沖縄県の“農地改革" はどうなっているのか?

6月20日付けで、「沖縄県は、日本一の格差社会である。年収300万円未満の家計は50.14%で日本一悪く、所得が1000万円を超える割合が10.2%で、地方都市では最も金持ちが多い」と紹介した。このような沖縄県の現状を知った中で、最近、またまた気になる新聞記事をネットで読んだ。6月27日付けの「沖縄タイムス」である。

「沖縄防衛局が発表した2011年度の軍用地料の支払額別所有者数(米軍・自衛隊基地)によると、地主4万3025人のうち100万円未満の地主が全体の54・2%に当たる2万3339人で最も多い。次いで100万円以上〜200万円未満が8969人で20・8%を占め、200万円未満の割合が75%にのぼった。500万円以上は3378人で7・9%だった。軍用地料は国が市町村含む地主と賃貸借契約を結び、米軍と自衛隊に土地を提供する。地主に支払われる賃貸料は自衛隊基地を含み11年度は918億円だった。」

更に気になる記事があった。週刊誌「AERA」(6月29日号)で、一部を引用する。

○沖縄には、そこに暮らす人と人を隔てる見えない透明の「壁」がある。それは「軍用地主」か、否かという区別であり、言葉を変えると「持つ者と持たざる者」の区別と言うこともできる。

○沖縄の軍用地主の特殊性は、約4万人という数の多さにある。単純計算だが、家族4人で16万人、その近い親族も入れれば、人口約140万の沖縄で20万とか30万の単位で「地主本人か家族や親族に軍用地主がいる人々」が存在することになる。

○米海兵隊のキャンプ瑞慶覧の軍用地主は、…毎年、1平方メートル当たり2000円ほどの賃料収入がある。○返還が決まっている普天間飛行場で見れば、40年前の総賃料は年間10億円だったが、現在は70億円を超える。

以上の記事を紹介した理由は、防衛省予算に計上されている「在日米軍駐留経費負担」、いわゆる“思いやり予算"が、ストレートで沖縄県格差社会をもたらしているのではないか、という疑いである。そして、沖縄県は、未だに“農地改革"が実施されず、戦前と同じような大地主制度が存在しているのではないか、という疑いである。

日本本土では、戦後、不在地主の全貸付地、在村地主の貸付地のうち1町歩(北海道では4町歩)を超える分は、国家が強制的に買い上げ、小作人に優先的に安く売り渡す“農地改革"が実施された。ところが、沖縄県では、米軍の占領下に置かれたことで、戦前の土地所有がそのまま認められているのではないか、と疑ったのだ。

要するに、軍用地料で年収500万円以上が3378人存在するということは、中には800万円以上、いや1000万円以上の年収を得ている人たちがいるのではないか、と推測した。推測が正しければ、今からでも遅くはない、戦前から沖縄県に居住している子孫に対して、土地を安く売り渡すべきだ。つまり、遅過ぎた“農地改革"を実施することで、日本一の格差社会から脱出できると考えたのだ。