日本の金融機関に前途はあるのか

最近の新聞を見て、一番驚く記事は銀行に関する報道である。3メガバンク地方銀行も、業務純益(本業のもうけ)が落ち込んでいるので、大幅な人員削減を計画しているという。

どうも、最も早く人員削減に触れた銀行幹部は、三菱UFJFGの平野信行社長のようだ。9月に「事務作業の自動化やデジタル化によって9500人相当の労働力を削減する」と発言したという。そして10月29日以降、マスコミ各社は、3メガバンクの人員削減計画を報道し始め、みずほFGは11月13日、正式に人員削減計画を発表した。

新聞報道を紹介すると、

○みずほFG=2026年度までに1万9000人を削減。店舗は24年度末までに100店削減。

○三菱UFJFG=23年度末までに9500人分の業務量を削減。店舗は23年度末までに半減することを検討。

○三井住友FG=19年度末までに4000人分の業務量を削減。店舗はペーパーレス化にする。

つまり、今までの経営スタイルであった、全国に多くの店や人員を置いて、サービスを展開するのは難しくなった。特に、銀行業界は給与水準が高く、人件費が重荷になりつつあり、欧米金融機関に比べて構造改革が遅れていたという背景もある。

実は昔、筆者は日本株の中では銀行株を中心に購入した。その理由は、銀行員は民間企業の中では、一番優秀な学生が就職しているので、株価が大幅に下がることはないと考えた。それを裏付ける話として、20年前に親しかった宇都宮市の会社経営者(昭和十年前半生まれ)が、「我々の時代、大学卒業生の中で、一番優秀な奴は公務員なら中央官庁、民間なら大手銀行、地方に戻る奴は県庁か地方銀行に就職した。だから、私も栃木県に戻るので、足利銀行に入行した。君の田舎の北海道でも、一番優秀な奴は道庁か北海道拓殖銀行に就職したハズだ」と述べた。

さらに、筆者は父親が公務員であったし、自分自身も公務員であったので、どうしても安定した会社の株を購入する傾向にあった。だから、自然と銀行株を買ったのだが、現実は、足利銀行北海道拓殖銀行は破綻するし、道庁は最近の10年間くらい、基本給の数パーセントを削減していた。どうも、銀行も県庁も、昔考えていたほど、安定した職場ではないようだ。

という訳で、様々な銀行株を購入したが、結局、半分近くは損切りした。しかし、現在でも三菱UFJFG、三井住友FG、りそなHDの株を保持しているが、りそな株は酷い状況下にある。りそな株は、株価が下落するたびに購入したのだが、今では二百万円以上の損失を出している。それだけに、銀行業界の前途を心配しているのだ。

昔、大手銀行の支店長の年収は二千万円、地方銀行の支店長の年収は一千五百万円と聴いたことがある。ところが最近、街中の社長がいうには、地方銀行の支店長の年収は、一千万円にも達していないというではないか。なぜ故に、経済活動の中心にある銀行が、これほどまで利益が上げられない状況に陥ったのか。経済誌や新聞は、人口減による資金需要の縮小と日銀のマイナス金利政策を背景にした貸出の「利ざや」の低下を理由にしている。確かに、貸出金利と預金金利の差の「利ざや」は縮小し、3メガバンクの実態は、三菱UFJFGは0.88%、三井住友FGは0.99%、みずほFGは0.82%という。銀行本来の利益が出る「利ざや」が、3%ということを考えると、銀行経営が厳しくなるのは当然のことである。

それでは、マイナス金利という状況は、正常なことであるのか。経済専門家の多くが「正常ではない」と言っている以上、いつかは正常になるのであろう。それでは、いつ正常な状況に戻るのかが問題だが、筆者が“ボケ老人"になったり、地方の金融機関が消滅してからでは、ちっとも嬉しくない。その意味では、政府にはしっかりとした舵取りをお願いするしかない。

最後は、筆者の故郷に所在する金融機関「遠軽信用金庫」(預金量=3048億円)について書く。以前、遠軽の稼ぎ頭は、札幌近郊でのアパートローンということを紹介したが、アパートローンは地方でのバブル化が指摘され、自粛の動きが広がっている。その中で、産経新聞(11月15日付け)が、大手銀行の今年9月末のアパートローン残高を掲載している。それによると、三菱UFJFGが1兆7000億円、三井住友FGが2兆3238億円、みずほFGは非公開、三井住友信託が5000億円、そしてりそなHDが3兆6038億円という。つまり、遠軽信金もりそなHDも、生産性の低い金融機関が、アパートローンの収益に頼っている感じを受けるのだ。

前記のことを考えると、人口減少時代にあって、人口が29万人以下まで減少したオホーツク管内に、遠軽信金のほかに「北見信用金庫」(預金量=4707億円)と「網走信用金庫」(預金量=2766億円)の3信金が存在する必要があるのか。正確に言えば、この先も3信金体制で、安定した経営が出来るのか。現在の地方銀行は、オーバーバンキング(銀行過剰)状態が問題視されているが、オホーツク管内の3信金体制も、同じ状況にあるのではないか。そうであるならば、体力のあるうちに再編や統合を実施することは、一つの選択肢と思う。そして話しは、りそな株価に移るが、果たして買値まで戻るのか、共に収益力の低い金融機関の前途を心配しているのだ。

道警警察官の懲戒免職処分を考える

最近、北海道の警察官の不祥事を扱った新刊本「見えない不祥事ー北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない」(著者=小笠原淳)を読んだ。この本を読む気になったのは、以前に「恥さらし 北海道警悪徳刑事の告白」(著者=稲葉佳昭)という本を読んだからだ。つまり、まだまだ道警警察官の不祥事があるのか、と思ったからである。

新刊本によると、北海道では道職員の「懲戒処分」を原則全件公表しているが、警察職員のみは唯一それを逃れ、多くのケースを封印されている。さらに、懲戒処分に至らない「監督上の措置」といわれる内部処理があり、この対象となる不祥事は、懲戒の6倍から7倍に上がっているが、これらも公表されないという。

そもそも、懲戒処分には、重いものから順に「免職」「停職」「減給」及び「戒告」の4つがある。免職はクビ、停職は一定期間仕事から干す、減給は給与カット、戒告はお説教程度。2015年は、懲戒処分が22件で、内訳は免職3人、停職3人、減給11人、戒告5人。さらに、懲戒処分に当たらない不祥事、「監督上の措置」は141件という。多いか否かは、各人感じ方は違うと思うが、警察という職場を考えると、多少多いのかもしれない。

ところで、懲戒処分の中で一番気になる不祥事は、16年に“強制わいせつ"の疑いで逮捕され、免職された巡査(31)=当時=のことである。この不祥事で思い出したことは、最近「逆転無罪」判決を勝ち取っている電車内の“痴漢行為"だ。この“痴漢事案"の場合、被害者の証言で逮捕されていることから、少しでも疑われないために、電車通勤の男性諸君が必ず吊革につかむなど、常に手を挙げているという“笑えない話し"を聴いているからだ。

元巡査の事案に戻ると、道警の監察官室が、余りに警察官の不祥事が多いので、被害者の証言だけに依拠し、独自の論理で懲戒処分に導いた可能性があるのでないか、と疑ったからだ。著者の小笠原氏も、事案そのものを疑問視しているし、本人も強く否定している。ところが、札幌地裁は16年4月の一審判決で、懲役2年6カ月・執行猶予3年の有罪判決が言い渡した。

改めて、事案のあらましを紹介すると、2015年1月の午後8時40分、小樽市のJR「ほしみ駅」に降り、同じく被害者の女子高生も降りた。2人は、駅から被害者が前方に、片側2車線の国道に沿って、お互いを認識し、暗い雪道を歩いた。ほかの通行人の姿はなかった。そして、駅から西500㍍弱の地点で、元巡査は女子高生を雪山に押し倒し、下着の上から下半身を触ったという。

一方、元巡査は「雪山に倒れ込んだ女性を助け起こそとしたら、急に相手が叫び出したため、驚いてその場を走り去った」という。実は、女子高生は、1年前ほど前、駅の近くで「不審な男」にあとをつけられる体験をしたことで、それを「前に会った男」だと思い込んでいた。また、犯行を裏付ける客観的な証拠はない。

想像して欲しい。助け起こそうとした若い女性が、突然、大声を出したらどうするか。普通は、うろたえて立ち竦む、逃げ去る、叉は相手の口を押さえるか、その弾みで絞め殺すか、とも考える。それを考えたら、殺人事件に発展してもおかしくない事案である。

我が輩も昔、酒が弱いのに関わらず、よく飲み歩いた。その際、深夜の道を歩いていると、突然、暗がりの路上で、若い女性と二人きりになることがあった。飲み助の諸君なら、何十回と経験しているハズだ。我が輩の経験では、若い女性は警戒しながら急ぎ足で歩き、女子高生は“ちょこちょこ"と振り向くが、走り出すことは少なかった。だが、女子高生が“ちょこちょこ"と振り向くと、そんなに警戒するなら「こんな時間帯に歩くな」と思ったものだ。

我が輩も北海道育ちであるので、夜中の雪道状況はよく分かっている。例えば、歩道の片側に雪山があると、歩道は狭く、足跡は滑りやすくなるので、滑って前方の人にぶつかることもある。また、厚着の服装の寒い時期に、交通量の多い国道の歩道上で、痴漢行為に至るのかと考えるのだ。著者の小笠原氏も、犯行現場を訪ねて、疑問を書き連ねている。

元巡査は、無罪を勝ち取るまで、最高裁まで争うというが、我が輩も心情的に応援したい気分だ。何だか、話がおかしな方向に行ったが、正義感が強い我が輩としては、見過ごすことは出来なかった。著者も、今後も支援するというので、我が輩も今後の成り行きに注目していきたい。

当局のオウム真理教対策は成功したのか

久しぶりに、オウム真理教について書く。新聞報道(11月8日付け)によると、オウム真理教に対する団体規制法の観察処分の期限が来年1月末に切れるのを前に、公安調査庁は今月中にも3年間の延長を求める請求書を公安審査委員会に提出(6度目)するという。過去のオウム真理教は、教団主流派「アレフ」(約1500人)と分派「ひかりの輪」(約150人)に加え、新たにアレフから分裂した集団の3組織が存在するという。特に、2015年以降にアレフから分裂した集団(約30人、金沢市)は、女性元幹部を中心に、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚への信仰を前面に出しているという。つまり、オウム真理教の残党グループは、未だに集団をなして存在しているのだ。

そうした中、2〜3日前に柏市内の古書店で、雑誌「日本の論点'97」(発行=文芸春秋、発行=1996年11月10日)を見たところ、「オウム破防法適用は正しいか」の項目で、2人の弁護士が正反対の法律論を展開していた。そこで、前記の雑誌に掲載されている記事を紹介する。

最初は、破防法適用賛成の河上和雄弁護士(1933年生、東大法卒、元東京地検特捜部長)の「破防法は市民を守る法律ーオウムへの適用は国家の義務である」からの抜粋である。

○国家が何らの自衛手段を持てないようでは国民全体の幸福を守ることはできない。オウムの本質は宗教の皮を被ったテロ集団にしか過ぎない。…今後も引き続き同じような行為をする明らかな危険性があれば、その団体を解散させ、その構成員が団体のために不法行為をする危険のある限り、これを規制するのは国家として当然である。

破防法を適用しようとしまいと、破壊活動をする者は常に地下活動するのであって、破防法を適用して初めてオウムのための資金集めや信者獲得、アジトの確保といった行為を処罰でき、破壊活動を未然に防ぐことが可能となるのである。

○オウムを宗教として取り扱うことは羊の皮を被った狼の存在を見逃すことに通ずる。オウムに限らず、カルトの危険性は決して無視し得るものではない。…オウムの犯罪を単なる異常者の異常犯罪としてとらえてはならない。

次いで、破防法適用反対の小野毅弁護士(1958年生、東大法卒、横浜弁護会)の「オウムを壊滅させるには破防法の適用はかえって逆効果である」からの抜粋である。

オウム真理教に対する破防法の適用には声を大にして反対せざるを得ない。その理由は、破防法の適用によって、オウム真理教は壊滅させられないからである。そして、逆に「破防法の犠牲者」として生き延びる大義名分を与えることとなるからである。

破防法が適用されると居所を隠すようになるからである。…現在でも、教団から脱会信者から警察等による監視がひどいという相談は数多く寄せられているが、破防法適用後にはこれが公認されることになる。…せっかく教団は崩壊しつつあったのにも関わらず、破防法によって、かえって教団の結集が図られているように見受けられるのである。

○時間と共にオウム真理教は崩壊への道を辿っていくところであった。ところが、破防法が適用されては、教団を逆に強固にさせ、外部からの働きかけも困難になる。オウム真理教を崩壊させるためには、破防法では逆効果であると私たちが主張する所以である。

○「法律の核爆弾」ともいわれる破防法の適用では、かえって教団を長らえさせる結果となってしまうのである。

賢明な諸君よ、20年前の激しい“破防法論争"を思い出したか?そして、左翼系弁護士の法律論と分析は正解だったか?我が輩は、やはり河上氏の法律論の方が、説得があると考える。つまり、左翼はイデオロギー先行で、それに理屈を付けているので、どうしても先見性や想像力が劣る。

さらに言わせて貰うと、我が国のテロ対応は“国際水準"にあるのかという疑問である。つまり、首都・東京のど真ん中に、「毒ガス」(サリン)を撒くという“テロ行為"を実行した団体が、依然として東京に存在することは“日本独特の対応"ではないのか。この現実は、左翼・革新系、現在の“リベラル系"の人々の思考回路には、何の疑問も生じないのか。いつまで、このような“生ぬるい対応"をして行くのか。これは、数多くある民主主義国家の“国際水準のテロ対応"であるのか、もう一度検討するに値すると考えるが、どうか…。

中国共産党独裁体制はいつ崩壊するのか

中国共産党は、第19回党大会(10月18〜24日)と中央委員会第1回全体会議(25日)を開催し、習近平総書記の2期目の新体制を発足させた。だが、これから書くことは、中国共産党独裁体制がいつ崩壊するのか、というテーマである。

以前にも紹介したが、1992年頃に米中央情報局(CIA)が、米国の中国専門家を集めて、20年後の中国を予測した。その結果、中国は3〜4つの国家に分裂する可能性が高いという予測を出した。当時、この予測記事を新聞で見た筆者は、それ以後、CIAの予測が当たるのか否かという目で、中国の政治体制を見てきた面がある。また、その影響か、国内でも「中国崩壊」関連の著書が多数出版されたが、依然として中国共産党独裁体制は健在である。

そのような中で、10月17日発売の「ニューズウィーク日本版」(10月24日)は、「中国予測はなぜ間違うのか」という特集記事を組んだ。この予測とは、つまり“中国共産党独裁体制の予測は外れたのか"ということである。そこで、特集記事の内容を紹介するとともに、将来の展望を考えてみたい。

実は、共産党支配の終焉の可能性が過去に3度あったという。最初は1989年6月の天安門事件の後、第2波は91年にソ連が崩壊した時、第3波は00年代の前半という。

ケンブリッジ大学の調査によれば、政治体制が崩壊する確率は平均して2・2%前後。つまり、誰かが体制崩壊を予測しても、100回中98回までは外れるという。また、別の調査によれば、1950〜2012年の間に権力を追われた独裁者は473人いるが、そのうち民衆の反乱によって追放されたのはわずか33人(7%)。必要条件は、比較的に分かりやすい、インフレ率や失業率の上昇、経済成長率の低下などという。

一般に独裁政権崩壊の直接的な引き金となる事象には4つのタイプがある。選挙での不正、軍事的な敗北、近隣国での独裁体制崩壊、そしてアラブの春のような偶発的暴動の民衆蜂起への拡大だ。しかし、政権の崩壊にはエリート層、とりわけトップレベルの軍人や政治家の離反が必要だ。

中国共産党は、経済的繁栄のみが政治的正当性を生み出せることを熟知している。その意味で、崩壊のリスクは長期間低水準にとどまっていても、突如として急上昇する。中国の場合、中所得国であることから、今後20年の間に崩壊のリスクが高まると予想される。

独裁政権の崩壊の研究で分かったことは2つある。それを中国に適用すると、第一は中所得国の地位を達成すると3倍近く高くなる。第二は独裁政権に支配された中所得国は、財産権の保護が不十分で、腐敗が著しいため、持続的な経済成長を達成し、高所得国になることができない。言うまでもなく、経済が停滞すれば共産党政権の存続は危ぶまれることになる。

共産党政権が永続するという主張に対して、私たちは健全な懐疑を抱き続けたほうかいい。かつてマーク・トウェインが、「予言は難しい。特に未来についての予言は」と言ったように、という一文で特集記事は終わっている。

要するに、特集記事では「中国崩壊」の出版物を多少冷やかしているが、将来的に中国共産党独裁体制の崩壊を予測している。しかし、ここで注意しなければならないことは、予測が往々にして“願望"になることだ。つまり、米国もロシアも日本も、14億人の中国が3〜4つに分裂することを願っているからだ。その背景を考慮して、我々は予測記事を理解する必要がある。

最後は、筆者の予測であるが、江沢民胡錦濤の元前総書記には鄧小平に指名されたとの正当性があったが、習近平以後の党指導者には何もない。さらに、習総書記が、如何に腐敗と戦っても、腐敗は古来中国の伝統であり、撲滅することは不可能だ。それを考えると、この先の10年も30年先も、中国共産党独裁政権が続いていることは想像しずらい。

この背景には、

ノーベル平和賞を受賞した劉暁波が、まともな治療を受けずに刑務所で死亡した。つまり、中国共産党に殺された。

国境なき記者団の17年度世界報道自由ランキングで、180カ国中176位である。

○15年7月9日、人権派弁護士など約300人が一斉に検挙された。この事実は記録映画「709の人たち」として映画化された。

という現実がある。これらの人権無視の実態を見せつけられると、どうしても中国共産党の独裁体制が、これからも永遠に続くとは考えられないのだ。その意味で、中国共産党の動向や中国軍の軍備増強と同時に、中国国内の動向把握にも務めなければならないと思う。

北朝鮮情勢を見事に分析した前駐米大使

筆者は、年初から朝鮮半島での軍事衝突を予想して、自分なりに新聞や雑誌を読んだり、東京での北朝鮮勉強会に足を運んだ。その中で、10月18日開催のフォーラム「新たな北朝鮮の脅威と日米同盟」(読売新聞社共催)での、前駐米大使・藤崎一郎の講演内容は、今の北朝鮮を巡る情勢を見事に分析・解説している。そこで、この講演内容が、昨日の「読売新聞」に掲載されたので、全文転載する。

ー制裁強める大事な時ー

私は、北朝鮮に関する「四つのノー」「四つの間違い」を申し上げたい。

まず「米国が軍事手段を使うと困る」と日本が言うのは間違いだ。「金正恩(朝鮮労働党委員長)対トランプ(米大統領)ではなく、本質は「国際社会対金正恩」であることを見失ってはならない。

今はチキンゲームの最中だ。「しっかり守る」と言う米国に、同盟国が「軍事手段は困ります」と声高に言えば、喜ぶのは金正恩だ。我々は、じっと我慢の子である時だ。

第二に、北朝鮮が米国と交渉したがっていると思うと、大変な過ちを犯す。約束を一切守らない国が米国の約束を信じて武装解除するとは考えにくい。

ただ、北朝鮮も自分たちが米国などを攻撃すればおしまいだと知っている。今は時間稼ぎをしながら軍備増強を続いている。そこをどう抑えるかだ。

三つ目の間違いは、「もうここまで来たら、北朝鮮を核保有国と認めるのが現実的ではないか」という議論だ。核拡散防止条約(NPT)上、核保有国と正式に認められれば、国際原子力機関(IAEA)の査察を受けない立場になる。

国際安全保障理事会の決議に9回も違反した国を認めれば、今後は誰も国際社会の規範などに従わない。やり得になってしまう。

四つ目の間違いは、「制裁は効かない」という議論だ。9月の安保理決議で初めて石油と石油製品に手が着き、意味ある制裁が始まった。中国も(制裁履行に)本腰が入ってきた。世界中で北朝鮮大使の国外追放や制裁強化の方向が強く出ている。北朝鮮の貿易の9割を占める中国がしっかりやる限り、相当の効果がある。

今が勝負所だ。全ての選択肢がテーブルの上にあると言いつつ、制裁を強める大事な時だ。日本は今まで以上に強い立場にある。

短い文章の中に、直面する北朝鮮危機の本質を見事に解説している。特に、北朝鮮危機の本質を「国際社会対金正恩」としていることや、国連安全保障理事会の決議に9回も違反した国家に対する見方は、良く理解出来る点だ。これほどまで、鮮やかに北朝鮮問題の本質を分析・解説するとは、さすが、駐米大使を務めた人物と思う。

このほか、北朝鮮危機に関しては、桜井よしこ氏が「週刊新潮」(10月26日号)の「日本ルネッサンス」のコーナーで、注目すべき文章を掲載している。

ー政府中枢にいる人物が匿名で語った。

「米軍の攻撃は今年末から来年早々だと思います」

同じく匿名で自民党幹部も語った。

「米軍の攻撃は2日で完了すると、日本に伝わってきています」ー

また、小野寺防衛相も、衆院選期間中の演説(15日)で、「今年の暮れから来年にかけての軍事衝突の可能性」を示唆したという。

何度も、軍事衝突の可能性を言っていると、まさしく“狼少年"になるが、平和ボケした日本人に緊張感を持たせ、さらに「備えあれば憂い無し」という気持ちにさせるので、あまり問題にはしたくない。さらに、差し迫った危機を危機として捉えたくない人たちに対する、責任ある警告にもなると思う。つまり、桜井氏の記事内容は、重要なインテリジェンスなのかもしれないのだ。

平尾誠二と山中伸弥の友情物語

NHK総合「ニュースウォッチ9」は10月17日、ラグビー平尾誠二(1963年1月21日生)とノーベル賞山中伸弥(1962年9月4日生)の友情物語を放送した。我が輩は、この物語に感動して、すぐさま新刊本「友情 平尾誠二山中伸弥『最後の1年』」(著者=山中伸弥平尾誠二・恵子)を書店に注文した。読了後の感想としては、平尾氏の賢さは知っていたが、山中先生の人間性の素晴らしさを改めて知った。ということで、今回は故人を偲んで、平尾氏の発言内容を中心に紹介したい。

平尾氏と山中先生は、10年9月30日、「週刊現代」の対談企画で初めて出会うが、その後も友人として交流を重ねてきた。そうした中で、15年9月11日、二人は知人を交えて飲食したが、深夜に帰宅した平尾氏が吐血した。翌日の診断では、肝臓の中にできる胆管癌(肝内胆管癌)で、癌は驚くほど肝臓の中に広がっていたという。その後、入退院を繰り返して、翌16年10月20日(木)の午前7時20分に亡くなった。享年53。

これからは、平尾氏が山中先生に語ったラグビーチームの指導論や強化論を紹介する。先ずは、山中先生が最も心に残り、「感謝の集い」(本年2月10日)の弔辞でも述べた「人を叱る時の4つの心得」である。

○プレーは叱っても人格は責めない。

○あとで必ずフォローする。

○他人と比較しない。

○長時間叱らない。

次は、どのような時に選手を叱るのか。

「これだけはあかんと思うのは、我慢すればできることをしない奴。スクラムを組むとか、ある一定の姿勢を保つとか、我慢によってできることってあるやないですか。しんどくてもここは我慢や、ということをやらない奴は、叱ることが多いですね。その一方で、寛容にならないといかん奴もおるんです。例えば、クリエイティブなポジションの奴に対しては、寛容でないといかんね。」

さらに、ラグビーのチームワークについて。

「いちばん素晴らしいチームワークは、個人が責任を果たすこと。それに尽きる。もっと言うと、助けられている奴がいるようじゃチームは勝てないです。強い時のチームっていうのは、助けたり助けられたりしている奴は一人もいない。」

このほか、高校ラグビーチームが参考になる発言。

「高校ぐらいまでは、絶対に核になる選手が必要である。そういう核になる選手がプレーの中で影響力を持って、多少リーダーシップもあれば、皆がわーっと引っ張られていく」

「高校ぐらいまでは、ヘッドコーチや監督が必要である。だけど、高校とか大学も強豪チームは違うと思う。そういうチームは『監督がきわめて素晴らしい』という感じがほとんどなくて、実際、大部分の監督が何もしない人ですよ。高校や大学は、選手たちで統治できているチームのほうが強くなっていく。」

最後は、山中先生のモットーも紹介する。それは「ビジョンとハードワーク」というもので、長期の展望(ビジョン)を見据え、それに向かって努力を重ねる(ハードワーク)ことが大切だとする考え方。山中先生は三十代前半の頃、留学先のグラットステーン研究所(アメリカ)で当時の所長からこの考え方を教えられ、生涯のモットーとしているという。

それにしても、これだけ二人の友情関係が深くなった理由には、山中先生が神戸大学医学部時代の3年間、ラグビー部(ロックかフランカー)に所属していたこともある。と同時に、二人は同学年という背景もあると思う。我が輩の思考であるが、今でも同学年の友人との交流が多い。その理由は、我が輩のように態度がデカイ人間でも、どうしても年上だと“さん付け"、年下だと“君付け"などに気を使ってしまう。それに対して、同学年だと余り配慮する必要がないと思うのだ。それを考えると、二人が急速に親しくなった理由は理解出来る。

それにしても、と二度使ってしまうが、平尾氏が所属していた神戸製鋼所の“製品の性能データ改ざん問題"は、今後どのような展開になるのか。何だか、東芝三菱自動車の場合より深刻な事態に陥るのではないかと心配している。最近の神戸製鋼ラグビー部の試合も、何だか選手に影響を与えているようで、3連敗と苦しんでいる。だから、最後は“神戸製鋼ラグビー部頑張れ!"で閉めたいと思う。

これで良いのか、日本シリーズの進出チーム

怖れていたことが、昨夜起きてしまった。それは、プロ野球の日本シリーズに、セ・リーグ代表として、DeNAが進出するが決定したからだ。多くのプロ野球ファンや野球解説者が、日本シリーズに進出するのは「基本的にはリーグを制覇したチーム」旨発言しているにも関わらず、いつまで経っても改善されない。おかしいと考えている人が多いならば、速やかにクライマックスシリーズ(CS)を廃止するべきだ。と同時に、今のCS制度を強烈に支持している人たちの顔が見えないのは、どうしたことか?

そもそも以前は、日本シリーズにはセ・リーグパ・リーグを制覇したチームが進出していたが、少しでもプロ野球を盛り上げるためなのか、2007年からCSという制度を導入した。その結果、リーグ優勝チーム以外が、日本シリーズに出場するケースが起き、07年の中日(2位)、10年のロッテ(3位)、14年の阪神(2位)に続き、今年はDeNA(3位)が4列目として進出することになった。このうち、中日とロッテは、日本シリーズを制して日本一となっている。

実は10日前に、隣町の柏市に赴いた際、昼食に入った料理屋の主人と野球談義を行った。その店では、テレビで大リーグのプレーオフの試合を放映していたので、我が輩が「野球好きのようだが、日本のCSについて、どう考えているのか」と尋ねてみた。それに対して、主人は、

「セとパ・リーグの優勝チームが、日本シリーズに進出するべきです。大リーグは30チームあるので、プレーオフを行うことは理解出来るが、日本は12チームしかないのに6チームも参加してCSを実施している。更に、今年は広島がDeNAに14ゲーム以上の差を付けたにも関わらず、DeNAと改めて試合をするのはおかなことだ。これでは、レギュラーシーズンの価値が下がり、何のための試合であるのか判らなくなる」

旨発言したのだ。そして、親指と人差し指指で円を描き、「結局、これでしょう」と述べたのだ。我が輩も同意見であったので、二人の野球談義は盛り上がった。

そこで、我が輩と主人の間で、意見が一致した点を紹介したい。

○基本的には、CSは行わない。

○CSを行う場合には、ペナントレースのゲーム差を考慮する。例えば、優勝チームから10ゲーム差以上離されたチーム、勝率が5割以下のチームは、CSには進出出来ない。対戦チーム間で、2ゲーム差ある場合には1勝、4ゲーム差の場合には2勝のアドバンテージを付ける。

○今後もCSを導入したいのなら、プロ野球のチーム数を増やす。例えば、新潟市金沢市高松市(松山市)、熊本市の4都市にチームを設立する。その場合、東アジアの普及を考えて、東アジアの選手枠を設ける。そして、必ず一人はベンチに入れる。

以上の提案は、我が輩が主人に示したものであるが、主人も賛成してくれた。いずれにしても、現在のCS制度は評判が悪過ぎる。そうであるならば、来年から廃止するか、思い切った改革を実施するべきだ。だらだらと、評判の悪いCSを続行するべきではないと思う。