伊勢志摩サミットと警察庁人事

安倍首相は5日、来年に日本で開かれる主要国首脳会議(サミット)を三重県志摩市で開催すると発表した。志摩市に決めた背景は、日本の伝統や文化を重んじる首相の意向のほか、会場予定のホテルが島にあり警備しやすいことがあるようだ。

そこで、思い出すことがある。今から約16年前のことであるが、2000年夏の「九州・沖縄サミット」の1年前に沖縄県警本部長が代わった。そのころ、我が輩の元上司(警察キャリア)が、管区警察局長で退職したので、昔の部下などが集まり、都内で退職祝いを行った。

その際、我が輩が元上司に対して、「今度、沖縄県警本部長が代わりましたが、どのような人物ですか」と尋ねたところ、元上司は多少考えた後に「腹を切れる男だ」と答えた。我が輩が怪訝な顔をしたところ、元上司は「つまり、サミット警備で問題を起こしたら、自ら辞職する人物」と説明した。

その後、この沖縄県警本部長は、警視総監、内閣危機管理監と、順調に出世している。というわけで、来年夏の「伊勢志摩サミット」に対しても、将来の有力な警視総監候補が、三重県警本部長に就任することになる。

我が輩が云いたいのは、現在でも外交、国防、治安、情報など、国家の重要な組織幹部に就任する人物は、やはり最後は“職務に命を捧げられる人物"が選任されていることだ。しかしながら、このような人物は、だんだん少なくなってきた感じを受ける。だからこそ、志のある人物は、組織の中で目立つのではないか。

さて今月26日、沖縄県では、終戦当時の県知事・島田叡、警察部長・荒井退造などの旧沖縄県庁殉職者を顕彰する式典が開催される。終戦から既に70年経っているにも関わらず、今日でも島田叡と荒井退造の二人を顕彰する行事が開催されるのだ。言い換えれば、まさに“職務に命を捧げた人物"であったからである。