高校総体の規模は縮小すべき

4月5日付け「読売新聞」に、見出し「20年高校総体寄付募るー五輪影響代替地負担分」という記事が掲載されたので、一部抜粋する。

「2020年に群馬、栃木、茨城、埼玉の4県を中心に予定されていた夏の全国高校総体が、ほぼ同時期の東京五輪パラリンピックの影響で、30競技中19競技で開催地が決まらず、他地域との分散開催が検討されている。…残る19競技の開催経費のうち、通常、開催県と市町村が負担する分を補おうと、特例として20年まで計5億円を目標に、30競技に登録している全国120万人の高校生を対象として、一人100円程度の寄付を呼びかけることにした」

そこで筆者は、無駄な経費を削減する意味で、全国高校総体の中で最も参加人数が多い陸上競技の現状を説明したい。陸上競技は、全国11ブロックで「地区大会」を開催して、6位以内に入れば、自動的に高校総体に出場できる。つまり、高校総体では、一種目に66人が出場することになる。

11ブロック別の人口(昨年の国勢調査)と都道府県予選参加人数(昨年度)を紹介すると、

○北海道=538万人、4082人。

○東北=898万人、8719人。

○北関東=1413万人、6186人。

南関東=2970万人、14804人。

北信越=741万人、5875人。

○東海=1503万人、9197人。

○近畿=2073万人、11383人。

○中国=744万人、5544人。

○四国=385万人、3023人。

○北九州=848万人、7431人。

○南九州=597万人、4224人。

ということで、11ブロック別では、人口と大会参加人数には、大きな差があることが解る。当然のことであるが、人口が多ければ競技人口も多く、そして競技レベルも高い。それを考えると、一律に6位までを出場させるのではなく、ブロック別に臨機応変で対応するべきである。

それでは、四国や北海道の選手(地区大会4〜6位)が出場した時の事例を紹介したい。例えば、棒高跳びで、自己記録4.10㍍の選手が、予選の最初の高さが4.40㍍の場合、選手も怖じ気づくし、見ている方も心配になる。ほとんどの選手は「記録なし」で終了する。また、投擲競技では、自己記録が32㍍の選手が、予選通過記録が40㍍の場合、これも見ていられない。何のために出場させているのか?教育の一貫か?と考えてしまう。

更に“逆差別"と思われる事例も紹介したい。千葉県(622万人)は北海道(538万人)より多少人口が多いが、高校総体に出場できる選手は、断然少ない。男子は千葉県が34人で、北海道は154人。女子は千葉県が34人で、北海道は115人である。つまり、北海道は競技レベルが低くとも、高校総体に出場できる可能性が断然大きいのだ。

よって、筆者の私見であるが、次のように提案したい。北海道、四国、南九州は3位まで、東北、北信越、中国、北九州は4位まで、北関東、南関東、東海、近畿は、これまで通り6位まで出場させる。これで一種目には計49人が出場できるが、更に7月開催の世界ジュニア大会と世界ユース大会に出場した選手や、地区大会が終了した時点で、記録が各種目6位までの選手も出場させるべきである。怪我などで一時的に不調に陥った選手も出場させるべきで、これこそ教育的配慮である。

以上の提案は、陸上競技に関するものであるが、他の競技種目も同じような現状にあるならば、同じように対応するべきである。最後に余計なことを言わせてもらえば、年間120万人出生世代と、年間200万人出生世代とが、同じ規模の高校総体を開催する必要はないと思うのだ。