再び、カジノ設置に賛成!

筆者は以前(2013年8月30日)に、「カジノ設置、賛成!」という文章を作成した。しかしながら、多くの日本人はカジノによる“ギャンブル依存症"を心配して、日本にカジノを設置することに反対している。そこで、もう少し説得力のある文章を考えていたところ、カジノの資金を子会社から借り入れて、会社法違反(特別背任)の容疑で逮捕された井川意高氏の著書「溶ける」(幻冬舎文庫平成29年1月30日発行)が出版されたので読んでみた。

まず最初は、井川氏が“ギャンブル依存症"に陥った背景を明らかにしているので紹介したい。

私には、パチンコやパチスロにハマって破滅する主婦の気持ちがよくわかる。不可分所得をはるかに上回るカネをパチンコやパチスロにつぎこみ、サラ金やクレジットカードから上限までカネを引っ張り、最後は法外な金利を取る闇金からもカネを借りてしまう。本人の支払い限度額をはるかに超えたとしても、「なんとか勝負に勝ちたい」という強迫観念にとらわれて、どこまでもギャンブルを続けてしまう。

総額100億円を超える金額をつぎこんだ私の場合、パチンコやパチスロとは比較にならないと笑う読者もいるだろう。しかし金額の多寡はともあれ、ギャンブル依存症に陥る人間の心理はまったく同じだ。たまたま億単位のカネを動かせる立場だったがために、私のギャンブル依存症は数百万円どころかケタをいくつも飛び越えてしまっただけだ。

…聞くところによれば、私の曽祖父はバクチと女で身代をつぶしたそうだ。そのため、大変貧しい暮らしを余儀なくされた祖父はバクチが大嫌いだったと聞く。ということは、バクチ狂いは祖父や父からの遺伝ではなく、私だけに引き継がれた曽祖父の血なのだろうか…。

井川氏が刑務所を出所したその日(16年12月14日)の夜、国会でカジノ法案が成立したという。朝日新聞がカジノ法案に反対していることに対して、「なんで他人がオカネを使うことをそんなに心配してくれるの?」という嫌みを書いている。そうです、井川氏は法律を犯したことについては“懺悔"しているが、カジノを行ったことに対しては何ら反省していないのである。

このほか、井川氏のギャンブルに対する“考え方"を紹介したい。

○トマス・ホッブス(イギリスの哲学者)は「人権の中には愚行権もある。他人の権利を侵さない限り、どんなに自分にとって不利なことであっても自己決定する権利がある。愚行権基本的人権の一つだ」と言った。愚行権を否定するのであれば、人はカジノどころか山登りや冒険もできなくなってしまう。

○106億8000万円を溶かした私をシンボル操作に利用している時点で、朝日新聞は論点がズレまくっているのだ。「カジノはいけない」という感情論がまず最初にあり、後付けで強引に理屈を考えているのであろう。

○日本の“ギャンブル依存症"は成人の5%で、世界のほとんどの国では成人の1%前後に止まる。それを考えると、メディアはカジノを批判する前に、パチンコや競馬、宝くじの問題点を指摘するべきだ。そちらを放っておいて「カジノを作るな」と反対するのは、明らかに論理が破綻している。

さすがに、東大法学部卒だけあって、理路整然とした文章である。井川氏の解説で、カジノに対する考え方が整理されましたか?

最後に筆者の基本的な考え方を書きたい。つまり、世界第三位の経済大国で、民主主義体制である国家が、世界に認知されているカジノを禁止して良いのか、ということである。そこには、個人の自由に対する当局の干渉が隠されており、当局にカジノ設置の成否云々を任せることに抵抗を感じるからである。こんな文章を作成していると、筆者はギャンブル大好き人間と思われるが、パチンコは多少するものの、そのほかのギャンブルはほとんどしません。悪しからず!