2年前の兵庫県議・野々村竜太郎の“号泣事件"以後、地方議員の不祥事が全国各地から聞こえてくる。やれセクハラだ!、やれ政務活動費の返還だ!、やれ覚醒剤の使用だ!、やれ強姦容疑の逮捕だ!、というニュースだ。そうした中で「産経新聞」は、先週の18日から23日までの間、「にっぽん再構築ー地方議会が危ない」という題名で、地方議会の現状を連載した。筆者は、以前から地方議会費を問題にしてきたが、今回も「産経新聞」を参考に議員報酬の問題を指摘したい。
先ずは、地方議会の現状である。前半は平成16年、後半は平成23年の数字である。
○自治体数=2242、1797
○地方議員数=6万168人、3万4795人
○報酬総額=4090億円、3018億円
○1人当たり報酬額=680万円、867万円
続いて、地方議会の国際比較である。前が議員1人当たりの報酬などで、後が人口10万人当たりの議員数である。
○日本=867万円、27人
○米国=65万円、59人
○ドイツ=50万円、250人
○英国=74万円、38人
○韓国=240万円、8人
○スウェーデン=約9割は日当のみ、167人
○スイス=大部分が日当のみ、757人
更に、約10年前の資料であるが、諸外国の報酬等(手当て・諸費用含む)を紹介したい。
○日本(人口12000万人)=4090億円
○米国(人口29000万人)=1100億円
○ドイツ(人口8000万人)=1000億円
○英国(人口6000万人)=170億円
○韓国(人口5000万人)=96億円
以上の数字を比較すると、地方議会の問題点が、議員数ではなく、議員報酬であることが良く解る。つまり、日本人の民意が欧米諸国並みであれば、日本の地方議会費も1000億円前後の経費で十分なハズで、それ以上の経費“2000〜3000億円"は無駄金であるのだ。
この膨大な“無駄金"は、即刻削減させたい。そして、その資金は、日本の子供たちに投資したい。新聞報道によると、
○奨学金を借りず、進学を断念した事例は6万〜7万人とする推計。
○奨学金の延滞人17万人、総額898億円。
○高校授業料無償化が始まった2010年度から5年間に、経済的理由で高校中退を余儀なくされた生徒が全国で5385人。
このような現実がある中で、何の価値も生み出さない“地方議会費"に手厚く、価値を生み出す“教育費"が貧困ということは許されない。
即ち、地方議会の経費削減を地方議会側に期待出来ない以上、政府が責任を持って対応するべきだ。方策としては、地方交付税の削減などを持って、強引に実施するべきである。いつまでも“税金を溝に捨てる"ようなことは許さないのだ。