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何故に「基礎的自治体」の“降格" がないのか

筆者は、以前から何故に「基礎的自治体」の“降格"がないのか、甚だ疑問に思っていた。そんな中、図書館で月刊誌「地方自治」(3月号)を読んでいると、参考になる文章を発見した。その文章の作成者は、慶応大学法学部教授・大屋雄裕で、題名は「ラベルとしての市町村」である。先ずは、参考になる文章を転載させてもらう。

我が国の基礎的自治体の種別を示すラベルとして用いられている「市」「町」「村」という区別について言及しよう。…市町村のあいだの区分については「地方自治法第8条」が基本を定めており、人口5万人以上、…さらに都道府県条例に定める都市的施設が存在する場合に市に「昇格」することが認められており(第8条第1項)、都道府県条例に定める条件―典型的には人口要件として3,000人(岡山県富山県兵庫県)から1万5,000人(栃木県)―を満たす場合に町に「昇格」することができるものとされている(同条第2項)。

…第一にこれらの条件を満たした場合に村から町・町から市への「昇格」をしなけばならないことにはない。このため、都市部にあり相当数の人口を擁するとしても何らかの理由で町に留まる自治体や、一定以上の人口がありながら村に留まる事例が存在する。…

第二に、逆に社会状況の変動によってこれらの条件を満たさなくなった場合においても「降格」しなければならない制度にはなっていないし、現実にも行われた例はない。この結果、もっとも典型的には炭鉱・鉱山を中心に形成された街が閉山に伴って空洞化し、人口の大幅な減少が生じた場合でも、非常に小規模な市として存続する状況になっている(例えば北海道歌志内市の人口は、道条例の定める町制施行の人口要件5,000人をすでに下回っている)。

要するに、「市」への昇格は地方自治法という法律によって、全国一律に人口5万人以上という基準があるが、「町」への昇格基準は都道府県の条例であるので、全国一律ではないという。また、市町村の昇格はあるもの、“降格"の法律や条例はないという。例えば、歌志内市の場合には、町規模どころか、村の人口規模であるにも関わらず、いまだに市制を維持している。はっきり言って、総務省は何を考えているのかと言いたい。

それでは、筆者からの提案である。「市」は、これまで通り5万人以上で、3万人以下になれば「町」に“降格"させる。また、「町」は1万人以上で、五千人以下になれば「村」に“降格"させる。それによって、国民は知らない市町村の人口規模を、ある程度推定できる。更に、地方議員の「報酬」(国語辞書には「アルバイトのー」との例文もあり)を下げることも出来る。地方議員の総数は全国で約三万人、その支払い総額は約三千億円であることを忘れてはならない。

続いて、政令指定都市を取り上げる。本年4月1日現在、静岡市の推定人口が70万人を下回ったという新聞記事があった。新聞記事になった理由は、従来の政令指定都市は「人口百万人」か「将来百万人超が見込まれる」が指定要件であるが、2001〜10年は市町村合併を促すための特例で緩和され、70万人でも認められた。しかし、人口が70万人を下回ったことで、総務省が「政令指定都市の指定を取り消さない」という見解を示さざるを得なくなり、新聞記事になった。

そもそも、総務省政令指定都市を安易に増加させたのでないのか。筆者が小学生時代は、東京、大阪、名古屋、横浜、京都、神戸が「六大都市」で、学校の授業で覚えさせられた。当時のことを思い出すと、数が少ないだけに、まさに日本を代表する都市ということで、「六大都市」には“威厳"があった。ところが、手元の資料「平成27年国勢調査」を見ると、現在は政令指定都市が20(東京を除く)もある。その中には、どうして政令指定都市になったのか、と考え込んでしまう都市もある。

筆者がイメージする政令指定都市とは、

○人口が百万人以上である。

○その地方・地区の中心都市である。

○首都圏や関西圏の都市であれば、それなりに自立している。

以上のイメージを重ねると、横浜、大阪、名古屋、札幌、福岡、神戸、川崎、京都、さいたま、広島、仙台、千葉の各市は該当するが、北九州、堺、新潟、浜松、熊本、相模原、岡山、静岡の各市は該当しない。やはり、東京を除いた「十二都市」が、数的にも適当な数ではないのか。総務省は、小学生でも納得して、覚えられる数に絞るべきと思う。