高校スポーツ界は変革期

1月24日付「読売新聞」は、〈高校総体合同チーム「OK」/水球、バスケなど団体9競技〉という見出しで、次のように報じました。

全国高等学校体育連盟(高体連)は2023年度から、少子化で部員が減り、チームを編成できない高校が複数で合同チームを組み、全国高校総体(インターハイ)に出場できるよう参加資格を緩和することを決めた。新たな規定を23日、都道府県連盟に通知した。

対象は水球、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、サッカー、ラグビーソフトボール、アイスホッケー、ホッケーの団体9競技。これまでは高校が統廃合される前の2年間に限って合同チームが認められていた。

新規定では「勝利至上主義的な編成であってはならない」とした上で、競技ごとに合同チームを組める条件を定め、バスケなら4人以下の場合など各校の部員数を明記した。毎年チームが組み替わって継続性が失われないよう、部員不足が解消しても前年度の合同チームを続けられる特例も設けた。

日本高等学校野球連盟は12年度、日本中学校体育連盟は03年度から、少子化を理由に同様の合同チームを認めている。

部員不足で学校単位の参加ができないケースが増えてきた、という日本の少子化問題が、ついにここまで至ったかという感じだ。

ところで、高体連のニュースを読売新聞にした理由は、同紙は高体連と共催してインターハイを開催しており、どの新聞よりもいち早く報道したからだ。だが、吾輩は以前、読売新聞がインターハイ高体連と共催することになったことに対して、「読売新聞は高校スポーツや文化活動に貢献してこなかったので、罪滅ぼしでインターハイの共催に加わった」と嫌みを書いたことがある。つまり、毎日新聞朝日新聞は、昔から高校生のスポーツや文化活動に対して、過大な貢献をしてきたが、読売新聞は販売部数を伸ばすためにプロ野球や実業団のサッカーを支援してきた歴史があるからだ。

さて、高校スポーツ界の話に戻すと、以前から大勢の選手が出場するラグビーやアイスホッケーの競技に関しては、部員不足で大変な状況になっていることは伝えてきた。そこで改めて、ラグビー(今年度のラグビー部員は約1万8千人で、03年度比で42%減少)を取り上げると、昨年12月27日から大阪府東大阪市花園ラグビー場で「第102回回全国高等学校ラグビー大会」が開催されたが、鳥取県倉吉東高校鳥取県予選を1試合もせずに全国大会の切符を獲得した。そもそも、鳥取県は人口が最も少ない都道府県であるので、以前から試合数が少なく問題になっていたが、今年度は山形県福井県島根県でも予選は決勝戦の1試合しかなかった。

そうことで、ラグビー関係者からは、全都道府県から最低1校が出場する今の全国大会のシステムが「限界に近づいている」と指摘する声も出ている。つまり、第70回大会(1990年度)から続く「単独校による全都道府県代表制度」が存続の危機にあるということだ。北海道も南北2校が出場しているので、無関係というわけにはいかない。

続いて、アイスホッケー(高校生のチームは全国に63、競技人口は約千人。北海道が約300人で、東京都が約150人、青森県が約80人)であるが、今年1月21日から北海道釧路市で「第72回全国高等学校アイスホッケー競技選手権大会」が開催(27チーム参加)され、同24日に駒大苫小牧武修館(釧路)を2−0で破り、2年連続33度目の優勝で終了した。しかしながら、東京の有力校・早稲田実業(演出家のテリー伊藤氏らが高校時代に創部〈23年3月3日付「産経新聞」で言明〉)のアイスホッケー部が、生徒数削減などで23年度を最後に同好会になるという。今大会には、一昨年に部活動の縮小を提示していたこともあり、1年生の部員はなく、2、3年生各5人の計10人で戦うことになった。来年は1年生が入部しないと、最低限必要な6人を下回ることになり、単独校で出場することができなくなる。

このほか、今大会には釧路市から4校チームが出場したが、その中の釧路湖陵は選手7人で試合に臨んだという。北海道のいくつかの高校も部員不足に悩んでいることは承知していたが、まさか開催地枠でインターハイの出場権を得たというものの、登録の選手上限が22人という中で7人という数には驚いた。

さらに25日、中学校の吹奏楽部のことであるが、加盟登録の規定を改定するニュースが流れてきた。

全日本吹奏楽連盟(石津谷治法理事長)は、全日本吹奏楽コンクールなどの『中学校の部』を『中学生の部』とし、地域クラブや複数校の合同チームも参加できるよう規定を改めた。これまでは中学校単位での出場しかできなかった。」

というものである。

吾輩はこれまで、ラグビー、アイスホッケー、吹奏楽の話題を何回も取り上げてきたが、そこにはラグビー吹奏楽は、遠軽高校にとって大事な部活動であったからだ。しかしながら、母校を応援してきた身としては、この5〜6年間は高校に何人入学して、何人入部してくれたのか、という余計な心配が多くなってきた。国立社会保障・人口問題研究所によると、北海道の人口は2015年の約538万人から45年には約400万人と約25%(日本全体の減少率は約16%)も減少、遠軽町も15年の約2万1千人から45年には約1万2千人まで減少すると推計されているので、なおさら心配になるのだ。