再び故・木村汎先生を追悼して

昨日、木村汎先生の追悼文を作成したが、本日の産経新聞産経抄」にも、同人を追悼する記事が掲載された。

「ロシア人が“バザール商法"の達人であることを肝に銘じなければならない」。14日に亡くなった本紙正論メンバーで北海道大学名誉教授の木村汎氏は、北方領土をめぐる対露交渉などについて巧みなたとえを使い、筆鋒鋭く論じてくださった。

冒頭の文は平成21年5月の本紙正論欄で、対露迎合する日本政府にくぎを刺した。「4島が日本側の掛け値なしの要求なのである」と歴史的経緯を踏まえ分かりやすく説き、「ロシア人は、バザール(市場)でバナナの叩き売りを行うように、まず相手方に値段を言わせ、その後揉みに揉んで、最終的には『中をとろう』ともちかける」と警鐘を鳴らした。

平成3年2月、作家の上坂冬子さんとの対談では、ドイツの学者、イエーリングの『権利のための闘争』の一節をあげ「一平方㌔の領土を失って平然としている国民は、やがて百平方㌔の領土を奪われ、最終的にはすべての領土を失う運命にある」と紹介し、「言い換えると、四つの小さな島を失って平気な国民は、ついには大きな四つの島、つまり日本全土を失うだろう、ということ」と厳しい警告をした。

そうした絶対に譲れない領土について日本で十分理解されてきたか心もとない。島根県竹島が、韓国に不法占拠されていると学校の教科書に明記されるようになったのもようやく最近だ。

旧ソ連は日ソ中立条約を一方的に破って対日参戦し、火事場泥棒のように、北方領土を不法占拠した。その国家犯罪に対して腰がひけ、「不法占拠」や「日本固有の領土」であるとの表現さえ避けるのは、おかしなことだ。

兵庫県西宮市で昨日、木村氏の葬儀が営まれた。ご冥福を祈るとともに、遺された重い言葉を改めて胸に刻みたい。

二日続けて、紹介するに値する文章でしよう。特に、北海道では「産経新聞」が購読できないと聴いているので、尚更、気合いが入った。改めて、気骨ある論者が逝ったことを、記憶していたいと思う。