ロシアの「歴史歪曲」を許さない欧米諸国

ロシアは5月9日、旧ソ連の対ドイツ戦勝75周年の式典を開き、ロシア軍機による航空パレードを全国47都市で行った。一方の欧米諸国は、第2次世界大戦に対する見方が、ロシアと全く違うという観点からの「共同声明」を発表した。そのあたりを、5月8日付け「時事通信」から紹介する。

ー米と中東欧諸国、ロシアによる歴史「歪曲」を非難 戦後75年を控えー

【AFP=時事】マイク・ポンペオ米国務長官北大西洋条約機構(NATO)に加盟する中東欧の外相らは7日、第2次世界大戦の終結から75年を迎えるに当たり、ロシアによる「歴史を歪曲しようとする試みに遺憾の意」を表す共同声明を発表して同国を非難した。

同長官とブルガリアチェコエストニアハンガリーラトビアリトアニアポーランドルーマニアスロバキアの外相による共同声明は戦争による犠牲者と「ナチス・ドイツを敗北させるために戦った全ての兵士ら」を顕彰するために発表されたもの。

だが各国はこの機会に、旧ソ連が東欧諸国に押し付けた共産主義の統治により、「1945年の5月、欧州の全域に自由がもたらされはしなかった」との見解を改めて示した。

同長官との9か国の外相らは、「かつてバルト三国は、ソ連に違法に占領され併合された。影響下に置いた他の国々に対する鉄の支配は、圧倒的な軍事力、抑圧、イデオロギー統制を用いるソ連によって遂行された」と主張し、「ソ連が第2次世界大戦と、戦争直後に生じた欧州の分断につながる歴史的な出来事を改ざんすることは、歴史を歪曲する遺憾な試みだ」と述べた。

ウラジーミル・プーチン大統領やロシアの政府高官らは最近、ポーランドに戦争勃発の部分的な責任があると非難したが、ポーランド政府と西側の同盟諸国はこれを誤った修正主義の主張だとして一蹴していた。

ロシア政府はこれまでも複数回にわたり、ソ連ナチス・ドイツが欧州を分割すべく、第2次世界大戦勃発前の1939年に密かに結んだ協定を過小評価しようと試みてきた。

ロシア政府はまた、エストニアラトビアリトアニアのバルト3国を1944年から45年にかけて併合したことを占領とは認めておらず、謝罪や賠償もこれまで一切していない。

以前から欧米諸国の歴史観は、ロシアと違うことを紹介してきたが、今回改めて米国と中東欧諸国の対ロシア感を紹介した。その意味するところは、我が国の最も重要な外交懸案・北方領土交渉は、多少なりとも風が我が国に吹くまで待つべきと言ってきたが、その風が確実に我が国に向かって吹いてきたからだ。

プーチンは本来、対ドイツ戦勝75周年の式典には、中国やフランスなどの各国の首脳を招待して、モスクワの「赤の広場」で軍事パレードを行い、本人の威光を内外に示すつもりだった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により、航空パレード以外の大規模イベントは延期された。それに対して、安倍首相はこのイベントの欠席をはっきりと示さなかったので、ある面では新型コロナに救われたと言える。なんと、愚かな宰相!

そもそもプーチンは今年4月、従来9月2日としていた第2次世界大戦終結日を、旧ソ連時代の「対日戦勝記念日」である9月3日に変更する法律に署名した。北方領土が「第2次大戦の結果、ロシア領になった」との主張を改めてアピールする狙いがあるからだ。そのような状況下であるにも関わらず、きっぱりと意思表示を示さなかった安倍首相。いってみれば、イベントに呼ばれること事態が噴飯物であるのだ!

要するに、プーチンは「安倍は扱いやすい」と見ている。それは、情報機関職員の基本的な“人間観察"である。その点、安倍政権の人たちは全く理解していない。だから、元国家安全保障局長・谷内正太郎や元外務省事務次官・齋木昭隆などの骨のある優秀な外務官僚は離れて行った。一日も早く、安倍政権が終わることを願っています。

最後は、一昨年11月に送付されてきた後輩のメールを転載します。

ーアホの安倍晋三も今井尚哉(首相秘書官)や北村滋(内閣情報官)ら取り巻き連中も対ロシア外交にはド素人集団。「官邸主導」「地球儀俯瞰外交」とやらのお粗末な体たらくに、舞台の隅に追いやられた外務省ロシアンスクールの面々は白けきっているでしょうね。対するプーチンは元KGB幹部で諜報謀略のプロ中のプロ。「チームアベ」なんぞ赤子の手を捻るようなものでしょうね。まあ今回も、これまで通り「領土」は戻らずカネをふんだくられるだけでしょう。ー