軽井沢町のバス転落事故で思考したこと

今月15日未明、長野県軽井沢町でスキーツアーの大型バスが路肩に転落して、乗客・乗員14人が死亡するという大惨事が起きた。その後、当局の捜査などから、少しずつ事故原因の背景が明らかになってきた。

その事故原因の中で、筆者が一番驚いたのは、わずか“千円程度"の高速料金を浮かすために事故を招いたことだ。すなわち、当初、関越道の高坂SAで休憩し、東松山ICを降りて一般道を走行、その後、再び上信越道の松井田妙義ICに入り、佐久ICを降りて一般道を走行する予定であった。

ところが、高坂SAの混雑で、降りる予定の東松山ICを通過し、その先の上里SAで休憩した。その結果、東松山ICから降りた藤岡IC(推定)間の高速料金“千円程度"を余計に出費したので、その“千円程度"の帳尻あわせをするために上信越道に入らず、一般道の碓氷峠を通ったという。わずか“千円程度"をケチたために大惨事…。何とも可哀想な学生たちだ。

その外にも、色々と疑問点がある。例えば、

○バス会社は、大型バス7台を所有しているが、一番安く受注(国の基準額の下限<約26万円>を下回る19万円)したツアーには、契約社員の運転手を当てたのか?

○運転手が二人乗車しているにも関わらず、技量不足の運転手がなぜ難しい道路を運転したのか?

いずれにしても、諸悪の根源は、2002年2月施行の改正道路運送法にある。この法律によって、ツアーバスなどの民間貸し切りバス事業者は、00年度の2864社から12年度は4536社に増加した。つまり、増加したバス事業者のほとんどは、順法精神が欠落した零細バス業者だと考えられる。

人間長く生きていると、僅かばかりの料金をケチったために、大変な思いをすることは、誰でも経験しているはずだ。しかしながら、大勢の人命を預かっているバス事業者は、僅かばかりの経費削減が、大勢の命を奪うことを自覚して、経費削減の社員教育だけではなく、安全運転の心構えも十分に教育して欲しい。そして、順法精神が欠落しているバス事業者は、利用者が運転手を選べない以上、当局は市場から強制的に撤退させるべきだ。もう、二度と同じような悲惨なニュースは聴きたくない。