香港市民が中国共産党と闘う歌「民衆の歌」

吾輩は、以前から中国共産党独裁体制は、いずれ崩壊すると記してきた。そういう中で、香港では中国国歌への侮辱行為を禁じる「国歌条例案」の本格審議が5月27日、立法会(議会)で始まった。また、中国・北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)では、香港での反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制度」の導入を28日に採択するという。それを受けて、抗議活動に集まった香港市民らは「民衆の歌」を歌って、中国共産党という全体主義と闘っている。

ということで、またまた音楽の素養のない吾輩であるが、この革命歌「民衆の歌」に関心を持ち、ネットで調べてみた。そして、歌声を聴いて、まさに中国共産党独裁体制と闘うにはふさわしい歌と感じた。さらに、調べてみると、既に昨年10月2日付け「毎日新聞」の“余録"で、この歌を取り上げていた。

ー香港での若者らのデモや抗議行動でよく歌われるのは…ー

香港での若者らのデモや抗議行動でよく歌われるのはミュージカル「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」である。「民衆の歌が聞こえるか 怒れる人々の歌だ もう奴隷にはならないぞという民衆の歌だ…」

劇中では仏七月王政打倒に立ち上がった学生や若者たちが歌う。それが2014年の香港の雨傘運動ではテーマソングのようになり、今回も空港占拠の際などに大合唱となった。いわば21世紀の革命歌となったミュージカル曲である。

「立て、奴隷になることを望まぬ人々よ」。同じく奴隷になるのを拒む歌だが、こちらは中国国歌「義勇軍行進曲」の出だしである。香港ではこの国歌への侮辱を罰する条例案が作られたが、今回の抗議行動により審議が延期された。

新中国成立時には暫定国歌で、後に定着した義勇軍行進曲という。歌詞が示すように抗日戦と内戦を経た革命国家として発足した中国は、文化大革命などの曲折を経験した後に改革・開放による爆発的経済発展の坂道を駆け上がった。

「どんな勢力も中国人民の歩みを妨げられない」とは建国70年の習近平主席の演説だった。団結と前進という国歌そのままの愛国主義の強調は、やはり米国との貿易戦争などによる経済減速や香港の抗議行動が念頭にあってのことか。

今や経済や技術で米国の覇権を脅かす中国である。だが国際秩序を安全保障と経済、理念において支える責任ある大国へと脱皮できるのかどうか。世界の命運を左右するこの問いを突きつける香港の歌声だ 。

以上のような記事を読むと、ますますこの歌に関心を持ってしまう。

ところで、最近購入した古本、原作者・井沢元彦のマンガ「そして中国の崩壊が始まる」(2006年8月10日第1刷発行)にも、中国共産党独裁体制が崩壊するシナリオを3つ挙げている。ちょっと古い分析であるが、紹介しよう。

中国共産党の改革派や軍部の起こすクーデター…農民問題の無策や経済政策の破綻によって現体制に不満を持つ反体制派が政権掌握を狙って立ち上がる。しかし、この場合は結局共産党政権が一時的に再生するだけで根本的な問題解決にならない。

②農民が現体制に反乱を起こす…農民の不満は極限に達している中国共産党はいまや最大の「悪代官」だ。ただ「一揆」が成功するにはどれだけ農民内で団結できるかにかかっている。統合の原理はあるのか?リーダーはいるのか?

③海外の中国人の蜂起…中国各地において自由で民主主義的な社会を求める人々が海外在住の中国人たちと歩調をあわせいっせいに中国共産党への反旗をひるがえす。ちょうど、ロシアでエリツィンがやったようにね。

というわけで、中国共産党独裁体制の崩壊に関しては、中国問題の専門家なども予想しているが、基本的な条件や経緯はほとんど同じである。つまり、都市部の労働者は地方の農民出身者が多いことから、中国では農民の動向は無視できないのだ。

そこで問題は、いつ崩壊するかである。どうであろう、5年後の25年。その根拠は、ソ連共産党書記長・ゴルバチョフが「最もつらい試練」という1986年のチェルノブイリ原発事故の5年後、旧ソ連邦が崩壊した。そこには、同じような“隠蔽体質"である中国共産党体制も、新型コロナウイルスの感染拡大を隠蔽したことで、5年後の25年に崩壊すると予想する。報道によると、米国の死者は27日夜(日本時間28日朝)に10万人を超え、世界全体では27日現在で約569万人が感染、約35万5千人が死亡し、まさに米国を始め、世界を敵にしてしまった。

いずれにしても、今年は前世紀の89年以来の激変の年になる可能性が出てきた以上、ますます米中対立から目が離せなくなった。そうそう、ネットではいろんな人たちが歌っている「民衆の歌」を聴いてみて下さい。