証券会社の悪事はいつまで続く

1月20日の「読売新聞」を見て、証券会社は未だに悪事を続けているのか、と思った。なぜなら、我が輩は2016年6月10日に「証券会社の営業マンに騙されるな!」と注意喚起し、当時の金融庁長官も証券会社の悪事に警鐘を鳴らしていたからだ。

それでは、新聞で報道された証券会社の悪事を紹介するが、まずは見出しで、「株『回転売買』泣く高齢者ー頻繁に取引…手数料6400万円」と題し、記事内容は次の通りである。

ー都内の女性(74)は、昨年7月までの約6年間、準大手証券会社を通じて、約1億4000万円を外国株や新興企業株の短期売買を繰り返した。だが、損失が膨らみ、弁護士に相談。それまでの取引を計算すると、利益はほぼ出ていないのに委託手数料は約6400万円にも上がっていた。ー

証券取引等監視委員会は、同社で外国株の取引が増加していることを不審に思い、調査を実施。約200人分の顧客の取引履歴のうち、半数以上が勧められるまま短期間で売買を繰り返し、平均で数百万円の損失を出していた。1年間で200回近く売買していた顧客もいたという。ー

それでは、なぜ故に証券会社は、このような悪事を働くのか。その背景を新聞は、

ー証券業界では、1999年に委託手数料が完全自由化さると、手数料の安さを売りにしたインターネット証券が台頭し、競争が激化。大手証券会社は手数料以外の収益源の確保に取り組んできたが、準大手や中小では依然として手数料に頼る割合が大きいとされる。

日本証券業協会の2017年度の統計によると、大手などの証券会社(66社)では営業収益に占める委託手数料の割合が13%だったのに対し、中小を中心とする証券会社(183社)は31%だった。ー

と説明している。

ところで我が輩は、3年前に口座を開設していた証券会社を批判したが、その証券会社は準大手である。その後、ある大手証券会社が、保有株の移し替え料金を負担するというので、ほとんどの保有株を移し替えた。だが、移し替えた証券会社の営業マンにも、はっきりと言っている。

○世の中には、いろいろな仕事があるが、もっとも“悪事な商売"は証券会社である。

○例えば、2008年9月のリーマン・ショックの前に、元本五千万円の株価が半分以下になった顧客に対して、「まだ、二千万円以上あるではないですか」という調子でおちゃらかす。

○営業マンが推薦した金融商品を購入した顧客に対し、何十万円、何百万円損失させても「すみません」と一言しか言わない。こんな、不誠実な言葉しか発しない業界は、証券業界だけだ。

というわけで、今回も個人投資家が“いいかも"にならないためと、証券会社の商行為が少しでもまともになることを願って文章を作成している。だが、今でも証券会社で顧客と対話すると、「この人、大丈夫かなぁ」と心配になる人がいる。その意味では、金融庁などの当局は、どんどん個人投資家に注意喚起するべきだ。

最近、我が輩は、悪事を働く証券会社や、どのような個人投資家が“いいかも"になっているのかが、何となくわかってきた。

○特に悪事を働く証券会社は、準大手が多い。その背景には、常に大手証券会社からのプレッシャーがあるのではないか。

○証券会社が、やたら目ったら売り込みをする顧客は、金融商品を1億円以下しか持っていない人。つまり、この辺りの顧客は脇が甘く、証券会社の口車に乗りやすい。

○1億円以上の金融商品を持っている顧客には、めったに売り込みをしない。なぜなら、大事な顧客であるし、簡単に営業マンの口車に乗らないからである。

以上の見解を証券会社の担当者にぶつけたが、何の反論もなかったので、間違いない分析と考えている。つまり、小金持ちは、口車に乗せられやすく、“いいかも"になっているのだ。

そのほか、新聞には、金融商品のトラブルに対応するNPO法人「証券・金融商品あっせん相談センター」(東京)という組織のことが書かれていた。初めて知る組織であるが、回転売買などの不適切な勧誘について、同センターへの依頼は“年90件前後"で推移していると記されていた。しかし、この依頼件数は、あまりにも少ない。つまり、騙された相談だけではなく、もっと積極的に個人投資家と触れ合えば、もっと多くなるハズだ。そういう意味では、まだまだ証券業界の周りを改善する余地はある、と考える次第である。