JR北海道の経営改善に北海道開発費を当てよ!

3月14日、長野〜金沢間の北陸新幹線開業、更に宇都宮・高崎・常磐各線と東海道線を直通運転する「上野東京ライン」開業で、北陸や首都圏は沸き立つている。そうした中で、JR北海道の現状は、どうなっているのか。未だに、自立的な経営改善の見通しが聞こえて来ない。

例えば、JR北海道にとって、重要な路線である札幌〜釧路間。3月29日、道東自動車道白糠インターチェンジまで開通し、それに伴って札幌〜釧路間の高速バスが1日2往復増え最大9往復になるという。所要時間は、JRは約4時間30分、高速バスは約5時間30分。運賃は、高速バスがJRの特急自由席より片道3000円程度安いとのこと。

これでは、ますますJRからの客離れを招き、経営を揺るがす。そして最後は、国から支援を受けるという、毎度のパターンに陥る。つまり、公共事業でどんどん高速道路を建設し、バスや乗用車での時間短縮に貢献する一方で、JRは資金不足で時間短縮のためのルート変更などの工事が出来ない。因って、いつまで経っても、JR北海道の自立的経営は実現しない。

だから我が輩は、以前からJRのルート変更などの工事には、国から毎年5000億円以上受け取っている北海道開発費を投入すべきと訴えている。差し当たり、池田〜釧路間のルート変更の工事を提案したい。何せ、この区間の線形が悪過ぎるので、ますます高速バスとの時間差がなくなっているからだ。

また、この区間の沖合の千島海溝は、500年間隔で巨大地震を起こしており、政府も地震津波対策の必要性を指摘している。つまり、津波が最大30㍍を超えることが予想されているので、いずれは線路を内陸側に敷くしかない区間なのだ。新路線が完成すれば、少なくとも30分以上の時間短縮は出来るはずだ。

最近、「北海道地図の中の鉄路ーJR北海道全線をゆく、各駅停車の旅」(著者=掘淳一、定価=6000円)を読んだ。その中に、池田から釧路までの建設の経緯が書かれていた。

「(池田駅から)当初は線路を、十勝川河口を経て海岸沿いに敷くつもりだったのを、新吉野から反転して浦幌川の谷に入ることに変更したのだ」

要するに、日本の鉄道は、直線的に線路を敷くシベリア鉄道と同じ思想で建設されていないので、線路のルートが大きく蛇行している。そのため、直線的に建設されている高速道路に比べ、時間的な有利さがどんどん小さくなっている。だから、100年前に敷かれた鉄道ルートを変更したいのだ。

JR北海道の経営を追い詰めことは、北海道の発展に繋がらない。国も地元住民も、JRが北海道から無くなることは望んでいないハズだ。それならば、国からの血税をJRの経営改善のために投入するべきである。