北海道の自立的発展に期待して一言

毎晩、ネットで北海道のニュースをチェックしているが、昨日はオホーツク地方(紋別市)の日刊紙「北海民友新聞」の記事に目が止まった。その記事は、フリーキャスターで、現在は北大創成研究機構客員教授佐藤のりゆき氏の講演内容である。

佐藤氏は、講演の中で、

○道政のあり方にも言及。「かつて東京の中央官僚に『北海道についてどう思うか』と取材し、『日本にぶら下がって生きている』『いつまで国の荷物でいる気か、迷惑だ』と言われ落胆し、怒りを覚えた。これからの地方自治は自立が求められる時代。(国に依存する体質から脱却する)独立の気概を持ち、確かな産業・福祉のプランを企画して実現していく自立性が必要だ」

ーと述べとの事。全く以て、的確な指摘である。やはり、北海道の中にも気がついている人がいるのだ。

実は我が輩、30年前の東京勤務時代、担当が違う上司(約50歳)から「君はいつも、北海道、北海道というが、北海道の現状を知っているのか。北海道は、税金で維持されており、カネが掛かりる地域。だから、ソ連邦にくれても良い」との暴言を吐いた。当然のことに、我が輩は「何にを言っているのですか」と反発し、その後は余り話しをしなくなった。

しかし、我が輩も色々と北海道の実情を知るようになると、あの暴言は一理あると感じ始めた。要するに、北海道は内地に比べると、公共事業地方交付税などの税金投入が2倍くらい多い。その背景には、旧社会党が強い北海道では、中央からの配分を如何に取るかの意識が強く、新たなものを自ら生み出して行こうとする力が弱い。更に、保守系政治家にも、中央からカネを引っ張ってきたことを自慢する風潮がある。このような政治家、国家財政の責任官庁である財務省にとって、全く以て“迷惑な政治家"であった。

それでは、どのような方向で、税金を投入すれば良いのか。我が輩なりに解釈すれば、地元住民のためにだけではなく、他府県の人たちにも恩恵をもたらす支出にして欲しい。もう少し具体的に言えば、地元住民の“生活維持重視"ではなく、ということである。

地方経済の理想とは、自立した輸出産業(オホーツク地方では、漁業・農業の加工品や楽器工場などか)が存在することである。次いで、国内消費向けの産業があることである。このほか、外国人や国内から人を呼べる施設(観光地やスポーツ合宿地などか)も該当すると思う。

以上のことを考えると、各自治体は、過去にまで逆戻って、どのくらい民間会社の商品開発支援に努力してきたのか。と同時に、地方住民は、それを目指すような首長を選出してきたのか、ということである。やはり、挑戦的な行政を進めるのは優秀な人材だし、それを支えるのは地元住民である。

将来、今の北海道の現状に疑問を持つて、志しの高い人材が出てくることを期待しているが、その前に教育を充実させなければならない。志しの高い人間を育てることこそ、北海道の自立に繋がると考えるからだ。いずれかの日、中央から税金を引っ張ってきて偉ぶる人物ではなく、逆に多額の税金を支払う人物が尊敬される地域になって欲しいと願うものである。