JR石北本線の現状を把握するために

2月14日付「北海道新聞オホーツク版」は、JR石北本線の現状を「第2期利用促進策 最終年度へ/石北線赤字改善 先見えず」との見出しで、次のように報じました。

〈雪害運休、バスとの競合 打撃に〉

JR北海道が単独では維持困難とし、存続は地元負担を前提とする石北線(新旭川ー網走、234㌔)。JRが道や沿線自治体とまとめた利用促進策「アクションプラン」は2023年度に第2期の最終年度を迎え、国から「事業の抜本的な改善方策」の検討を求められている。JRは「現時点で廃止はない」と言い切るが、雪害による運休や都市間バスとの競合が重なり、思うような利用客数の回復や慢性的な赤字の改善には程遠い。

昨年12月下旬の降雪で、石北線沿線では白滝で最深積雪が130㌢(同24日)を記録。湿った重い雪質だったことから除雪機械の処理能力が低下し、除雪に時間を要した。駅構内の人力での除雪も間に合わず、同22〜29日にかけ特急57本を含む計247本が運休か部分運休した。帰省などで需要が見込める年末だけに、同社広報部は「収入面でマイナスの影響があった」と話す。

鉄道特有の維持コストが重くのしかかる中、石北線に並行する都市間バスとの競合は熾烈を極める。

北見ー札幌間の片道運賃(大人)は、特急・指定席は割引サービス「えきねっとトクだ値」を使った6100円が最安値。1日4往復運行するが、このうち2本は旭川で乗り継ぎが必要だ。

一方、都市間バスは所要時間がJRより30〜45分長いものの、北海道北見バス(北見)などの「ドリーミントオホーツク号」(1日9往復)は4枚つづりの回数券利用で5250円、21年秋に新規参入した北海道バス(札幌)の「北見特急ニュースター号」(同4往復)は割引利用で4970円と価格面で優位に。年末年始、札幌から北見市内の実家への帰省でドリーミントオホーツク号を利用した自営業野村知生さん(24)は「交通費を抑えられるし所要時間も大差ないのでバスを選ぶ」と話した。

加えて同号は2月より、北見市留辺蘂町内に停留所を新設。隣接する置戸、訓子府両町からの利便性も増す。北見バスの担当者は「さらなるサービス向上に取り組みたい」と話し、利用客の囲い込みに力を注ぐ。

石北線を巡っては、輸送密度(1㌔当たりの1日平均輸送人員)が新型コロナウイルス禍前の2019年度の775人に対し、21年度は448人と低迷。赤字額も約48億円に上った。終了まで1年余りの第2期アクションプランの23年度目標は「輸送密度891人・赤字額42億4300万円」を掲げるが、達成は困難を極める。

また石北線は全線開通から昨年で90周年を迎え、橋やトンネルなどの老朽化が進む。大規模修繕や更新にかかる費用は、今後15年ほどで計約57億円と見込まれている。JR貨物の「タマネギ列車」に代表される貨物列車も走る線区のため、維持すべき設備も多い。都市間バスとの価格競争について、JR北海道は「絶対に守るべき安全の基準を絶対に維持する」と強調。投資や修繕費用に充てるためにも、運賃を値下げする予定はないとする。

同社は、3月のダイヤ改正石北線の特急(オホーツク・大雪)全8本の車両を置き換え、所要時間を旭川ー網走間で最大7分短縮する。車両には、特急停車駅のある7自治体にちなんだデザインもラッピングする。ただ、利便性で優位に立つ都市間バスに完備されている公衆無線LAN「WiーFi(ワイファイ)」の整備などサービス向上の計画はないといい、利用促進につながるかは不透明だ。

この記事を取り上げるべきか否か迷ったが、やはりJR石北本線の現時点の記録として残すべきと考えた。迷った背景には、これまで何十回もJR北海道のことを書いたので、改めて問題提起する事柄がなくなったこともある。

さらに、絶対にJR石北本線廃線したくないという立場で訴えてきた以上、現時点での現状や見通しを多くの人に伝えなければという義務もある。と、同時に皆様方に少しでも利用促進に協力してもらうため、情報提供する義務もある。

そのような考え方は、地元紙「北海道新聞」も同じ認識のようで、これまでもJR北海道を応援する記事を多く伝えてくれている。そう考えると、今後もJR北海道を巡る報道には大いに期待する次第である。