北朝鮮の人口問題

今月18日の朝日新聞の特集記事で、北朝鮮の人口を見て驚いてしまった。何故なら、北朝鮮の人口が約2445万人と掲載されていたからだ。

そして、思い出した。1ヵ月前、あるテレビ局で北朝鮮専門家が「最近、北朝鮮の農業生産量が上がってきたので、それほど穀物不足が深刻化していない」との説明。その際、我が輩は「北朝鮮の人口が減少したから穀物不足が解消したのではないのか」と感じた事を。

北朝鮮は、1993年に国連人口基金の支援を受けて国勢調査を実施、この時の人口は約2121万人であった。この時期は、北朝鮮経済にとってピーク時で、当然のことながら人口もピークのはずだ。ところが、最近の新聞も北朝鮮関連本も、人口が減少するどころか、逆に増加した数字を掲載している。

北朝鮮は、1996年から2000年までの間、「苦難の行軍」として餓死者が出ている事を認め、世界に対して食糧支援を要請。当然の事として、この時期は沢山の餓死者が出たはずだ。どのくらいの人々が亡くなったのか、ネットで調べてみた。

公的機関の中で最も数字が多かったのは350万人、最も少なかったのは27万人。餓死者の数が、こんなにも違うのだ。だから、今になっても北朝鮮の人口がおかしな事になっている。

実は我が輩は、10年前から“北朝鮮の人口は2000万人以下ではないか"と疑っている。だから朝日新聞の数字に異議を唱えた。

具体的な根拠はない。ただ北朝鮮の北東部都市・ハンフン市(人口約80万人)の餓死者が最も多く、“餓死者が町中に溢れている"との情報に接した時、これは酷い事になっていると思った。何故なら、ハンフン市は戦前、日本が東洋一の水豊ダムを建設して、北朝鮮最大の化学工業都市にした。そして、この街で生産される窒素肥料は、農業にとっては最も重要な品目である。その都市が、壊滅したというのだから、北朝鮮の人口は相当減少したと考えた。

要するに、北朝鮮は1958年頃から正確な統計を発表していない。だから、国連や韓国の情報機関などが発表した数字も、あくまでも推計値でしかない。もしかしたら、北朝鮮自身も正確な数字を把握していないと思う。そのくらい約2445万人という数字は、信用出来ない数字なのだ。