ロシア軍によるウクライナ侵略の行方

ロシア軍はついに2月24日午前5時(日本時間同日正午)、ウクライナに全面的な侵略を開始した。その3日前の21日には、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域で名乗る「ドネツク民共和国」「ルガンスク人民共和国」(ともに自称)の「独立」をプーチン大統領が一方的に承認し、23日には両勢力の要請を受けてロシア軍を国外に派兵する許可を露上院に求め、即日承認するという形態を取って、国防省に「平和維持」目的の派兵を指示した。つまり、独裁者・プーチンと言えども、民主的な体裁を整えてウクライナ侵略を始めた背景には、本人は名門レニングラード国立大学法学部を卒業したという自尊心を強烈に持っていることが影響している、と考える。

そのような一連の動きでウクライナを侵略したが、既に23日の各新聞は「露軍ウクライナ侵攻へ」という見出しで一色であった。そこで、吾輩は友人たちに次のようなメールを送付した。

ー今日の新聞の一面は「露軍ウクライナ侵攻へ」であるが、以前からウクライナ東部にはロシア軍が派兵されていたことは確実であるので、いまさらという感じである。欧米諸国も強力な経済制裁をしたくないので、それほど深刻に捉えないようにしている。

日本の中でロシアの行動に理解を示す人物が見かけられる。そのほとんどが、左翼思考の人物だ。

プーチンは「ロシア人とウクライナ人は一つの民族だ」というが、ドイツとオーストリアは同じ民族だ。そのほかにも、宗教で別れているインドとパキスタンなどもそうだ。

また、NATОの拡大で緩衝地帯がなくロシアへの脅威が増しているというが、それでは我が国の立場はどうなるのか。ロシアは侵略に侵略を重ねて、あのヨーロッパの民族が根室の隣まで進出し、何人の漁民を北方領土周辺で射殺し、拿捕した漁民は何人であるのか。奇麗事を言って自己満足しているのが左翼である。

そういうことで、左翼的思考の人物は嫌いである。話していても、全く勉強にならない。ー

さて、ロシアによるウクライナ侵略戦争は、今後どのような推移で展開するのか。そこで、今日の「産経新聞」記事から紹介する。

〈東大先端科学技術研究センター専任講師・小泉悠〉

ー市街戦なら人道的危機もー

今回のロシア軍によるウクライナ侵攻は、小規模な衝突ではなく全面戦争と呼ぶのが妥当だ。ウクライナの防空システム制圧が第1段階のようだが、今後は地上戦に突入する恐れがある。ロシア国境に近いハリコフや首都キエフなどの主要都市に侵攻する可能性が非常に高い。

侵攻の目的がゼレンスキー政権の転覆なのは明らかだ。地上戦が市街地で展開されれば、市民が犠牲になる恐れがある。市民らがゲリラ戦で抵抗すれば民間人の死者が増え、大きな人道的危機に陥りかねない。

ロシアは2014年のクリミア侵攻では偽情報を流し、ウクライナ政府への不信感を植え付ける情報戦で「無血占領」を果たしたが、他の地域では通用しなかった。当時の経験から、今回は軍隊による古典的な侵攻を選んだ。ウクライナを複数の小国に分裂させ、弱体化を狙う考えが今回もないとは言い切れない。

米国は、強いメッセージを突き付ける段階にある。一つは厳しい経済制裁で代償を払わせることだ。日本が発表した第1次制裁も手ぬるい。半導体の供給制限や、エネルギー分野での制裁も検討するべきだ。

第三次世界大戦の可能性は低いが、最悪の場合、ロシアが警告射撃の意味を込め無人地帯で限定的な核使用を行う可能性も排除はできない。

小泉悠(1982年生まれ)は最近、脚光を浴びている若手のロシア軍事・安全保障研究者で、解説記事の中で世界中が一番心配している「核兵器」と「第三次世界大戦」のことに触れているので取り上げた。吾輩は現在、小泉氏の著書「『帝国』ロシアの地政学」を読んでいるので、後日、改めてポイント部分を紹介したい。