脚光を浴びる滝上町のハッカ

先週の「北海道新聞」(8月18日〜20日)に、“滝上発信"の題名「ハッカの輝き再び」という連載記事が掲載されたので、滝上町の友人からファクスで送ってもらった。そこで、まずはこの記事から紹介する。

○札幌の化粧品製造業「マナイ化粧品」は9月、滝上産ハッカを使った新商品の化粧水を発売する。6月、夏向けの化粧水の開発に着手したが、清涼感が得られ、虫よけ効果もあるハッカを原料に使う案が浮上した際、目を付けたのが「日本一の生産地」をうたう滝上産だった。

○コンビニ道内最大手セコマ(札幌)は昨年、滝上産や北見産のハッカを使ったチョコミントのアイス商品を、今年6月には滝上産ハッカのみを使った酒類「ミントハイボール」を発売した。ハイボールの販売総本数は、発売初週から7週連続でサワー系酒類の首位を維持した。

滝上町では7戸の農家がハッカを栽培するが、町によると昨年度の作付面積は合わせて約6㌶。「ハッカの町」として全国に知られる北見市も約2・5㌶で、町は「道外ではほとんど栽培されておらず、滝上が日本一の生産地」と自負する。

○オホーツクのハッカ栽培は、山形県からの開拓者らが耐寒力のある特性に期待をかけて、明治時代から栽培を始めた。北見市発行の「北見現代史」によると、作付面積は1939年(昭和14年)には北見を中心に約2万㌶まで拡大。出荷されたハッカ油は世界シェアの7割を占めた。

滝上町内の作付面積も36年、1124㌶となりピークに達した。戦後はテンサイなど需要が大きい農産物や酪農が優先された上、ハッカ油も安価な輸入品などが台頭し、2000年代初頭には農家は3戸、面積も2㌶まで縮小した。

○転機は08年で、製薬大手ツムラ(東京)の子会社、夕張ツムラ(夕張)が発熱に効く漢方薬の原料としてハッカに着目し、町内の農家と取引を始めた。高値の取引だったことから参入農家は増え、作付面積は12年、5㌶に広がった。

○町は14年、「はっか復活プロジェクト」と名付けた新事業を立ち上げた。作付面積を6年かけて40㌶以上にする目標を設定したが、ハッカ畑向けの収穫機の開発などを打診された農機メーカーからは「生産規模が小さく、開発コストに見合う収益は見込めない」と門前払いされた。そのため、プロジェクトは立ち消えとなった。

滝上町第三セクターが運営する「童話村たきのうえホテル渓谷」のレストランで今夏、期間限定メニューが登場した。滝上産ハッカの乾燥葉を練り込んだ麺に、トマトソースを絡めた「冷製トマトパスタ」。7月に発売後、1カ月で約100食が売れた。

ということで、滝上産のハッカが脚光を浴びているようだ。ハッカのことを思い返すと、小中学生時代のマラソン大会の際に「足にハッカを塗り付けると足が軽くなる」と言われたり、戦前には「北見のハッカは生産量で世界一」という話しを聞いたことくらいだ。

ハッカの歴史になると、以前から“北見のハッカ"の話しになる。そこで、一昨年秋に北見市の「北見ハッカ記念館」(日本近代化産業遺産〈平成19年11月30日指定〉)を訪れた際、案内人に「私は遠軽高校出身者であるが、昔からハッカの話しになると“北見のハッカ"になる。この“北見のハッカ"には、遠軽や滝上のハッカは含まれているのか」と尋ねたところ、同人は「“北見のハッカ"には、遠軽、湧別、滝上などの地域も含まれています。だから、北見市だけで“北見のハッカ"という歴史を独り占めするつもりはありません」と説明した。つまり、歴史書で“北見のハッカ"と書かれているが、その生産地はオホーツク管内全部を差しているのだ。

滝上産ハッカを使用した商品を販売しているセコマ(セイコーマート)は、関東地方には茨城県(85店、88年初出店)と埼玉県(11店、87年初出店)で合計96店ある。どうして、茨城県に多いのかと考えると、大洗港・苫小牧港発着のフェリー航路があるために物資輸送が楽である、と勝手に想像しているがどうか。

以上、滝上産のハッカをめぐる動きを紹介したが、これまでの経緯を知ると、まだまだハッカの効能や利用方法が確立していない感じを受ける。つまり、医薬品や味覚品などで、これから驚くような商品が開発される感じを受けるのだ。昨夜ネットを見ると、前述の「北見ハッカ記念館」で、北見産の和種ハッカから抽出したハッカ油を活用した菓子を初めて商品化し、今月から館内限定で販売を始めた。この限定菓子は、ハッカ独特の風味があるのが特徴で、人気商品となっているという。

要するに、オホーツク管内のハッカが、新たな商品開発に繋がる兆候が見えてきた。さて、どのような商品が飛び出してくるか、楽しみ待ちたいと思う。

〈返信文章〉

この文章を、滝上町の友人に「仮の文章」として送付したところ、次のような返信があった。

ー良い文書になっています。感染防止のマスクにハッカのオイルを着けると、メントールのスーッとする効果から、ミントスプレーが馬鹿売れし、手に入れずらくなっている。多方面からハッカの注文があるが、応じきれない状況。町は栽培面積を増やす意向で、再度、増産に向けて技術開発を進める方向。ー