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新横綱・稀勢の里の期待度

遂に大関稀勢の里が、横綱に昇進した。そこで、新横綱稀勢の里の期待度について考えたい。その背景には、年齢が30歳6ヵ月(昭和以降7番目)であることと、優勝回数がまだ1回であることだ。稀勢の里本人も、我々相撲好きも、横綱昇進は通過点であると考えており、その意味で今後の優勝回数の積み重ねに期待している。

歴代横綱の中で、優勝回数が1回で引退した力士は、過去に6人(別にゼロが双羽黒)いる。そのうち、昭和以降に引退した横綱を紹介すると、3代西ノ海武蔵山安芸ノ海、前田山、吉葉山であるが、全て年二場所制の時代である。それを考えると、現在の優勝1回は、この時代の三分の一の価値しかない。そのため、以前から歴代優勝回数の中に、双葉山の12回を年六場所制の大鵬32回、千代の富士31回、白鵬37回と一緒に比べていることに疑問に感じていた。つまり、年二場所制の優勝回数を現在の優勝回数と並べるならば、3倍にして比較しないと、公正ではないし、意味がないと考えるのだ。

筆者は以前から、力士の力量年齢のピークは、個人差が相当あると感じていた。例えば、多くの力士は二十代後半がピークで、あんこ型の押し相撲力士は二十五歳前後がピークである。しかしながら、初代若乃花千代の富士のような四つ相撲で筋肉質の体型は、三十代前半がピークになる。例えば、若乃花は優勝10回のうち三十代が8回、千代の富士は優勝31回のうち三十代が19回で、二十代の時よりも多い。両横綱は、テレビや出版物のインタビューで「三十代の方が力が出た」と述べていた。

ちなみに、昭和以降、35歳以上で引退した横綱を紹介すると、宮城山35歳、3代西ノ海37歳、男女ノ川38歳、羽黒山38歳、前田山35歳、吉葉山37歳、栃錦35歳、千代の富士35歳である。意外にも、高年齢で引退している横綱が多く、特に昭和20年前後が多い。それを考えると、現在は栄養面、トレーニング方法、医療体制が充実しており、さらなる高齢化してもおかしくない。

さて、稀勢の里に戻るが、意外にも稀勢の里の体型は、厳しい稽古を積んだ“筋肉質の体質"ではないのか。そうすると、三十代がピークであっても不思議でない。今後2年間の12場所で、最低8回は優勝すれば、筆者の推測が当たることになる。推測の背景には、現在の白鵬日馬富士鶴竜の3横綱が、明らかに力量が落ちているし、有力な若手力士が見当たらないという現実もある。

いずれにしても、あと2年経てば、筆者の期待値が外れるか否かが判る。外れないことを願って、稀勢の里の活躍に期待したい。頑張れ、第72代横綱稀勢の里

大関稀勢の里と地元紙「茨城新聞」

筆者は、2013年7月7日付けで「大関稀勢の里の綱取り」という題名で、文章を作成したが、その後も当然のごとく、稀勢の里の相撲には注目してきた。今場所の中日くらいか、友人に対して「稀勢の里は、今場所優勝するのではないか」と尋ねたところ、友人も感じていたようで、ともに「全勝か14勝の優勝であれば、横綱に推薦しても良いのではないか」との意見になった。そのため、14日目に横綱白鵬が負けて優勝の決まった夜に、一部メディアが“稀勢の里横綱推薦が決定"という報道には大変驚いた。つまり、白鵬との対戦を無視して、稀勢の里横綱昇進を決めたことに多少疑問を感じたからだ。だから、千秋楽に白鵬を破って、花を添えた時には、本当に嬉しくなった。

そして、茨城県では、稀勢の里の優勝を地元紙「茨城新聞」は、どのように報道しているかが知りたくなった。そこで、昨日と本日、利根川を渡って「茨城新聞」を購入してきた。当然のごとく、一面トップで、昨日は「稀勢の里 初優勝」、本日は「稀勢の里 横綱確実」という見出しであった。

茨城新聞を読んで、相撲好きの人にも読んで欲しい記事があった。そこで、本日付けの記事を紹介することにした。

<いばらき春秋>

嗚呼…。大相撲初場所の表彰式で賜杯を抱く稀勢の里をテレビで見ながら、結果的に稀勢の里に翻弄され続けた、県南地域での記者生活、運動部デスク生活を思い起こした。優勝のチャンスのたびに肩透かしを食らい、本欄でも叱咤激励し続けた。

一年前に本欄で、稀勢の里が母校の竜ヶ崎市立長山中学校を訪れたことに触れ、「努力することは大切だとという大前提で、稀勢の里は後輩たちにどんな『教訓』を残すだろう。『頑張ればいずれ花開く』『頑張っても報われない事もある』」と書いた。花は開いた。

先月は「一度賜杯を抱けば、綱への“電車道"が一気に開けるような気がする」と書いた。道は開けた。

優勝を決めた夜に筑西市内で出身大学の校友会があり、稀勢の里の話題で大いに盛り上がった。多くの県民が初優勝を待ち望んでいた。

好角家の中には慎重論もあるが、安定感ピカイチ。場所後の横綱昇進が確定的だ。ただし、綱を張ることはゴールではない。これから優勝を重ね、名横綱、大横綱になることが求められる。

来場所は地位にふさわしい成績を残して、昇進が上げ底でなかったことを証明しなければならない。そして、もっともっと花を咲かせ、県民に勇気と元気を与えてほしい。

<論説>ー角界背負う強さをー

…県民としてはやはり郷土力士としての期待が一層高まるだろう。武双山雅山などこれまでも実力者を輩出してきたが、残念ながら横綱には届かなかった。本県出身の横綱は江戸期の稲妻雷五郎(第7代横綱、現稲敷市出身)、明治・大正期の常陸山谷右衛門(第19代横綱水戸市出身)、昭和期の男女ノ川登三(第34代横綱、現つくば市出身)の3人。男女ノ川横綱を務めたのは1936年から42年までで、以来、本県出身の横綱は出ていない。

稀勢の里が大相撲界に身を置いて15年目となる。遅咲きでも大輪の花を咲かせることはできる。郷土が誇る一層の飛躍を願う。

このほか、社会面には、竜ヶ崎市役所に「祝優勝 稀勢の里 松葉小・長山中出身」と記された懸垂幕(縦約7㍍、横約80㌢)が飾られたという。読んでいくと、「懸垂幕は、2013年5月の夏場所稀勢の里関が横綱白鵬関と優勝争いを繰り広げた際に作ったが、その時は残念ながら飾る機会がなかった。それ以来、庁舎内の倉庫に保管されており、4年越しでのお披露目となった」という。本当に、使用出来て良かったと思った。

どうですか。茨城県民の興奮度や期待度が伝わりましたか。うーん、あなたの興奮度が伝わってきた。これは、失礼しました(笑)。

トランプ当選とサイバーセキュリティ対策

米国の国家情報長官室は6日、昨年11月の大統領選をめぐる一連のサイバー攻撃は、ロシアのプーチン大統領が指示したと結論づける報告書を発表した。しかし、サイバー攻撃の基本的な知識がない我々一般人は、今回の事態を余り深刻に考えていないと思う。

そこで筆者は、サイバーの専門家ではないが、少しでもサイバー攻撃の恐ろしさや、脅威を明らかにしたい。先ずは、警察官僚が書いた著書「インテリジェンスの基礎理論[第二版]」(著者=小林良樹、平成26年6月15日発行)の中の「サイバー攻撃の形態と事例」という項目を紹介する。

こうしたサイバー攻撃の形態としては、いわゆるサイバーテロとサイバースパイ(あるいはサイバーインテリジェンス)の2種類が問題と有り得る。

第一に、サイバーテロとは、重要インフラ(情報通信、金融、航空、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道及び物流の各分野における社会基礎)の基幹システムに対するサイバー攻撃によりインフラ機能の維持やサービスが困難となり、国民の生活や経済活動に重大な被害をもたらす場合を指す。こうしたサイバーテロの主な類型としては次のようなものが有り得る。

①コンピュータへのアクセス集中(DDoS攻撃)

複数のコンピュータ経由で特定のウェブサイトなどに大量にアクセスし、コンピュータを正常に作動させなくするもの。

②不正プログラムへの感染(いわゆるウイルス攻撃)

不正プログラムとは、コンピュータに感染し、コンピュータ内部に保存された電子データを破棄したり外部に流出させたりするなど、利用者の意図しない動作を引き起こすプログラム(コンピュータ・ウイルス等)をいう。感染は、電子メールの添付ファイルやUSBメモリ経由等で行われる。

不正アクセス

他人のIDやパスワードを盗用したり、セキュリティの脆弱性を悪用することなどにより、コンピューター内部に不正に侵入するもの。

…米国の国家情報長官傘下の国家カウンターインテリジェンス室(NCIX)が2011年11月に発表した「外国による経済・産業スパイ報告書2011」において、近年、特に中国あるいはロシアと関係する組織や企業が米国内のコンピュータネットワークへの違法侵入や知的財産の違法取得に活発に従事している旨を指摘している。

更に、本書では近年の国際社会における大規模なサイバー攻撃の例として、07年4月:エストニアの政府・金融両機関等、08年7月:リトアニア政府機関等、09年7月:米国・韓国の政府機関、10年9月:イランの原子力発電所等、11年3−4月:韓国の政府機関等に対する攻撃を紹介している。

このほか、我が国の政府機関・私企業等に対するサイバー攻撃の例として、10年9月:警察庁等、11年7月:警察庁、11年9月:人事院内閣府等、11年9月:三菱重工(株)、11年10月:外務省の在外公館等、11年10-11月:衆議院参議院に対する攻撃を紹介している。

つまり、サイバー攻撃は、米国だけの問題ではなく、我が国を含めた世界的な問題になっている。その意味で、我が国はそれなりのサイバーセキュリティ対策費は十分であるのか、と考えるのだ。

13年6月27日、米軍制服組トップが講演で「サイバー攻撃は国家の安全保障にとって明らかに最も深刻な脅威となった。マウスをクリックしただけで国家全体を破壊できる世界に我々はいるからだ」と指摘した。そして、今後4年間でサイバー司令部要員を4千人(当時9百人)増やし、安全保障対策に230億ドル(約2兆3千億円)を投入するとした。一方、我が国は、16年度の「内閣サイバーセキュリティセンター」の要員が180人で、政府のサイバーセキュリティー関係の予算額が499億円という。

即ち、日本は米国に比べて、人員で3.7%、予算額で8.7%しかない。この事態で、果たして我が国の安全保障は保たれるのか、と考えてしまう。遅きに失しないことを、祈るだけである。

プーチンとキッシンジャーとの接点

謹賀新年

今年も幸多き年でありますようお祈り申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。

さて、年末にいろんな雑誌を読んでいると、ロシアのプーチン大統領キッシンジャー国務長官が、相当親しいという。更に、年末に郵送されてきた月刊誌「選択」で、プーチンとの関係が深い米石油大手「エクソンモービル」会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーセン(次期国務長官)より、キッシンジャーの方が親しいという記事である。その記事では、ティラーセンは「キッシンジャー国務長官を除いて、一緒に過ごした時間が最も長いアメリカ人」(トランプ次期大統領)と書かれていた。

そこで筆者は、何故にプーチンキッシンジャーが親しくなったのか、と考え込んでしまった。そして、2015年10月末に発売された新刊本「プーチンの実像ー証言で暴く『皇帝』の素顔」(著者=朝日新聞国際報道部、349ページ)という本を思い出した。そこには、キッシンジャーが、プーチンサンクトペテルブルグ市第一副市長時代(1994年3月〜96年6月)に、サンクトペテルブルグを訪問して、プーチンが出迎えた時の状況が書かれている。その文章(177〜78ページ)を紹介すると、

プーチンキッシンジャーの言葉を紹介しただけではなかった。会ったときの様子を、まるで昨日のことのように事細かく再現している。

「当時、サンクトペテルブルグの発展と外国投資誘致のための『キッシンジャー・サプチャーク』委員会というものがあった。キッシンジャーは確か二度ほどやってきた。私が彼を空港に迎えに行ったことがあった。同じ車に乗って、宿舎に向かった。道中、彼は私に尋ねた。どこから採用されたのか。何をやっていたのかと。好奇心旺盛な老人だった。寝ているように見えて、その実、すべて見て、すべてを聞いていた。私たちは通訳を介して話した。彼は『長くここで仕事をしているのか』と尋ねた。私は『一年ほどです』と答えた」

その後、キッシンジャープーチンはこんなやりとりを重ねたという。

「それまで何をしていたのかね?」

レニングラード市議会です」

「ではその前は?」

「大学にいました」

「大学の前は?」

「その前は軍にいました」

「どの軍にいたのかね?」

ここで、プーチンキッシンジャーを驚かせてやろうと思ったという。

「私は、情報機関で仕事をしていました」

しかし、キッシンジャーは動じなかった。

「外国で働いていたのかね?」

「ええ、ドイツで」

「東、西どちらか?」

「東です」

プーチンは、キッシンジャーが情報機関の出身だということをこのとき初めて知ったという。キッシンジャーはドイツのユダヤ系の家庭に生まれ、ナチスを逃れて米国に亡命。第二次世界大戦では、ドイツ語の能力を買われて、軍の情報部門に勤務していた。

「きちんとした人間は情報機関から始める」。キッシンジャーのこの言葉も、プーチンにとってはうれしいものだったに違いない。プーチンは大統領就任後も、折に触れてキッシンジャーと意見交換する機会を持っている。

ということで、両氏は約二十年前、サンクトペテルブルグで初めて会っている。その時のキッシンジャーは、実にしつこくプーチンの経歴を尋ねているが、このしつこさが本人を大学者にしたのかもしれない。

それでは、何故に何回も会うことになったのか。推測であるが、お互いに国際的視野を広げる上で有益であるし、戦略的情報(インテリジェンス)の重要性を理解しているからと思う。更に、現在の世界では、大量破壊兵器の製造及び拡散、国際テロという外的脅威に対抗するために、共同戦線を組むことも視野に入れていたかもしれない。つまり、一国で対処出来る問題ではないので、諜報ネットワークの構築という背景のことである。このほか、諜報に関わった人間は、現役を引退した今でも“情報の深層"に触れたいという願望があるものだ。

それにしても、高齢(93歳)のキッシンジャーの情報収集に対する熱意と、好奇心旺盛な姿には驚いてしまった。

JR北海道を救う道はこれしかない!

年末であるが、今年最後の文章を作成することにした。何故なら、北海道新聞が「社説」(12月26日付け)で、JR北海道経営の抜本的解決として、筆者と同じ見解を主張したからだ。それでは、その「社説」を紹介したい。

政府は2017年度当初の北海道開発予算案の総額を5464億円とした。…開発予算に求められるのは、こうした変化に見合った体制を整えるための基盤整備だ。その点で予算案は、まだ旧来の枠組みにとらわれている感が否めない。

…もう一つの特徴は、北海道総合開発計画で戦略的産業と位置づけた「食と観光」について、関連事業を拡大したことだ。新千歳空港では、国際ターミナルと滑走路を結ぶ航空機の誘導路増設を継続する。函館港、小樽港、稚内港では岸壁を整備し、大型クルーズ船を受け入れる。しかし、必要な交通基盤は空港や道路、港湾だけではない。

道内は今、JRの路線網維持が大きな問題となっている。JRは道民の足として必要なだけではなく、観光振興においても大きな役割を果たすことができるだろう。鉄道は、道路や港湾と異なり現在は開発予算の枠外だが、社会基盤整備の一環として、開発予算に盛り込むことを検討してもよいのではないか。そうした新しい考え方がほしい。

どうですか、筆者と同じ主張をしていると思いませんか。ある面、当然の主張である。

JR北海道は11月、「単独では維持困難」として、石北線新旭川〜網走間、宗谷線名寄稚内間、根室線の釧路〜根室間などの区間を挙げた。そして、この線区を維持するため、自治体が車両や線路の維持費を拠出し、JR北海道は列車の運行に特化する「上下分離方式」の導入などを、20年春までに自治体側と合意したいという。しかしながら、各自治体の財政事情を考えると、果たして現実的な考え方といえるのか、と思うのだ。

例えば、石北線の場合、このうちの上川〜網走間の営業赤字(管理費を含む)は28億3500万円(2015年度)という。これを沿線自治体が負担するとして、人口を基に負担金を割り出してみると次の通りになる。

網走市(3万8千人)=5億7千万円。

大空町(7千人)=1億円。

北見市(12万人)=17億9千万円。

遠軽町(2万1千人)=3億1千万円。

○上川町(4千人)=6千万円。

どう思いますか。毎年、各自治体が、これだけの金額を負担出来ると思いますか?やはり、ここは沿線自治体が負担するのではなく、北海道開発予算を活用すべきである。

筆者なりに、その理由を挙げると、

○観光資源や物流にとって、幹線鉄道はどうしても必要である。

○幹線鉄道沿いの農産物などは、都市住民に恩恵を与えている。

○道央部や道南だけの発展は、いずれ北海道全体の没落に繋がる。

ーなどと考えるのだ。いずれにしても、北海道新聞が、筆者と同じ主張することは、喜ばしいことであるし、心強いことである。

それでは、よいお年を迎えて下さい。また来年も、先見性のある文章作成を目指して頑張ります。

欧米諸国はロシアを警戒している

最近の雑誌や本を読んでいると、それなりの著名人が「米国や欧州のロシアに対する警戒心は、日本人が想像するよりも遥に強いものがある」旨の発言をしている。更に最近、NHK・BSで放送された番組「ロシア人の本音」を観ると、明らかに我々民主主義国家の国民と違う意見を述べている。例えば、多くのロシア人が「何でも勝たなけれダメだ。ドーピングも勝つための手段として許される」などと正々堂々と述べている。これでは、国際法を無視しての「クリミア併合」や、不法占拠の「北方領土」を返還しないことなど、ロシア当局にとっては当然の帰結である。つまり、ロシア人は、欧州の一員であるが、明らかに近代国家としての価値観や素養がないので、尚更、欧米諸国はロシアを警戒するのだ。

そうした中で、最近発売された週刊誌「日経ビジネス」(2016.11.28)の中の記事、「NATOとの対決姿勢強めるロシアープーチン来日の狙いは」(文章=熊谷徹・在独ジャーナリスト<元NHKワシントン支局員>)を紹介したい。何故なら、具体的に欧米諸国とロシアの対立軸を解説しているからだ。

○ロシアと欧州諸国との軍事的な緊張が高まりつつあり、「東西冷戦」の可能性が再燃していることはそれほど知られていない。対立のきっかけは2014年3月のクリミア併合だ。…それ以後、NATOでは「ロシアが次に狙うのはバルト3国」という見方が強まっている。

○バルト3国の問題は、ロシア系住民の多さだ。ラトビアのロシア系住民比率は25.8%。エストニアは25.1%、リトアニアは4.8%がロシア系だ。…ウクライナもロシア系住民の比率が17%と比較的高く、クリミア半島では住民の約60%がロシア系だった。つまり、「ロシア系住民の権益を守る」という大義名分が、バルト3国に対しても使われる可能性がある。

○攻防の焦点がポーランド北東部のスバルキという町だ。ロシアはバルト海に面したカリーニングラード(旧ケーニヒスベルク)周辺に飛び地を持つ。…飛び地からベラルーシまでの100㎞の地峡部を意味する「スバルキギャップ」という単語は、欧米の外交官や軍事関係者の間で頻繁に使われている。NATOは「東西間の対立が高まった場合、ロシア軍の戦車部隊がベラルーシからカリーニングラードへ向けて進撃する」と警戒している。

○2013年、ロシアはカリーニングラード周辺で7万人の兵士による大規模な軍事演習を実施した。対空ミサイルを配置したほか、今年10月には核弾頭を装備できる地対地ミサイル「イスカンデル」を配備したばかりだ。それに対し、NATOは今年7月にポーランドワルシャワで開いた首脳会議で、ポーランドとバルト3国にそれぞれ1000人規模の戦闘部隊を駐屯させることを決定した。

以上の文章に付け加えると、11月28日に英国とポーランドの両首相が会談し、英国が来年4月にポーランド北東部に150人の兵士を派遣すると表明した。一方、ロシアは東欧の国境付近に33万人の兵士を集結させているという。

即ち、プーチンの日本訪問は、欧州で緊張状態が続いているので、経済活動を東方に向けただけだ。その意味では、国民は肩すかしをくらったが、その原因は、日本のメディアがロシアの“領土欲"を理解しないで報道したからだ。いずれにしても、東アジアの南シナ海東シナ海では中国軍の海洋進出で緊張が、欧州ではロシアの“失地回復"の動きで緊張が高まっている。それを考えると、今後も世界情勢を把握して行きたいと考えている。

長期戦でチャンスを待とう北方領土!

何も期待出来ない日ロ首脳会談が、12月15日と16日に山口県と東京で行われた。プーチンは、外交駆け引きなのか、日本を軽く見ているためか、常に“遅刻"の対応で行動した。それなのに、日本側は民間レベルでも68件の経済協力事業で合意して、その投融資総額は三千億円規模という。これでは、将来“食い逃げされた"と言うことになり、別段批評もしたくなくなった。しかしながら、将来的に禍根を残す政治的な合意がないので、安堵して書くことにした。

それにしても、千島列島を失ったことは、北海道にとっても、日本にとっても大きな損失になった。戦後の北方領土周辺では、漁船が延べ1341隻が拿捕され、9502人が捕らえられた。そして、銃撃や漁船への体当たりを受け、31人の漁業者が死亡した。また、根室市の目と鼻の先にある貝殻島での昆布採取では、今年もロシア側に対して9026万円のカネを支払っている。もう、何十年間も支払って採取しているのだ。

更に、水産業を見ると、戦前は北方領土4島周辺では約43万トンの漁獲量、根室市は10万トンの水揚げがあった。当時の漁獲量があれば、根室市の人口は5万人(現在は約2万7千人)、釧路市も25万人(現在は17万人)には達していた。また、釧路港から大洗港まで水産物を運ぶフェリーの定期船が運行されていたハズだし、JR北海道も札幌〜根室間に特急電車を運行していたハズで、今ほどJR北海道の経営状態が悪化することもなかった。今更ながら、残念な事態に陥ってしまった。

以上の現実を突きつけられると、重ね重ね書くが、1945年2月にソ連軍が対日参戦するという「ヤルタの密約」の情報を入手した段階で、米国に対して降伏するべきであった。よく有識者が「戦争を始めることは簡単であるが、終わらせることは難しい」と言っているが、当時の戦争指導者は、日本人が全滅するまで戦う方針であったのではないか。戦後のことを考えていた戦争指導者は、僅かであったので、同胞が本土や外地で悲惨な死に方をしたし、重要な領土も占拠された。その意味では、当時の戦争指導者をいくら弁明をしても、その責任を回避することは出来ない。と同時に、ロシアの蛮行も忘れてはならない。

北方領土の返還交渉では、長期戦で臨みたい。歴史の転換点は間違いなく訪れるのだから、その時まで待つべきなのだ。今年11月に来日した、昨年のノーベル賞作家のスベトラーナ・アレクシエービッチ(ベラルーシ)が、朝日新聞のインタビュー記事(12月16日付け)で、「ロシアほど、人々が戦争について語る国はありません。テレビには連日、新しい軍用機や軍艦が映ります。驚くべきは国民が再び強い軍になったと喜んでいることです」、「いずれロシアは戦争をするでしょう。新しい世代がロシアで育っていて、ニューパトリオット(新しい愛国者)と呼ばれいます。彼らは、プーチンですら『弱気だ』と非難する。ウクライナと戦争し、征服するべきだと言っている。恐ろしくなります」と語っている。

という訳で、筆者もいずれかの日に、ロシアは好戦的な体質から自ら墓穴を掘る見ている。その時まで、北方領土の全面解決は見通せないので、我々は長期戦でチャンスを待ち続けるべきなのだ。その時には、覚悟を持って対ロ政策実施するべきと考える。