まずは、4月3日付「北海道新聞オホーツク版」を読んで下さい。
◇
〈オホーツク開発費300億円 24年度 道横断道の調査費など盛り込む〉
網走開建は2024年度のオホーツク管内関係分の開発事業費を発表した。道路や治水、農業農村整備費に関する事業などを合わせた総額は300億2600万円で、新規事業として道横断自動車道の女満別空港…網走呼人間(10・9㌔)着手に向けた調査費などを盛り込んだ。
発表は1日付。項目別では道路が最多の175億3500万円。新たに取り組む女満別空港…網走呼人間の高規格道路の整備事業では、測量作業や道路調査などを実施する。具体的な着工時期は未定。
また、治水は41億1200万円で、25年度の供用開始を目指す大空町の河川防災ステーション整備費を計上。網走川で発生する水害の水防、復旧活動の拠点とする。その他の項目は農業農村整備が45億5200万円、水産基盤整備が29億2300万円、港湾整備が8億9400万円、都市水環境整備が1100万円。
◇
この記事を読んで、北海道開発予算(23年度の当初予算は6549億円)は、北海道の各開発建設部(10カ所)にどのように配分され、道路事業にどのくらい使用しているのかが知りたくなった。そこで、ネットで調べたところ、各開発建設部の事業費と道路事業費、そしてそのパーセンテージが判明した。
〇札幌開発建設部…1036億9100万円…388億9900万円(37・5%)
〇函館…291億7600万円…205億8800万円(70・6%)
〇小樽…310億6800万円…235億2800万円(75・8%)
〇旭川…429億8800万円…213億1600万円(49・6%)
〇室蘭…373億2500万円…209億6500万円(56・2%)
〇釧路…350億2200万円…227億8700万円(65・1%)
〇帯広…263億7600万円…114億3300万円(43・3%)
〇網走…300億2600万円…175億3500万円(58・4%)
〇留萌…130億1900万円…80億1700万円(61・6%)
〇稚内…94億8600万円…56億5000万円(59・6%)
やはり、北海道の開発建設部の予算額で最も多いのは、道路事業費(23年度の当初予算は2378億円)であることが判明した。やはりというのは、道内では依然として無料の高速道路である「高規格道路」を盛んに建設しているし、鉄道専門家が「日本の鉄道と道路の予算を欧米諸国と比べると、鉄道予算は断然少ない」という見解を聞いていたので、やはりと感じたのだ。そもそも鉄道専門家に言わせると、鉄道の設備投資は多額の費用がかかるにも関わらず、道路にかける国費が年間2兆円なのに対し、鉄道は1千億円に過ぎない。このため地方路線の設備はどんどん悪くなっており、このアンバランスを何とかしないと地方路線を維持することはできないという。
ということで、吾輩は以前からJR北海道の赤字額は、北海道開発費で補うべきであると訴えてきた。例えば、道路事業費の1割をJR北海道に回せば少なくとも237億円になり、それが実現するとJR北海道が「当社単独では維持することは困難な線区」(2016年)と位置付ける黄色8線区の赤字額130億円を負担できるし、そのほかに石北線での新石北トンネル建設や宗谷線と根室線の路線変更や設備を改良することができる。その結果、特急列車の最高時速が130㌔とか160㌔になるので、必然的に並行する一般道と勝負ができ、今よりも大幅に利用者が増加することになると考えるからだ。
この文書を作成して思ったことは、今こそ思い切って公共交通や観光振興のため多額の資金を鉄道に投入しなければならないのに、北海道選出の政治家たちの「前例踏襲主義の予算配分」という現状に何ら疑問を感じない無責任さであった。