JR北海道の経営再建にはこれしかない

2月の平昌冬季五輪が閉幕し、久しぶりにJR北海道の問題を書きたくなった。JR北海道が一昨年の11月18日に、全路線の約半分にあたる1237・2㎞(10路線13線区)を「当社単独では維持困難」と表明して、既に1年以上が経過した。この間、JR北海道と対象自治体との話し合いがもたれたほか、道も有識者による「鉄道ネットワークワーキングチーム・フォローアップ会議」を立ち上げ、今年2月7日には報告書を公表した。

報告書によると、宗谷線(名寄稚内)と石北線(新旭川〜網走)は幹線交通網の役割から「維持に向け検討を進めるべき」と位置づけた。次いで、「維持に最大限努める」としたのは、観光路線の役割を持つ富良野線(富良野旭川)と釧網線(東釧路〜網走)、北方領土に隣接する花咲線(釧路〜根室)。「維持に努める」路線には、地域の農産物を輸送する根室線(滝川〜富良野)、通院や通学で地域の利用がある日高線(苫小牧〜鵡川)、室蘭線(沼ノ端〜岩見沢)を挙げた。つまり、過半数以上にあたる7路線8区間の維持を訴えたので、我が輩も安心した。

しかしながら、それらの路線を維持する方策は、未だに具体化されていない。そのため、JR北海道の第三者委員会は昨年12月6日、道や沿線自治体による路線見直し協議を「時間の浪費」と批判し、“1年以内"に対象路線の存廃や代替交通の全体像を示すよう求めた。つまり、打開策は“国費投入"しかないのに、無駄な時間を使っているということだ。それは、我が輩が以前から訴えている「北海道開発費を投入する」ことを念頭に置いていると思う。

北海道開発費を投入する考え方は、有識者の中にも増加しているという。最近、評判になっている新刊書「JR北海道の危機ー日本からローカル線が消える日」(著者=佐藤信之)を読むと、やはり著者も、JR北海道には北海道開発予算を投入するべきと提言している。

その一部を引用すると、「検討すべき事項は、JR貨物が支払う線路使用料について、赤字のJR北海道が本州3社と同様に面倒を見るのは正しくないのでないだろうかという点である。その調整は国によって行われるべきであろう。

最終的には自治体の負担分に総務省交付金措置で手当てして実質的な負担を軽減する方法をとるのかもしれない。しかしながら、もっと大胆な発想が必要になる。

例えば、現在は国土交通省の道路行政を担当する北海道開発局の役割に鉄道のインフラの維持管理に関する行政も管轄させ、現在は道路行政に使っている財源を鉄道のインフラ維持にも流用するという考え方もあるだろう。つまり、沿線自治体が負担する鉄道のインフラ維持の一部を北海道開発局が負担するのである」

と書いている。即ち、筆者が以前から主張していることだ。

ところで、最近JR北海道の経費で一番驚いた新聞記事は、雪対策の費用である。冬季の自然状況が厳しい北海道の交通網を維持することは、大変であることは知っていたが、その費用が年間40〜50億円という数字には驚いた。もう少し詳細に紹介すると、「除雪作業員はパートナー社員と呼ばれ、JRが12月1日〜3月31日までの期間限定で雇う。冬場に作業のない農家や観光施設などで働く人が多い。道内全体で約1800人を雇用するが、駅によっては近年、作業員の確保が難しい。作業員の職は地域内で代々受け継がれてきたが、最近では高齢を理由に辞める人などが多く、地域内で後任がなかなか見つからないという。要員が足りず、他の駅の作業員で賄うこともある」(1月30日付け「北海道新聞」)という内容であった。

要するに、JR北海道の30年3月期はホテルや不動産賃貸事業が好調な一方、鉄道事業は修繕費負担などがかさみ、最終損益は110億円の赤字を見込んでいる。その中で、雪対策の費用が如何に多額であるかが解ると思う。つまり、同じように経営難にあるJR四国JR九州には、このような経費は存在しないのであるから…。

それにしても、最近のJR北海道のニュースを知ると、嫌になることが多い。最近のニュースでは、北海道新幹線札幌駅のホーム位置問題だ。本年度内の決着を目指すというが、この計画性の無さには“唖然"としか言いようがない。