各地で夏の夜空を彩る花火大会のお話し

今回は、夏の楽しみである「花火大会」について書きたいので、まずは北海道北見市のフリーペーパー「経済の伝書鳩」(週5日無料で自宅に配布)の8月15日と16日付「花火大会の〝お値段〟」と題する連載記事から紹介する。

◎15日付「花火大会の〝お値段〟㊤」

網走市は1万発!夜空の大輪、大勢が観覧〉

夏の夜空を彩る花火大会。今夏、本紙配布エリアの自治体でも相次いで開催され、見る者の心を躍らせてくれた。読者の一部から「花火大会にかかる予算はいくら?」などとの素朴な疑問が寄せられた。調べてみた。

ー近隣市町と比べダントツー

■何発?

近年、ネットなどでは「〇〇市の花火大会は〇発打ち上げる」との情報が行き交っている。自治体によっては、事前の告知ポスターに「〇発超の花火大会」と記すケースもある。

一方、北海道を代表する国内トップクラスの「勝毎花火大会」(帯広市)は、何発打ち上げるかは「非公式」(公式サイトより)としている。

今夏、本紙配布エリアの市町での花火大会で打ち上げ数が最も多かったのはどこか?

ダントツは網走市の1万発だった=7月27日開催=。実行委事務局の網走商工会議所は「8千発を目標にしていましたが、1万発を超えることができた」と話す。

北見市の花火大会(7月20日開催)は約4千発、大空町女満別(8月3日開催)は約3千発、美幌町(同10日開催)は約1500発(※いずれも主催者発表)。オホーツクにおいて、網走市の1万発は〝破格〟だということがわかる。

ー数の迫力で圧倒もよいけど、小規模〝のんびりスタイル〟も人気ー

■比較しないで

自治体の花火大会は、地元住民にとって楽しみにしている大切なイベントだ。一方で近年は、「何発打ち上げるのか」が一つの基準になりつつある風潮にある。

本紙配布エリアにあるA町の経済団体関係者は「正直、『何発上げるのか』という質問には答えたくない。その理由は他市町と比べられるのが嫌なんです」と答えてくれた。

大空町の男性町民Aさん(50代)。網走市の〝1万発花火大会〟を観覧した数日後、地元の花火大会も見学した。

「網走の1万発はすごく迫力があったけれど、女満別の花火大会もよかった。ゆったりした花火大会も大好き」と話す。

次回は、花火大会の開催にかかる予算や課題などを紹介する。

◎16日付「花火大会の〝お値段〟㊦」

〈1万発の経費は2150万円〉

見る者の心を躍らせ、夏の思い出づくりともなる花火大会。今夏、本紙配布エリアの自治体でも相次いで開催され、網走市においては管内では〝破格〟の1万発を打ち上げた。1万発の花火大会の成功には、地元企業などからの協賛金、そして会場設営などに汗を流した裏方さんの存在がある。

ー大半は地元企業からの協賛金で賄い/市は補助金を倍増、市民からの募金も集まりー

補助金を倍増

1万発を打ち上げた網走市の花火大会は、7月27日に開催。主催した実行委事務局の網走商工会議所によると、今回の花火大会に関する経費は約2150万円で、このうち地元企業などからの協賛金は約1900万円だった。

地元企業からの協賛金に加え、市内コンビニなど約200カ所に設置した募金箱を通じて約78万円の善意が集まった。

このほかにも、市は今年度当初予算に「花火大会魅力アップ」事業として400万円を計上。同事業はこれまで200万円だったが、市は前年度の途中に補正予算を組んで倍増した経緯がある。

網商は「協賛企業、募金してくれた市民らのおかげで1万発を打ち上げられた」と感謝する。

ー会場設営など〝裏方仕事〟に航空自衛隊員も強力ー

■8万人

網走市の花火大会の観客者数は「(併催したイベントの)会場内で約2万7千人、会場周辺で約5万2千人」(網商)の計約7万9千人。網走市の人口(約3万2千人)の2・5倍ほどの観覧者が、夜空を彩る花火を楽しんだ。

1万発の花火大会を成功させるためには、会場設営などを担う〝裏方さん〟の存在が不可欠。今回からは、協定を結んだ航空自衛隊網走分屯基地の隊員も協力し、「(会場近くにある)岸壁からの転落防止や会場内の救護関係、バリゲートの設置などを担ってもらいました」(網商)。

市内関係者は「網商は会場設営・運営に必要な人員の確保が難しくなり、自衛隊に協定締結を申し入れたようだ」とし、「協定を締結したということは今後も自衛隊は花火大会を含めた地域イベントの準備、運営を手伝うことになると思う」と話す。

実行委は、開催準備に汗を流した自衛隊の労をねぎらい、当日会場に用意したスポンサー席(300席)に隊員と家族を招待。「20組ほどの隊員家族が花火を楽しんでくれました」(網商)。

人口減少を背景に、地域経済が疲弊する自治体において、花火大会はうつむきがちな住民の心を弾ませてくれた。

花火大会の成功の裏には多額の協賛金を提供してくれる地元企業、そして裏方さんの存在がある。今回の取材では、花火大会の「本来の目的」について考えさせられた。

 

実は吾輩も、以前から「この花火大会、何発打ち上げるのか」ということに関心を持ってきたので、ネットで全国各地の花火打ち上げ数を調べてみた。

オホーツク管内

紋別市ー7000発、遠軽町ー4000発、興部町ー4500発、訓子府町ー210発

〇北海道

札幌市ー2万2000発、旭川市ー4000発、函館市ー3000発、苫小牧市ー1万発、釧路市ー8000発、小樽市ー3000発、岩見沢市ー5500発、稚内市ー1万3000発

〇関東

東京・隅田川ー2万発、東京・江戸川区ー1万4000発、東京・八王子市ー4000発、神奈川・八景島ー2万発(8回分)、神奈川・厚木市ー1万発、埼玉・朝霞市ー9000発、千葉・市川市ー1万4000発、千葉・松戸市ー1万5000発、千葉・木更津市ー1万3000発、茨城・境町ー3万発、栃木・足利市ー2万発、栃木・小山市ー2万発、栃木・真岡市ー2万発、群馬・高崎市ー1万5000発

以上の打ち上げ数を見ると、人口が約26万人しかいないオホーツク管内自治体も頑張っていると感じた。しかし花火大会に関しては、打ち上げ数よりも、あまり公表されていない開催費用の方が重要であるのだ。なぜなら開催費用が多ければ、花火の質や規模がわかるからで、例えば柏市我孫子市の2市(人口56万人)で開催している「手賀沼花火大会」は、打ち上げ数は1万3500発で、開催費用は5000万円以上である。だから、網走市の打ち上げ数と開催費用は、人口の割には頑張っていると考えたのだ。

次は、今や主流になってきた有料観覧席について触れたい。今夏開催の主要106大会中、77大会が導入しているが、各大会の最安値の観覧席1区画(席)の平均価格は4768円で、2019年比約3割増。また、最高値の平均価格は約5割増しの3万2791円(小田原酒匂川花火大会では定員2名で30万円という席も)で、これらの大会ではテーブル席やグランピングシート席など多種の観覧席が導入されている。そのような値上げの要因としては、輸入花火の価格が過去15年の平均値に比べ5割増であったり、人手不足で運営費もかさむなど、開催経費の膨張という背景もあるようだ。

そもそも日本の花火大会はどのくらいの歴史があるのか。その点に関して、8月4日付「東京新聞」が説明しているので、その一部を引用してみたい。

◆日本人の花火好き、伊達政宗も鑑賞

起源をたどると16世紀にさかのぼる。花火の歴史に関する著書がある「すみだ郷土文化資料館」(東京都墨田区)の学芸員・福沢徹三さんによると、1589(天正17年)、戦国武将の伊達政宗が花火を鑑賞した記録が残っているという。

現在のような打ち上げ花火が行われるようになったのは18世紀の江戸時代。隅田川では、夏の舟遊びに合わせて打ち上げられていたが、他の地域では、秋祭りに奉納として行われるなど、必ずしも夏と結び付いたものではなかった。

◆明治後半以降、全国に広がる

明治後半から昭和初期にかけ、全国各地で花火大会が開かれるように。技術革新や資金確保、行政の協力などが背景にあると考えられる。

(中略)

◆経済効果大と言うけど…。真偽は?

花火大会は多くの人が集まるため、経済効果も小さくないとされる。

経済波及効果の分析で知られる関西大の宮本勝浩名誉教授は、2023年の花火大会の経済効果は約2兆2590億円あったと推計。隅田川花火大会は約211億円の効果があったとはじいた。

網走市の花火大会を通じて、全国各地の打ち上げ数や経済効果を紹介してきたが、今後も地方の花火大会が継続して開催されることを願うばかりです。その理由としては、どんなに小規模であろうと、子供の頃に見た打ち上げ花火は、一生忘れない夏の心象風景を構成するものの一つであるからだ。それが地域を出た人が帰省するよすがとしての役割も果たしてきたし、そして何よりも少年・少女たちが花火大会を通じて、少しでも地元に愛着を感じてくれると考えるからだ。