宇都宮市のアリーナ建設に期待したいが…

ネットで「下野新聞」(11月17日付け)を見ると、見出しに「宇都宮に新アリーナ 市、22年オープン構想 佐藤市長会見」という記事が掲載されていた。そこで、宇都宮市内の友人に連絡して、この記事を送付してもらったところ、一面トップで報道していた。

宇都宮市の佐藤栄一市長は16日の記者会見で、室内スポーツの新たな拠点となるアリーナを市内に建設する構想があることを明らかにした。民間主導で整備し、市が支援する。プロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス」のホーム、ブレックスアリーナ宇都宮(市体育館)の代替として想定しており、2022年に予定している次世代型路面電車(LRT)の開業と同時期のオープンを目指すという。

民間主導によるアリーナ建設は、15日に投開票された宇都宮市長選で、佐藤市長が公約の一つとして掲げていた。

佐藤市長は想定される建設地として、JR宇都宮駅東側のLRT沿線に整備される平出町のトランジットセンター付近や同駅の西口付近を挙げた。市によると、複数の用地について研究している段階という。

詳細な機能などは未定だが、オープン時期を公共交通の柱となるLRTの開業に合わせることで、人の流れとにぎわいを生み出したい考えだ。

新アリーナは、ブレックスアリーナ宇都宮の代替としての利用などを想定。宇都宮ブレックスが所属する男子プロバスケットボール「Bリーグ」は26年をめどに新リーグ(プレミアリーグ)の創設構想を掲げている。その参入条件の一つとして、自由に使用できるアリーナの確保が示されている。

現在のブレックスアリーナ宇都宮は収容人数が最大約5千人で、一般市民も利用している。佐藤市長は「ブレックスアリーナは将来、基準に合わなくなるだろう」とした上で、「建て替え、建物自体をどうするか考える時期が来る」と述べた。リーグの動向に関し、チームの運営会社「栃木ブレックス」も、市と情報共有しているという。

というわけで、吾輩的には喜んで良いのか、悲しむべきなのか、複雑な心境になった。というのも、吾輩は以前に題名「今こそ『宇都宮アリーナ』の新築を!」(2017年6月1日)という文章を記したが、その内容は「Bリーグ」初代チェアマン・川淵三郎氏の言動を借りて「バスケットボールとアイスホッケーの競技拠点になる1万規模のアリーナを宇都宮市に建設するべき」という内容であったからだ。

そういうことで昨日、宇都宮市役所秘書課に電話を入れ、対応に出た女性職員と対話をしたが、新聞記事以上の話しは出なかった。そこで、吾輩は、次のような事柄を市長に伝えてほしいと要望した。

下野新聞を読むと、バスケットボールのための施設で、アイスリンクは備えていないようだ。最近、新聞で床敷きとアイスリンクを併存する多目的アリーナが、安価で建設できる記事が掲載されていた。それを参考に、是非とも多目的なアリーナとして整備してほしい。

○今年4月、八戸市に通年型アイスリンクをベースとした多目的アリーナ「フラット八戸」が、民間主導でオープンした。そのような施設があることを、市長は知っているのか。

○12月5日と6日、その八戸市の「フラット八戸」で、栃木日光アイスバックス東北フリーブレイズとの試合がある。是非とも、この試合を機に施設を見学してほしい。

等と述べて、フロアへの転換はアリーナの氷を溶かすことなく、アイスリンクの上に床材を敷くことで、数時間で設営できる「フラット八戸」(アイスホッケーの試合では約3500人、バスケットボールでは約5000人の観客を収容)型アリーナの建設を要望した。女性職員は「間違いなく、市長に伝えておきます」と答えたが、上手く伝わるのか気になる。

吾輩が、これだけ通年型アイスリンクを備えた「多目的アリーナ」の建設に熱を挙げるのは、もう20年前の昔「日光アイスバックス」の存続に関わったからだ。その際、アイスホッケー関係者やファンから「人口の少ない日光(当時の人口は約1万5千人)ではなく、宇都宮(当時の人口約50万人)で試合をしなければ、将来性ない」という発言を多く聞いたからだ。だから、県内の有力者と会った際には「宇都宮にアリーナを建設しましょう」と熱く語ったものだ。

このほか、既に亡くなったアイスホッケー関係者、存続のために汗を流してくれた方、熱心なファンの顔を思い出すと、黙って見守ることはできなかった。だから、新聞報道で「宇都宮アリーナ」建設のことを知ると、宇都宮市役所に連絡を入れたのだ。

だが、もうこれ以上の行動はできない。この後は、日光アイスバックスのフロントやファンが、市長を動かす番である。10年後、20年後に「やはり、アイスリンクを備えたアリーナを建設するべきであった」という愚痴を吐かないために、スポーツ関係者は動いてほしい。

最後に、もう一つ重要なことがある。それは関東地方で、栃木県がウインタースポーツを支えなければ、どこの都県が支えるのか、ということだ。それを考えると、宇都宮市にアイスホッケーのほか、フィギュアスケートの国際試合が開催できる会場があってもよいではないか、というのが吾輩の最後の訴えである。