将来の北見〜札幌間の交通体系を憂う

ネットに注目する記事が掲載されていたので、また「北海道新聞オホーツク版」(11月9日付け)を地元の友人から送付してもらった。今回の記事の見出しは「北見ー札幌の都市間バス新規参入で2者競合」「コロナで乗客減また打撃/北見バス側が対抗策“消耗戦"危惧の声も」である。

9月から大阪資本の北海道バス(札幌)が、北見と札幌を結ぶ都市間バスの運行を始め、オホーツク圏と道央圏をつなぐ都市間バスは同社と、北海道北見バス(北見)など道内3社が共同運行する2路線体制となった。北海道バスは手頃な運賃や広い駐車場を使える利便性をアピール。北見バスも負けじと対抗策を打つが、新型コロナウイルス禍でバスの乗客が減り、経営が悪化する中での新規参入に、さらなる打撃になると危機感を募らせる。

年金生活者にとっては1円でも安い方がありがたい」。10月下旬、北見市内から北海道バスの都市間バス「北見特急ニュースター号」を利用した70代の無職女性は話す。北海道バスの最安運賃は片道4970円。北見バスと網走バス(網走)、北海道中央バス(小樽)の共同運行便「ドリーミントオホーツク号」の最安値の片道5250円(4枚つづりの回数券を利用した場合)を300円ほど下回る。往復で600円近く安くなる計算だ。

加えて北海道バスの利用者は東武イーストモール端野店の敷地内に車を止められるようになっており、車社会のオホーツク管内で利便性は高い。北海道バスの大泉富士夫・営業部長は「端野や訓子府など幅広い地域からの利用も見込んでいる」と説明。同社は2年ほど前から新規参入を計画していたと言い、「多くの社が切磋琢磨することは、お客にとってプラスになる」と話す。

一方、北見バスの福村泰司社長は「自由競争なので新規参入は仕方がない」としつつも、「なぜこの時期に」とうめく。北見バスに限らず道内各地域のバス会社は、路線バスの赤字を都市間や貸し切りでカバーする収益構造が一般的だ。頼みの綱の都市間の売り上げ減は、ただでさえ新型コロナ禍で人の移動が減っている中で、影響は計り知れない。

北見バスの昨年度の都市間バス乗客数は前年比で半減。本年度も道央圏にまん延防止等重点措置が発令されたり、道内全域が緊急事態宣言の対象になったこともあり、さらに落ち込む見通しだ。福村社長は「オホーツクの住民の足を支える事業者にとって本当に苦しい」と打ち明ける。

北海道バスへの対抗策として、北見バスは9月1日から、北見バスターミナルから都市間バスに乗り込む乗客が自家用車を使う時に、「NUPS駐車場」(北見市北2西3)を無料で利用できるようにした。さらに北海道バスと同じく、ニトリ北見店近くに「西7号線」の停留所を設置し、12月から乗車ができるようになる。

国土交通省によると、2002年の道路運送法の改正で、これまでは免許制だった都市間バスの新規参入が許可制となり、届け出に問題が無ければ運行できることになった。都市間バスを稼ぎ頭にしつつ、地元で路線バスを走らせている事業者に特化した補助金などは無く、「あくまで自由競争の下でやっていただいている」(同省バス産業活性化対策室)と話す。

利用客にとって、安く便利に都市間バスを利用できるのは歓迎すべきことではあるが、北見の経済関係者からは「両者が消耗し合って減便や廃止になるなど、地域にマイナスの結果にならなければいいが」と危惧する声も上がる。

それでは、もう一つの主要な交通機関である、JR石北線(網走ー新旭川、234㌔)の現状を紹介するが、これも「北海道新聞オホーツク版」(6月22日付け)の記事である。

ーJRによると、石北線の昨年度の営業収益は、前年度比46・8%減の6億500万円。収益から運行に必要な経費を差し引いた営業損益は同9200万円膨らみ、45億3400万円の赤字だった。1㌔あたりの1日平均輸送人数を示す輸送密度も同43・0%減の442人と激減した。ー

ーJRが「単独では維持困難」とする道内8線区の営業損益は合計で134億6900万円の赤字だが、石北線はその赤字の約3分の1を占める計算で、その大きさが際立っている。ー

ー地元自治体も手をこまねいているわけではない。遠軽町などでつくる「遠軽町石北本線利用促進協議会」は2019年度から、町外から石北線を使って訪れた個人客に乗車料金を最大で4千円補助する制度を実施。今年4月から町内にあるJR瀬戸瀬駅を町が管理してJRを支援している。北見、網走、大空の各市町でも利用した住民らに運賃の一部を助成するなどの制度を整えた。ー

以上の現状を知って、皆さんはどう考えますか。まあまあ、いずれの交通機関も、非常に苦しい経営状況の中で、よくも都市間バスだけが増便できるなぁ、と感じると思う。

そこで、まずは都市間バスの運行本数を押さえておきたい。ネットで調べると、「ドリーミントオホーツク号」は1日往復10本(うち夜行1本)、「北見特急ニュースター号」は1日往復4本(うち夜行1本)、ついでにJRは特急列車を1日往復4本(夜行なし)運行している。この実態を知ると、人口約20万人規模の北見・網走地域にしては、ずいぶん多く運行しており、逆に需要の多さの背景を知りたいものだと思う。

ところで、この地域の交通体系に関しては、以前から心配事として指摘してきたが、改めてその点を記す。今春、北海道開発局は事業凍結中の北海道横断自動車道(道東道)の足寄インターチェンジ(IC)〜陸別IC(31㌔)について、本年度中の事業再開に向けて検討すると発表した。なぜ、この道東道に関心を持つかというと、完成の暁には「札幌〜北見・網走間の乗客は、全て都市間バスに流れる」と断言出来るからだ。その理由は、現在の都市間バスは旭川経由の距離約300㌔を約6時間かけて運行しているが、それが距離はほぼ同じであるにも関わらず、全て道東道を経て高速道路を利用するので、所要時間は約4時間に短縮される。一方のJRは距離は340㌔で、所要時間は約4時間30分、料金は8千五百円であるので、勝負は明らかである。その結果、都市間バスのライバルである、JR石北線の特急列車を利用して札幌〜北見・網走間を移動する乗客がいなくなるというわけである。

ということで、2030年の北海道新幹線の札幌延伸、そして道東道の完成後の北見・網走〜札幌間の乗客の流れは、大きく変わる。そうであるならば、昭和初期と大正時代に完成したJR石北線の石北トンネルと常紋トンネルを、現在のまま利用していて良いのか、という問題に行き着く。移動人口の変更は時代の流れで、遠軽紋別地域や旭川地域が衰退しても構わないと考えるなら、もう何も言わない。吾輩も、あと数年でブログ発信できなくなるので、今のうちに問題提起しておきたかったのだ。