「花粉症は市販薬で十分」は以前に指摘したこと

ネットで、8月23日付け「日本経済新聞」の記事「花粉症、処方薬と市販薬『患者負担に大差なし』」を読んで驚いた。というのは、吾輩は2016年2月10日に「花粉症の治療費は削減できるのでないか」という文章で指摘していたからだ。

それでは、先ずは取り上げた記事を紹介する。

薬は医療機関を受診して入手した方が安いー。こんな「定説」を覆す分析を健康保険組合連合会(健保連)が23日、発表した。花粉症では市販薬をドラッグストアなどで購入した場合と医療機関で類似薬を処方してもらう場合の患者負担にはほとんど差がなかった。

「大差がない」とするカラクリは、患者負担の定義にある。処方薬の場合、医療機関に払う初診料や薬局に払う調剤料がかかる。薬代に加え、薬を処方してもらうためにかかる費用も加えた患者負担で比べると、薬代だけの市販薬と「大差がない」と健保連は分析した。

花粉症の治療薬は近年、医師から処方されなければ入手できなかった医療用の薬から転用された市販薬が相次いで登場している。久光製薬の「アレグラ」やエスエス製薬の「アレジオン」などだ。

例えば、健保連の分析では「アレグラ」14日分を医療機関で受け取る場合、自己負担3割の現役世代でかかる費用は総額2003円だ。薬だけなら482円だが、医療機関に支払う初診料や薬局に支払う調剤料が1500円以上かかる。

一方、市販薬の場合は税込みで1554円〜2036円だった。市販薬の方が高い場合でも差額は33円で収まる。

「アレジオン」も同様だ。24日分を医療機関で受け取ると、合計2210円になる。市販薬は税込みで2138〜3866円。市販薬の方が安いこともあるという結果だった。

患者負担だけ見れば費用に大きな差はない。健保連が問題視するのは医療機関でかかる費用の7割は公的医療保険で賄っている点だ。軽症の患者が薬目的で医療機関を受診すると、医療費が膨らみ企業健保の財政を圧迫してしまう。

「財政が厳しくなれば保険料が上がって負担増になる」。健保連の幸野庄司理事は23日に開いた記者会見でこう述べ、医療の必要性を見極めて市販薬を活用する意義を強調した。

健保連は市販薬と同じ成分の花粉症治療薬を公的医療保険の適用から外せば、最大で年600億円程度の医療費削減効果があるとの試算も示した。1種類だけの処方で済む軽症向けに限って保険適用を除外しても36億円程度の節減になる。

幸野理事は「まず軽症向け患者への処方から保険適用外にすべきだ」と話す。厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会社会保障審議会で制度改革の検討を求める考えだ。

〈図表〉健保連は薬剤費改革案の効果を試算

改革案⇒医療費削減効果

生活習慣病の治療で後発薬を優先処方⇒3100億円

○軽症向け市販類似薬を保険適用外に⇒2126億円

○繰り返し利用可能な処方箋の導入⇒362億円

ほかにも医療費の節減につながる改革案を提言した。生活習慣病の治療では先発薬より安価なジェネリック医薬品(後発薬)の利用促進を求めた。薬剤費を年3100億円削減できる見込みがあるという。

症状が安定した患者に向け、反復使用できる処方箋を導入すれば、医療機関を受診せずに薬を受け取れるようになる。年362億円の医療費を節減できるとした。

医療費は年40兆円を超し、高齢化の進行でさらに増える見通しだ。制度改革は避けられないものの、負担増や給付抑制には反発が強く、思うように進んでいない。短近な花粉症薬の「損得」をあえて持ち出すことで改革を進めようとする健保連の思惑が試算結果からは見え隠れする。

要するに、薬を医療機関からではなく、市販薬で購入すれば、国の医療費は全体的に削減できるということだ。考えてみれば当たり前のことで、だから吾輩は既に3年半前に訴えているのだ。そのような経緯があるので、公の機関に対しては「今頃気がついたのか」と疑問に感じるのだ。

前回も書いているが、「国の借金」が一千二百兆円もあり、医療費も年40兆円を超している以上、国も我々も少しでも支出を削減する努力をしなければならない。特に医療費は、少子高齢化がどんどん進んでいる中では、必然的に見直さなければならない。

ということで、吾輩は来春からは掛かり付けのクリニックに行くのではなく、市販薬で対応してみようかと考えている。皆さんも、医療費の削減のために、軽症の時には市販薬で対応し、重症になりそうになったら病院に行くという努力も必要と思う。それくらい、我が国の国家財政は厳しい状況にあるのだ。