日本ラグビー界の目指す方向について

今月10日の全国大学選手権決勝、11日の全国高校大会決勝で、筆者の2015年度のラグビーシーズンは終了した。しかし、考えてみると、今月24日には、トップリーグ決勝、31日には日本選手権決勝がある。

ラグビー日本代表の前ヘッドコーチのエディー・ジョーンズは、前日本代表主将・広瀬俊朗に対して、何度も「日本ラグビー界は、何も変えたくないようですね」と述べていた。つまり、日本ラグビー界の現状に対して、強く疑問を持ち“嫌み"を述べていたのだ。

筆者なりにエディーの疑問を想像すると、日本のラグビー関係者が、日本代表やトップリーグより、大学ラグビーの試合の方が盛り上がる現状に対して、何ら疑問を感じていないことに怒りを持っていたのでないか。つまり、エディーは「大学ラグビーで国際的な選手は育たない」と痛烈に批判しているように、日本代表やトップリーグの試合が盛り上がらないと、本当の意味で“ラグビー人気"や“選手強化"に繋がらないと考えていたと思う。

その大学ラグビー界も、問題を抱えている。最大の問題点は、関東大学の「対抗戦グループ」と「リーグ戦グループ」に分裂した背景にある。分裂は1967年であるので、その経緯を詳細に知っている人は、少なくとも70歳以上の関係者だけである。しかし、筆者は以前から“リーグ戦派"の考え方に正当性を感じている。

要するに、“対抗戦派"の伝統校が、歴史や伝統を盾に自らの試合日程を変えないことに疑問を感じていた。スポーツが文化である以上、歴史や伝統を重視することは必要だが、ただただ歴史や伝統だけを叫んでいるだけでは、単なる“わがまま"になってしまう。その“わがまま大学"の最大の犠牲者は筑波大学で、対抗戦グループで上位成績を残しても、翌年の試合日程は前半から強豪校との試合になる。

これでは伝統校は、大学ラグビーの発展よりも、自らの“大学繁栄"を優先していると見られても仕方がない。ラグビーの歴史に詳しい人は、筆者の言わんとすることが理解出来ると思う。

という訳で、筆者も大学ラグビー界の現状に対して熱くなるのではなく、日本代表やトップリーグの試合で熱くなる必要性を感じている。自戒を込めて、この文章を作成した。