全国高校ラグビー大会決勝をテレビ観戦して

久しぶりに、高校ラグビーを取り上げたいので、気ままに書きます。一昨日の「第99回全国高校ラグビー大会」の決勝戦桐蔭学園(神奈川県)ー御所実(奈良県)との戦いは、歴史的な試合(桐蔭の23ー14)となった。

その一つには、桐蔭学園は過去6度決勝戦に進出したが一分(対戦チーム両校が優勝)5敗、一方の御所実は3敗であるので、両校とも単独優勝した経験が一度もない。だから、当初から悲願の単独優勝を目指して、激しい試合になることは予想できた。さらに、桐蔭学園には、1997年度(第77回)の國學院久我山(東京)の優勝以来、22大会ぶりの東日本勢の単独優勝という期待もあった。

ということで、桐蔭学園は念願の単独優勝を実現し、同時に東日本勢の屈辱を少しばかりは晴らしてくれた。それにしても22年間とは、少々長すぎる。高校ラグビー界の“西高東低"に関しては、以前から関東の高校ラグビー監督や、日本ラグビー協会職員との対話の中で「最近の高校ラグビー界は、東日本勢は西日本勢に押され放しだ。特に、関東では桐蔭学園は頑張っているが、他校は話しにならない」と嘆くのだ。その意味では、桐蔭学園の優勝は多くのラグビー関係者が待ち望んでいた結果だ。

吾輩は、以前から東日本勢を応援しているが、その背景には北海道出身者であることや、住まいが千葉県であることも影響している。そのような傾向は、別段珍しいことではない。5年前に花園で観戦した際、毎年花園の試合を観戦し、この日も1日中、試合を観戦するという天理高校関係者(70歳前後)と話す機会があった。この関係者も「花園で西日本勢と東日本勢との試合があれば、自然と西日本の高校を応援する。それは西日本の高校はよく知っているし、練習試合を見る機会もある。その点、東日本の高校のことは、さっぱりわからない」といい、さらに「最近は、東日本勢は弱くなり、シード校が初戦から負けることがある」というではないか。吾輩も多少は自覚していたことで、何とも言えない気分になった。でも、花園で試合を観戦すると、何となく西日本勢に対する応援が多く、地元高校にフォーローの風が吹いていると感じたものだ。この感じ方、吾輩の気のせいなのか…。

ここで、改めて花園の優勝校と準優勝校をピックアップしてみたい。全国高校ラグビー大会は1918年(大正7年)から開催されているが、教育制度の改革後の49年(第28回大会)からの優勝回数をみると、秋田工12回、啓光学園(大阪)7回、東福岡6回と続く。また、準優勝校の回数も調べてみると、

①5回…秋田工、天理、目黒、桐蔭学園

⑤4回…北見北斗、御所実(今大会で仲間入り)

⑦3回…保善(東京)、京王(東京)、花園、大分舞鶴啓光学園(大阪)、東福岡

ということになる。この中に、堂々と5番目に北見北斗高校が入っているが、将来を見通すと、この順番はどんどん下がることは確実だ。

それにしても、桐蔭学園・藤原監督は決勝戦7回出場して、今大会で初めて単独優勝であるので、まさに「7度目の正直」となった。一方の御所実・竹田監督は、今大会の敗戦で4回目の準優勝になるので、来年度に優勝すると「5度目の正直」ということになる。だが、竹田監督は来年度定年というから、来年は最後のチャンスということで、全国のラグビーファンから注目を浴びる存在になった。

来年というと、来年度は「第100回全国高校ラグビー大会」ということで、出場チームが過去最多の64校(1991年度から51校が定着)になる。つまり、例年より13チームも多く出場することになるので、レベルが高い都道府県の二番手チームは、俄然出場できる可能性が出てきた。それを考えると、新チームは年初から張り切る理由付けがあり、今秋の花園出場地区予選からも目が離せなくなった。