オホーツク管内の高校野球部の現状

北海道新聞(オホーツク遠軽紋別版)」(8月31日付け)が、久しぶりにオホーツク管内の高校部活の現状を取り上げた。その部活動とは野球部のことで、「管内の高校野球部員数 ピーク時の半分」「秋の支部予選参加は9チーム 小中高で連携知恵絞る」「少子化や高額な道具影響か」という見出しで紹介した。

オホーツク管内高校野球の部員数減少に歯止めがかからない。2021年度の管内の部員登録数は、過去10年で最多だった13年度と比べて半減。少子化に加え、経済的に道具をそろえることが難しくなったり、丸刈りへの抵抗感などが影響しているとみられる。9月11日開幕の秋季全道大会北見支部予選の参加チーム数は9チームと1桁台に突入。関係者は減少速度を緩めようと知恵を絞っている。

「初球が大事だぞ」「ナイスバッティング」。8月下旬、北見柏陽のグラウンドでは選手13人が、キャッチボールなどのメニューをこなしていた。同校は9月に秋季大会を控えるが、新型コロナウイルスの影響で対外試合ができない上に、部員数が18人に満たないため紅白戦も行えないという。山田尊達部長は「実際に投手と打者が対戦するフリーバッティングを行うなど、できる限り実戦感覚を養えるようにしている」と現状を説明する。

高野連北見支部によると、13年度に511人いた部員登録数(マネジャーを含む)は毎年20〜40人ずつ減り、21年度は284人と300人を下回った。チーム数も激減しており、今夏の全国高校野球選手権大会北北海道大会の北見支部予選参加校は14校10チームと、21チームあった10年前と比べて半分以下に。3年生が引退し新体制で迎える秋季大会の北見支部予選の参加チームは、部員がいない大空、津別、清里を除く11校9チームとなる。部員の減少で、道高野連北見支部では17年に北大会出場枠が3から2に減少。このままでは1枠になるのではとの危機感も高まる。

高野連北見支部の佐藤静一事務局長は「支部内で切磋琢磨したほうが各チームのレベルも上がる。まさかこんなに早く減少するとは」と驚きを隠せない。

オホーツク中学校体育連盟によると、卓球やソフトテニス、バドミントンなどの個人競技は部員数を維持している一方で、野球をはじめサッカー、バスケットボールなど団体競技は減少が続く。その中でも野球は道具一式をそろえると数万〜数十万円かかり保護者の負担が大きいことや、髪形を丸刈りにすることが慣習となっていることなどが敬遠されているという。

苦境が続く中、管内の野球関係者は対策を進める。道高野連北見支部は19年から、小学3年生以下を対象に、野球部員とキャッチボールやストラックアウトを楽しむイベント「オホーツクキッズフェスターinきたみ」を開催している。新型コロナの影響で2年連続の中止が決まったが、佐藤事務局長は「小中高の縦割りで連携し、未経験者に野球は楽しいスポーツと伝えたい」と話す。

また、北見商などは丸刈りを強制せず、生徒が好きな髪形を選べるようにしている。北見工も、3年前から校則の範囲内なら髪を伸ばしてよいとした。同校の田苅子弘之監督は「伝統も重要で坊主も否定しないが、選手本人が楽しんでプレーできるよう環境を整えるのも大事」と話す。

国内の少子高齢化の進展で、別段オホーツク管内だけの問題ではないと考えると思う。しかしながら、北海道の辺境に位置するオホーツク管内は、岐阜県と同じ面積で、昨年の国勢調査で約28万人まで人口が減少している。その意味で、なおさら悩みは深いのだ。

例えば、他の競技の現状を見ると、ラグビーは今夏の「全道大会オホーツク支部予選」には5チームが参加した。しかし内実は、他の部活生徒の助っ人の応援を入れて出場したのが3チームあり、遠軽と北見北斗も1年生が加わって、やっと単独チームが成り立った。これでは、大怪我に繋がるし、もしも花園に出場しても大敗するのではないか、と余計な心配をしてしまう。

また、吹奏楽コンクールも、今夏の北見支部大会のA部門(55人以内)に出場した高校は、遠軽と北見北斗だけであった。数年前は5校くらい出場していたと記憶しているが、今年は大編成バンドのA部門は2校まで減少していた。つまり、大勢の団体競技では、もう「北見支部大会」は成り立たたない状況にあるようだ。

話しを野球部に戻すと、高校野球もあと10年も経つと、オホーツク管内の単独チームは、網走南ヶ丘、美幌、北見北斗、北見柏陽、北見工業、遠軽紋別の7校まで減少することが誰でも予想できる。それくらい、オホーツク管内団体競技は厳しい現状にある。

ところで8月5日、滝上町の友人から次のようなメールが送られてきた。

ー中学軟式野球の滝上中・興部中・西興部中の連合チームが、北海道大会(第38回全日本少年軟式野球北海道大会、7月17〜19日)で優勝し、全国大会への出場を決めた。生徒数が少ないので単独チームが作れないため、滝上中6人、興部中8人、西興部中7人の生徒21人で結成したが、規定により18人が選手登録して大会に臨んだ。連合チームは、平日はそれぞれの学校で練習し、週末に集まって合同練習を行ってきた。北海道大会では、1回戦が新日高三石中に7対1、2回戦は函館桔梗中に6対1、準々決勝では登別ビック・フラップ・オーシャンに4対0、準決勝では士別南・名寄東中に3対0と快勝し、決勝は宿敵の北見北光中を4対3で振り切って優勝した。全国大会は、今年も8月15〜19日に、横浜市で行われることから「ハマの甲子園」とも呼ばれる、由緒ある大会である。

 町としても、小規模校でも連合チームで全道優勝は画期的なことであるので、しっかりと応援してきた。全国大会の1回戦は、長崎県の波佐見中と当たるが、ここまでは7月22日段階の話し。

ところが8月に入ると、全国大会がコロナの感染拡大で“突如中止する"との連絡があり、子供達は大変悲しんだ。オリンピックも終盤を迎え、高校野球も始まるというのにだ。

そういうことで、先にも後にも連合チームが北海道代表になることはない快挙であるので、子供達の努力の結晶に応えたいと考えた。そこで、時期や開催場所などを代えて、何とか実施してもらえるよう、地元代議士に要請することにした。ー

という経緯であったので、昨夜、その友人と話しをしたところ、全国大会は急遽、長崎・佐賀両県に会場を移して開催(8月23〜25日、16チーム)されたという。その結果、1回戦は勝利し、準々決勝は優勝した石川県の星陵中に6−0で負けたというのだ。

以上のように、昔からオホーツク管内のスポーツ競技はレベルが高かった。しかし、今後を占うと、段々とオホーツク管内から団体競技チームが消えて行くことが予想できる。だから、吾輩は母校・遠軽高校を応援するし、このように記録を残すために文章を作成しているのだ。