・定員200名の高校であるが、どこも大幅に定員数を下回っている。ちなみに、稚内市には私立高校(定員数90名)が、網走市には道立高校(定員数80名)が、それぞれ1校ある。

それを勘案して“中核高校"の実情を紹介したが、各校とも1学年200名の維持が非常に難しい事態になっている。特に遠軽高校の場合、伝統の吹奏楽は55人、ラグビーは15人という大勢の出場者数が必要な部活動であるので、なおさら生徒数や部員数の減少は致命傷になる。要するに、全国大会に出場するためには、吹奏楽なら最低65人、ラグビーなら3年生主体でも最低20人の部員数が必要である。そのため、どうしても1学年5クラス・200名規模の高校でなければならないのだ。

また、生徒数の減少は教職員数にも影響を与え、バランスのとれた教科や部活動の教諭を配置できなくなる。その結果、優秀な生徒や目標がある中学生は、地元の高校に入学せず、親元から離れて大都会で生活することになる。

これまで元気な遠軽高校を紹介してきたが、これからは視点を変えて書かざる得ない。時代の流れに逆らえない以上、吾輩の“ボヤキ"と実情を紹介するだけでは面白くないので、何らかの工夫をして書きたいと思う。