横綱の地位をどう考えるか

相撲好きとしては、久しぶりに大相撲のことを書きたくなった。というのも、昨年2月に題名「大相撲の次の覇者は誰だ!」を記すも、力士名を挙げなかった大関貴景勝(24)や幕内琴勝峰(21)が俄然注目されてきたからだ。そこで、来年初場所(1月10日初日・両国国技館)では、世代交代という大変動が待ち構えているので、もう一度横綱という地位を考えたい。

まず最初は、去就が注目されている大横綱白鵬(35)だ。はっきり言って、白鵬は「昭和の大横綱」と呼ばれた大鵬の優勝32回を超えた後(2015年1月場所で優勝33回)、いろいろなところで摩擦を起こし始めた。これまでは、戦前の大横綱双葉山を目指すということで、土俵態度も対人関係も謙虚であったが、2〜3年前からは、人柄も人間性も相撲内容も、どこかギクシャクしている。

それを確信したのは、昨年九州場所をテレビ観戦していた際、テレビカメラが白鵬の右手肘から上腕に巻かれているサポーターを大写しにした時だ。それを観た瞬間「なんだ、このサポーターは…。ケガを補助するために巻いているのではないのか」と、つい叫んでしまった。それ以前から白鵬の「かち上げ」と「張り手」が問題になっていたので、なおさら“やはり"ということで声が出てしまった。

要するに、白鵬は右肘が悪いことをいいことに、必要以上にサポーターを厚手にして凶器化し、立ち会いで相手力士に右肘をぶつける「かち上げ」に利用していたのだ。その凶器化の最大の犠牲者は幕内遠藤で、何回も脳震盪を起こしたような形で倒れている。でも、遠藤も期待が大きいだけに、何回も同じような負け方には、正直がっかりしている。

この「かち上げ」に話しを戻すと、その後発売された週刊誌「週刊文春」が、「あれはかち上げではなく、エルボースマッシュです」と書いていた。この説明が正しければ、もう“横綱失格"の烙印を押され、廃業に追い込まれも何らおかしくない。

さらに、立ち会いに相手かまわず「張り手」を繰り出すことについても書く。おそらく、白鵬は下位力士や若手力士が同じ「張り手」を繰り出すと、「横綱に対して『張り手』を出すとは何事だ」という態度で、倍返しの動きに出ると思う。その「張り手」で思い出すのは、突っ張りではなく、張り手を連発することで、相撲ファンから顰蹙をかった昔の幕内力士「沢光」(昭和16年生まれ)である。沢光は、幕内在位7場所であったが、出身地が北海道常呂郡佐呂間町ということで、よく相撲ぷりを覚えている。白鵬自身は、こんな短命幕内力士と一緒にされて不満と思うが、吾輩の認識は一緒である。

さて、次は多くの相撲ファンが待ち望んでいる次期横綱だ。まず大相撲11月場所で優勝し、来年初場所で綱とりがかかる大関貴景勝で、来場所優勝すれば内規がある以上、横綱に挙げざるを得ない。しかし、吾輩的には優勝5回するも、大関で終わった魁皇と同じ大関で終わってほしい。その理由は、押し相撲は馬力が必要であるので、20代前半がピークで、成績にムラがある。それを考えると、貴景勝横綱に昇進しても、短命横綱で引退する可能性が非常に高い。だが、過去には短命で引退した横綱がいることから、それも“大相撲"という考え方もある。

貴景勝と同じ、典型的な押し相撲で思い出すのは、元大関であった若羽黒(昭和9年生まれ、幕内20〜29歳)と大受(昭和25年生まれ、幕内20〜27歳)である。両大関とも、やはり20代前半がピークで、20代後半には番付を下げている。つまり、貴景勝も26歳くらいから成績が下がり、28歳前後には横綱引退に追い込まれる。しかし、大関を維持していれば、30歳くらいまで幕内を務めることができるという見方だ。

次は期待の大きな大関朝乃山(26)であるが、右を差して、左上手を引く「右四つ」の本格派の四つ相撲力士である。しかしながら、最近なかなか左上手が引けず、それも左前褌であれば盤石であるが、左上手中段のまわしさえ引けない場面がある。つまり、十分な体勢に持ち込めない相撲があり、それは実力不足を示している。

その実力不足で、いつも大鵬に敗れていたのが、昔の大関豊山」(昭和12年生まれ)である。本格派の四つ相撲力士であったので、いつも四つ相撲の体勢に持ち込むことを期待して、対大鵬戦をテレビ観戦していたが、いつも立ち上がった瞬間、脇の甘い豊山は“バンザイの体勢"になる。今から考えると、実力不足であったが、逆に言えば、大鵬がいかに相撲が上手く、実力者であったが解る事例である。つまり、朝乃山もまだまだ発展途上の“右四つ"で、弱点を解消するには稽古しかないが、残された時間は余りない。

もう一人の大関正代(29)に関しては、人柄は素晴らしいが、横綱に昇進しても横綱5年以上の“本格横綱"を務められない。年齢もあるが、腰高でこれといった決まり手もないので、いつまで大関の地位を維持できるか、という力士と見ている。

続いて、若手のポーフ・琴勝峰を取り上げたい。相撲解説者・北の富士(昭和17年生まれで旭川市出身)が言っているが、目が離せない力士になってきた。もしかしたら、琴勝峰こそ、2年後辺りに“本格横綱"を張る力士かもしれない。

そもそも、「横綱」は必ずいなければならない存在ではない。番付に「横綱」の文字が登場するのは明治23年からで、横綱が最高位として制度化されたのは明治42年からだ。それを考えると、無理して横綱を作るのではなく、琴勝峰など若手の成長を待ってからでも遅くないと考える。

ちなみに、横綱空位期間を紹介すると、意外にも多いことが解る。古くは第5代横綱・小野川の最終場所後、約31年間も横綱空位が続いたほか、その後9回も空白期間がある。最近では、第61代横綱北勝海の最終場所が平成4年3月で、新たな第64代横綱・曙が平成5年3月場所であるので約1年間、横綱が空白であった。

ということで、吾輩的には、たまには横綱空白の番付があっても良いと考えている。考え方はいろいろあると思うが、皆様方の見解はいかに…。