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続・学校管理下の柔道事故を考える

昨年4月から中学校で武道が必修化されたが、最近、これに関する良い著書が出版された。著書名は「柔道事故」(河出書房新社)で、それによると、

○死亡事故だけを数えても、学校柔道において29年間(1983〜2011年度)で118名の子供が命を落としている。学校段階別に見ると、中学校が40件、高校が78件で、年次推移では1980年代は年平均5、4件、90年代は4、4件、00年代は2、4件と減少傾向にある。そして、中学校のうち1年生が52、5%(21件)、高校も1年生が65、4%(51件)で、どちらも「初心者」が高い値を示している。

○中学校では部活動が92、5%(37件)、高校では83、3%(65件)と、中高ともに死亡事故の大半が「部活動」中に起きている。死亡に至る経緯を見ると、柔道固有の頭部外傷(急性硬膜下血腫など)が、中学校で75、0%(30件)、高校で59、0%(46件)である。

○重症の頭部外傷事例32件のうち、技が分かっている24件の内訳を見ると、大外刈りが9件と最も多く、大内刈りと背負い投げが共に3件と続いている。

そもそも柔道必修化の背景には、2006年12月公布・施行の教育基本法の改正があり、その中に「我が国の伝統、文化を受け止め、それを継承・発展するための教育の充実」にあるようだ。しかし、柔道は、戦場で戦う手段としての武術から生まれた競技であるので、当然の事として危険な技がある。その最たる技が大外刈りだ。

格闘技には、相撲とレスリングもあるが、それほど危険な競技ではない。何故なら、相撲の投げ技は、投げるというより、振り回すという感じである。フリースタイルのレスリングは、相手を持ち上げても、下ろす時には膝を付く。投げる事が目的ではなく、押さえ込む事が最終目的であるので、ある面では丁寧に下ろす事になる。

一方、柔道競技は、相手を投げる事を最終目的にしているので、相手がどこの部分から落ちるのかわからない面がある。だから、柔道関係者は、もう少し柔道は危険なスポーツである事を自覚してもらいたい。そして、初心者の中学生や高校1年生は、危険な大外刈りは禁止技にするべきだ。