大相撲の番付編成にはコンピューターの活用を

昨日の「朝日新聞」に、大相撲の番付編成に関して興味深い記事が掲載された。見出しは「番付は『生き物』異例の4小結ー予想外の結果 本人もびっくり」というものである。

令和元年納めの九州場所で、小結が過去最多タイの4人となった。なぜ、珍しい番付表はできたのか。そもそも番付はどのように決められているのか。

「僕の予想は(前頭)筆頭だった。(小結)上がれてよかったです」。新三役が頭になかった様子の朝乃山は、先月28日の昇進会見で笑顔を見せた。隣の師匠、高砂親方(元大関朝潮)も「びっくりした」。通常2枠とされる小結の「4枠目」に入ったからだ。直近の4小結は2006年九州場所(稀勢の里黒海安美錦露鵬)で、以降は2人が続けていた。

地位の上げ下げを決めるのは日本相撲協会審判部の親方衆。紋付きはかま姿で土俵下に座り、勝負を見守っている、あの人たちだ。

番付編成要領には「勝ち星により協議の上、決定する」とあるだけで、誰が上がって誰が下がるかは、その時々の審判部によって判断基準がまちまち。だから、番付は「生き物」と言われる。

三役以上をのぞき、幕内と十両の番付は基本的に、勝ち越し一つにつき1枚上がる(負け越し一つにつき1枚下がる)と考える。東前頭5枚目の力士Aが8勝7敗なら「東前頭4枚目」が目安。東7枚目のBが9勝6敗、東3枚目Cが7勝8敗なら3人が「4枚目」で並ぶ。その場合、誰が上かを比較する。慣例では「上がり優先」で勝ち越し数の多い方が有利。対戦した相手の強弱などで逆転要素はあるが、数字だけ見ればBが優先される。

ただ上位から落ちてくる力士がいなければ、勝ち越しても留め置かれる場合がある。逆に自分より上の力士が崩れれば勝ち越し数以上に番付を上げることも。先場所、西6枚目で8勝(5敗2休)だった妙義龍は九州場所で東2枚目に上がった。

今回の4小結は珍しい背景の中で生まれた。秋場所は関脇、小結の計4人が全員勝ち越したが、これは前回の4小結を生み出した13年前の秋場所以来で、2000年代で4例目。誰も番付が落ちない中で、好成績を残した平幕上位の2人をどうするかが焦点だった。

東関脇の御嶽海が優勝し、貴景勝大関復帰で空いた西関脇には栃ノ心大関から落ちてきた。関脇に空きがないため、東小結で9勝した阿炎、西小結で8勝した遠藤は据え置かれた。小結にも空きはない、との考え方もできるが、いまの審判部は、ともに金星を挙げた北勝富士(東前頭筆頭で9勝)と朝乃山(西2枚目で10勝)を評価。枠を増やして昇進させるという異例の判断をした。

力士本人も読めない番付を、あれこれ予想しながら観戦するのも一興。ちなみに、朝日新聞は千秋楽翌日の紙面で前頭5枚目以上の予想番付を掲載しているが、今年、すべてを当てたことは一度もない。

以上の記事を読んで、「朝日新聞相撲協会に気を使っているなぁ」と感じた。はっきり言って、相撲協会の番付編成は、一貫性がなく、恣意的に決めていることは、相撲ファンなら誰でも知ってことである。昔「相撲友の会」(東京)では、本場所が終わると会員は番付予想比べを行ったが、参加者が最も重視した点は、審判部が興行的に“どうしたいのか"ということであった。けして、相撲協会の一貫性や公平性などは重視しなかった。だから、記事にある「番付は『生き物』と言われる」という部分には“忖度"を感じるのだ。

吾輩は相撲好きということで、小学生時代から本場所が終わると、次の場所の番付を作成して楽しんできた。そのため、10年前まで、横綱大鵬時代からの新聞切り抜き「大相撲星取表」を持っていたが、現在は最近10年間くらいの星取表を持っている。そういうわけで、もう半世紀以上も、番付を眺めているので、番付編成に関しては“綺麗事"で終わらしたくないのだ。

例えば、

朝日新聞では「上がり優先」というが、いつもそうなのか。

○最近、幕内と十両十両と幕下との入れ替えに関して、某親方の「無理して落とさない」という発言を聴いたが、いつからルールを変えたのか。

要するに、一昔前なら当然、入れ替えになった事柄が、今では無視されている場合がある。また、昔は張り出し関脇・小結がいたが、いつから張り出しを作らないようにしたのか。その理由を聴いたことがあるが、全く理由にならない理由であった。そんな重要なことを審判部の親方衆だけで決めているから、簡単に「小結4人」ということになるのだ。その意味で、番付編成には、ベテランのマスコミ関係者を加えるべきだ。

さらに言わせてもらうと、新聞に書いているが、基本的な事柄「勝ち越し一つにつき1枚上がる」というようなことを事細かく決めて、コンピューターを活用すれば、誰でも納得する矛盾の少ない番付編成ができる。但し、現在でも幕内では横綱大関との取り組み結果を考慮しているが、ここで言っているのは、これに該当しない幕内下位からの番付編成についてだ。この結果、誰でも納得する番付予想ができ、ましてや吾輩や新聞の予想が外れることは、ほとんどなくなるのだ。