中国の経済統計に“透明性" は期待出来るのか

中国政府は昨日、7〜9月期の国内総生産(GDP)の速報値を、前年同期比6・9%増と発表した。しかしながら、以前から「中国の経済統計は信用出来ない」と書いてきた筆者としては、この数字を無視するわけにはいかない。

何故なら、これだけ世界各国が、中国経済の減速の影響を受けて、経済的苦境に陥っているのに、今年1〜9月期のGDP成長率は6・9%増という、信じられない数字を発表している。更に、世界でGDPが二番目の大国が、不信感を持たれる数字を発表することは許されないと思ったからだ。

中国政府の年間目標は“7・0%"の達成である。つまり、中国政府は、この目標数字を意識して発表しているのではないか、と疑っているのだ。ちなみに、昨年の数字は“7・3%"であった。

今日の日本経済新聞も「統計の信頼性疑念も」との見出しで、次のように報道している。

「市場では中国の国内総生産(GDP)統計は実体経済とかけ離れ、信憑性に欠けるとの疑念が根強い。…鉄道貨物輸送量と電気消費量、銀行貸し出しの伸びの3指数を重視して、…日本経済研究センターの試算では、中国の今年4〜6月の実質成長率は5%前後、7〜9月も実際は5%前後だったと見る専門家は少なくない。…景気対策で最後に頼りになる官庁はどこか。『財政省でも中国人民銀行(中央銀行)でもなく、数字をいじれる国家統計局だ』。中国国内でさえ、こんな『笑い話』が流布している」

笑い話しではない。筆者も、多くの友人たちも、退職後に金融商品投資信託」を購入した。ところが、昨春以降、中国経済の減速の影響で、ブラジル、オーストラリア、トルコなどの投資信託は、基準価格も配当金も3割、4割下落している。

要するに、現役の経済人は、中国経済の減速を肌で感じていると思うが、退職者も肌で感じている。中国政府発表の経済統計は、既に世界中から疑惑の目で見られているが、何時になったら“透明性"が確保されるのか。世界は、中国の“透明性"に注目している。