苫小牧と大洗間のフェリーに対する要望

北海道旅行では、乗用車を利用するとバラエティーに富んだ観光コースが設定できて、それなりの旅行目的を達成出来る。それに応えるべく、商船三井フェリーが、苫小牧と大洗を結ぶ航路に、「さんふらわあ ふらの」を今月13日に就航させるという。我が輩は、昔から北海道旅行にフェリーを利用することが多く、これまでに上記航路のほか、苫小牧と仙台間、苫小牧と八戸間のフェリーを利用したことがある。また、若い頃には、日本海側の小樽〜舞鶴間、現在は廃止された東京〜釧路間のフェリーも利用したこともある。

そんな中、産経新聞(5月1日付け)と日本経済新聞電子版(5月2日付け)は、苫小牧と大洗間に就航するフェリーの性能や船内記事を掲載した。それによると、現行船は定員に占める個室比率が3割だが、新造船では同5割程度まで引き上げた。また、苫小牧行きは現在、午後6時半に大洗を出港するが、速度向上で到着時間を変えずに出港を午後7時45分に遅らせるという。

我が輩は、その記事を読んだ途端に“がっかり"してしまった。何故なら、新造船の速度を向上させたというので、苫小牧の到着時刻が早まると予想したが、現行と同じ午後1時半というではないか。その理由として、出港時刻を遅くすることで、関東から北海道まで荷物を運ぶトラックが、より遠方で集荷できるようになるという。しかしながら、到着時刻が同じであれば、以前と同じようにオホーツク管内の町中に行く場合、やっとこぎりぎり明るい時刻に到着することになる。それに時々、到着時刻が遅れることを考えると、正直、喜びも半減してしまった。

5年前か、この航路を利用した際、男性船員に対して「船のスピードを上げて、到着時刻を午前中に出来ないものか。私のように、夜間運転が苦手で、オホーツク管内の町中に行く者には、もう少し到着時刻が早い方が良い。旅行者にとって、最も理想的な到着時刻は、午前9時半頃である」との希望を述べたことがある。それに対して、その船員は「効率的な燃費を考えると、このくらいのスピードが最善になる」旨の説明があった。この説明を聞いて、我が輩は、乗客たちに出航時の夕食、翌日の朝食、さらに昼食を取らせるために、敢えて午後1時半の到着時刻にしているのではないか、と推測したものだ。

もしも、到着時刻が午前9時半であれば、旅行者は苫小牧や札幌などで昼食を取ることが出来るし、我が輩も無理なくオホーツク管内の町中に到着出来る。このほか、知床半島根室という遠距離にある旅先にも、無理なく当日中に到着出来るし、襟裳岬を回って帯広市付近に宿泊することも出来る。つまり、到着時刻が早まれば、北海道本来の雄大な自然を味わえる「道東」や「道北」という観光地に、無理なく当日中に到着出来るのだ。

という訳で、新造船の就航に対しては、船内に多少関心があるものの、到着時刻が変わらないので“がっかり"なのだ。運行会社である商船三井フェリーは、日本の商船会社では大手であるので、北海道旅行者や観光業への貢献を考慮して、少しでも早く到着する努力をお願いしたい。その意味で、我が輩の“がっかり"を個人的な不満と考えず、北海道旅行者の身になって検討して欲しい。切に切に、お願いする次第である。