JR北海道の経営改善に必要な鉄路変更

今月21日に発売された月刊誌「鉄道ジャーナル」(4月号)は、北海道特集ということで購入した。この月刊誌は、3年に一度くらいは北海道を特集しているので、その時には必ず買うようにしているが、今回は期待はずれの内容であった。

期待はずれの理由は、現在のJR北海道の置かれている立場を考えると、やはり経営状況や改善点、そして対応策などを鉄道専門誌の視点で示してほしかった。また、鉄道本は本来、面白く、楽しく、夢があるもので、その点が欠けていた。

ということで、鉄道ジャーナリストのような見事な文章力で情景を伝えられないが、吾輩なりに“ポジティブ・シンキング(前向き思考)"に伝えたい。そこで、以前にも指摘(2017年6月22日付けの「JR北海道の“夢ある"将来ビジョン」)したが、改めて重要な課題であるので、存続の危機にある石北本線、宗谷本線、根室本線について提案したい。

1・石北本線(上川駅〜白滝駅間)

月刊誌を読んでいて、一番驚いた一節は「中越信号場を出ても速度は上がらず、20㎞/hをキープして延々と続く25‰の急勾配を登る」という部分である。この一節は、上川駅から「石北トンネル」(長さ4329㍍、昭和7年開通)に向かう場面であるが、速度が“20㌔"という指摘には驚いた。

というのは、吾輩も以前この区間を書く際、あまりにも低速であるので「何キロと書くべきか」で大いに悩んだからだ。過去の文章を見ると「上下線とも時速30〜40㌔くらいの速さで石北トンネルに向かって行く」旨書いていたが、本当は「時速20〜30㌔」と書きたかった。しかし、その数字を書くと、皆から「嘘だろう」と思われて信用をなくすと考え、敢えて数字を多くした。だから、驚くとともに“やっぱり"ということになった。

この区間が、低速で運転されていることは、乗車した者なら皆知っていることだ。吾輩も若いころに乗車したが、あまりにも低速であるので「走った方が速い」と感じたし、トンネルに入る瞬間がよく見えるのだ。それほどに低速であるが、まさか“20㌔"とは思わなかった。

さらに、この区間では、毎年秋に笑えない事案が起きているので、昨年10月19日付け「北海道新聞」で紹介する。

石北線で車輪空転多発 秋に集中、JRは対策苦慮

【上川、遠軽】上川町とオホーツク管内遠軽町のJR石北線上川駅〜白滝駅間(37・3キロ)で9月以降、車輪の空転が原因の列車の遅れや運休が相次いでいる。レールに付いた落ち葉などが原因とみられ、10月17日までに4件発生した。JR北海道旭川支社は「対策の決め手がない」と苦慮している。

同支社によると、同区間では15日午後8時ごろ、網走発札幌行きの特急列車が車輪の空転で進めなくトラブルが発生。この列車と対向の札幌発網走行きの特急が遅れ、約100人に影響が出た。こうしたトラブルは毎年秋に集中し、昨年も9、10月に4件発生している。ー

要するに、時速20㌔という低速なので、すぐに落ち葉などで空転すると、勾配が急な鉄路を登れなくなるのだ。その後、列車はそれぞれの出発駅である上川駅や遠軽駅の戻る。その結果、乗客の信頼を失い、乗客離れを起こすという、笑うに笑えない現実がある。

ということで、この区間の改良には、絶対に新「石北トンネル」の建設が不可欠なのだ。それも約15㌔という長いトンネルであれば、少なくとも20分の時間短縮は実現する。

2.根室本線(池田駅〜白糠駅間)

この区間は、以前に“線形の悪さ"を指摘した区間である。そこで、池田駅を少し北方に移し、そこから白糠駅までの山間部を直接的に鉄路を建設する。当然のごとく、鉄路を外れる町村は反対するが、鉄道の“利点"を伝えて納得させるべきである。

さらに、この区間は海岸線を走る区間が長いので、近い将来予想される大津波が押し寄せてきた場所、間違いなく長期間不通になる。その大津波に関しては、政府は17年12月19日、千島海溝沿いで「マグニチュード8・8以上の海溝型地震が30年以内に発生する確率は7〜40%」と発表している。そのような長期評価がある以上、それに対応する方策を今から実施するべきだ。つまり、この区間が山間部に経路が変わっていれば、大規模災害地・釧路市に対する支援策を鉄路で実施できるし、復興の速度も早まるハズだ。

ちなみに昨年5月末、釧路市の幣舞橋付近の「フィッシャーマンズワーフ」で飲食した際、カウンター越しに女性店員(40歳前後)と次のような対話をした。

女「そろそろ釧路を離れようと考えている」

吾輩「近いうちに、大津波が押し寄せてくるしね」

女「そう、それも理由にある」

吾輩「釧路市民は皆、大津波のこと知っているのか」

女「当然、知っています。皆しゃべっている」

吾輩も以前、大津波を警告する文章(14年7月25日付け「釧路市に所在する国の行政機関は帯広市に移転すべき!」)を作成したが、今や釧路市民皆が警戒しているというのだ。

3.宗谷本線(音威子府駅幌延駅間)

この区間も、以前に“線形が悪い"と指摘した区間である。ここも途中の町村が反対すると思うが、稚内市をこれ以上過疎地にしないため、どうしても鉄道のスピードアップが必要であることを伝えるべきだ。

以前にも紹介したが、名寄から稚内に向かう列車が、途中2カ所で北に向かっているにも関わらず、南に進む鉄路があるという。つまり、それくらい蛇行する経路であるので、こんなことが起きるというのだ。いつまで、大正時代(大正11年開通)に建設された鉄路を走らせるのか、といいたいのだ。これでは、ますます高規格道路を走る乗用車やバスに太刀打ちできないではないか、と訴えたい。

以上、3区間の現状を紹介するとともに、改良点も指摘した。もしも、吾輩の提案が実現したならば、間違いなくどの区間も30分近い時間短縮が実現する。もちろん工事費は、以前から主張している通り「北海道開発費」を投入する。政府とJR北海道が、今後とも札幌〜網走、釧路、稚内間の3線区は維持したいと表面した以上、早期に公共事業として新路線を建設するべきである。あとから見誤って悔やんでも遅いのだ。