中朝国境の白頭山に大噴火の予兆?

最近ネットで、朝鮮問題専門家などが、北朝鮮と中国の国境に位置する「白頭山」(標高2744㍍)に大噴火の予兆があると警告している。吾輩などは、もう40年前から白頭山が活火山である以上、いつかは噴火すると見ていたので、ついにその時が来たかという心境である。だが、噴火の予兆は以前からあるのだ。

それでは、何故に白頭山の噴火に関心を持つのかというと、もしも巨大噴火の場合、大げさにいうと東アジアの歴史を変える可能性がある。つまり、あの迷惑国家、圧制国家、金一族国家の北朝鮮が、白頭山噴火の影響を間接的に受けて、崩壊することも“無きにしもあらず"であるからだ。

そこで、まずは西暦948年と言われている白頭山の巨大噴火は、どのようなものであったのかを含めて、地元の図書館で見つけた書物と、吾輩が持参していた朝日新聞記事の2つで把握したい。

①書名「歴史を変えた火山噴火」(著者=元朝日新聞記者・石弘之、刀水書房、2012.1.17初版)

ーアジア大陸側でも危険な火山がある。中国吉林省北朝鮮両江道の国境地帯にある白頭山(別名、長白山)である。2006年にロシア非常事態省は、噴火の兆候があると発表した。また、中国の研究者は2014〜15の間に噴火する可能性を指摘、韓国気象庁も警戒を強めている。

白頭山は946年に大噴火を記録したことがある。噴出量は83〜117立方キロという膨大なものだった。このときに、火山灰が北海道、青森県秋田県北部に降りそそいだという記録がある。八甲田山系でも数センチの火山灰層が残されている。2008年の日・中・韓・北朝鮮4か国の研究者による共同調査で、過去2000年間で世界最大級の噴火が926〜980年に起きていたことを突き止めた。大規模な噴火の周期を1300年に一度、小規模なものは170年に一度と推定している。前回の大噴火は1903年である。

1990年代以降、白頭山周辺では群発地震や火山ガスの噴出、温泉の水温上昇が相次いで報告されている。2005年には山頂で2センチの隆起が確認され、山麓では火山ガスによる木の枯死が目立つ。「いつ噴火してもおかしくない状態」がつづいている。大規模噴火の場合、北朝鮮や中国だけでなく、日本やロシア、さらには地球レベルの気象への影響が懸念される。

山頂のカルデラ湖「天池」には10億トンという水が貯まっていて、噴火で湖が決壊すれば、鴨緑江松花江豆満江に流れ込んで山麓に大洪水を起こしかねない。中国の専門家は白頭山が噴火すれば、半径60キロ以内に住む約10万人が大きな災害がおよぶと警告している。ー

②2012年10月6日付け「朝日新聞」ー北朝鮮白頭山に灰、10世紀以前にもー

北朝鮮と中国の国境に位置する白頭山は10世紀に巨大噴火を起こし日本にも火山灰が降ったことが知られている。その100年以上前にも日本に火山灰をもたらした巨大噴火があったことが、北海道大や東北大などのチームの調査でわかった。再噴火すれば日本にも大きな影響が出るおそれがあることを示した。

白頭山の10世紀の噴火は、世界最大級の噴火とされる。日本海を越え、北海道や青森県なでに火山灰を降らせたことが知られている。チームは、白頭山で調査し、10世紀の大噴火期間は1年程度の間隔をあけて2回、その約100年前にも1回、計3回あることを明らかにしてきた。

北海道大の中川光弘教授らは、北海道の森町で調査し、白頭山の10世紀の噴火で飛来した火山灰を見つけた。よく調べると2回分の噴火の火山灰であることがわかった。さらにその下に、これまで北海道駒ヶ岳の噴出物と考えられてきた厚さ2㌢の火山灰層を確認。化学組成を分析したところ、白頭山起源であることがわかった。今後、ほかの場所でも見つかるか調べる。

白頭山噴火は、これまで考えられてきたよりも長期間、日本に影響を与えた大規模なものと推定された。

最近、白頭山の活動が活発という報告がある。「10世紀のような噴火があれば、航空路が止まるなど大影響を与える恐れがある」と中川教授。14日から長野県で開かれる日本火山学会で発表する。ー

というわけで、如何に巨大噴火であったかが、理解できたと思う。吾輩は1990年代に、白頭山の中国側で温泉ホテルを経営(日中合弁)していた在日朝鮮人の言動を、また聞きしたことがある。「地震が度々あり、夜中に寝ていると、地底から何とも言えない振動がある。噴火するのでないかと不安である」という発言である。そんなことで、90年代から白頭山の火山活動には関心を持っていた。

それにしても、地元の図書館で10世紀前半の巨大噴火に関する書物を探したが、意外にも少ない。その背景は、どうやら唐(618〜907)や渤海国(698〜926)を経た時代であることから、正確な記録が少ないようだ。このため、大噴火の年代もまちまちであるし、研究素材も不足していることで、その関連の書物も少ないと考えた。

しかしながら、日本の安全保障が問われている地域である以上、この活火山・白頭山の現状を把握することは必要不可欠である。と同時に、注意喚起する意味から、白頭山の大噴火に関する文章を記してみました。