可哀想な“五輪種目" のアイスホッケー競技

筆者は、以前からアイスホッケー競技に対するメディアの報道姿勢を批判してきた。その理由は、冬季五輪唯一の“球技競技"であるにも関わらず、余りにもメディアの扱い方が小さいからである。そんな中、もうすぐ「平昌冬季五輪」を開催する韓国からも、アイスホッケーを“虚仮"にするようなニュースが流れてきた。そこで、改めて国内外のアイスホッケー競技に関する出来事を紹介したい。

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は1月中旬、平昌五輪に出場する女子アイスホッケーチームの前で、北朝鮮選手との合同チーム結成に踏み切った理由として、「マイナー競技のアイスホッケーに、北朝鮮選手が加われば世間から注目され、皆さん方も恩恵を受ける」旨の発言をした。さらに、李洛淵首相も「もともとアイスホッケー女子は、メダル圏内にいない。北の実力のある選手が加われば戦力が強化される」と、身も蓋もない発言をした。韓国の首脳が、このような発言をしている現状では、韓国の女子アイスホッケーチームに、北朝鮮選手12人を今頃加えることなど、何ら考慮する気もないのであろう。

さらに、平昌五輪では、残念なことがある。それは、北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)に所属する男子選手が参加しないことだ。1998年の長野五輪以来、5大会連続で五輪参加に協力してきたが、リーグ中断による経済的損失などを考慮して不参加に至った。これでは、国際的なアイスホッケーの普及を目指しているLHLの姿勢に、疑問を持たざる得ない。

その一方で、平昌五輪では、アイスホッケー女子の日本代表(愛称・スマイルジャパン)に注目したい。その理由は、アメリカとカナダのチームは頭一つ抜け出ているが、その他のチームとは、さほど実力差を感じないからだ。それだけに、日本チームには“銅メダル獲得"のチャンスがあると考えている。

このほか、全国高校アイスホッケー選手権決勝(1月26日、会場=帯広の森アイスアリーナ、観客数=1342人)のことを取り上げたい。今年の決勝戦は、予想通り白樺学園対駒沢苫小牧との闘いになり、白樺が大接戦の末に7−6で優勝した。しかしながら、今回の大接戦も、ほとんどのメディアは、結果しか伝えていない。例えば、読売新聞は、インターハイの共催にも関わらず、スコアと「アイスホッケーは白樺学園(北海道)が優勝した」としか書いていない。そこで、ネットで入手した情報を元に、その死力を尽くした闘いを紹介したい。

○1分12秒ー駒沢(1点目)

○1分54秒ー白樺(1点目)

○4分06秒ー白樺(2点目)

○4分58秒ー駒沢(2点目)

○29分22秒ー駒沢(3点目)

○34分36秒ー白樺(3点目)

○42分37秒ー駒沢(4点目)

○45分51秒ー白樺(4点目)

○54分15秒ー駒沢(5点目)

○55分ー白樺(5点目)

○58分51秒ー白樺(6点目)

○59分17秒ー駒沢(6点目)

○GWSー白樺(7点目)

という訳で、得点の経緯を見るだけで、凄まじい決勝戦であったことがわかる。最後は、延長戦後のGWS(ゲームウィニングショット)で幕を下ろしているからだ。こんな面白い決勝戦を、テレビも新聞も、全く無視して良いのか、と言いたいのだ。