一昨日、名古屋市で開かれた「第67回全日本吹奏楽コンクール全国大会」(全日本吹奏楽連盟、朝日新聞主催)の高校の部後半の演奏を、都内の映画館で鑑賞した。会場は、全国約30カ所の映画館で中継上映した「ライブビューイング」の一つで、チケット(総計3260円〈定価2600円、手数料660円〉)はネットで購入した。ライブ上映は、今回初めて実施されたが、大スクリーンの映像も音響も何ら問題はなく、演奏会場で味わうくらい素晴らしいものだった。だが、映像の動きが多く、一瞬頭がクラクラした場面があり、もう少し落ち着いた映像でもいいと感じた。
さて、ここからは音楽的素養がないので、演奏の批評ではなく、大会出場枠の不公平についてだ。その前に、トイレのために一時退席した際、会場入口で待機していたスタッフの男性(40代)との対話を紹介する。
私「吹奏楽関係者ですか」
スタッフ「いや、朝日新聞の者です」
私「私は音楽的素養がないが、1970年に初めて全国大会に行った。今回のライブ上映は、素晴らしい試みですね。でも、こんなことができるなら、もう少し早く実施して欲しかった」
スタッフ「我々も以前から計画していたが、やっと条件が整ったので実施に至った」
私「それにしても遅過ぎます。私は昨秋、全国大会の問題をネットで指摘したので、今回の試みになったのかと思った(笑)。ところで、吹奏楽コンクールのことを質問したいが、いいですか」
スタッフ「はい、吹奏楽連盟の事務所が朝日新聞本社の中にあるので、毎日のように連絡を取り合っています。ですから、答えられると思います」
スタッフ「一部ですが…」
私「コンクールの出場枠に関することで、現在の地区割りは、いつ決めたのか」
スタッフ「私が担当した時には、既に現在の地区割りになっていたのでわかりません」
私「そうでしょうね。もう60歳以上の関係者ではないとわからないですよね。要は、吹奏楽コンクールの地区割りが、高体連の陸上競技の地区割りと違うのです。高体連の陸上競技では、北信越地区には、新潟、長野、富山、石川、福井の5県が加盟しているが、吹奏楽では北陸地区には富山、石川、福井の3県しか加盟していない。それにも関わらず2校も全国大会に出場しているので、あれでは国会議員の一票の格差どころの話しではない。だから、九州の吹奏楽連盟が不満を述べるのだ」
スタッフ「私には、わからない指摘ですね」
引き続き、演奏会場と同じパンフレット(500円)を購入したので、吹奏楽コンクール参加団体数(A編成〈55人〉)と全国出場枠を紹介する。
○北海道支部⇒49・2
○東北支部⇒115・3
○東関東支部(栃木県、茨城県、千葉県、神奈川県)⇒115・3
○東京支部⇒67・3
○東海支部(愛知県、三重県、岐阜県、長野県、静岡県)⇒236・3
○関西支部(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)⇒229・3
○中国支部⇒124・3
○四国支部⇒63・2
○九州支部⇒317・3
どうですか、不公平感を感じませんか?吾輩は、怒りすら感じた。国会議員選挙の一票の格差が2倍、3倍で裁判沙汰になっているのに、それどころの話しではないからだ。つまり、九州地区は105校に1校、北陸地区は17校に1校の割合で全国大会に出場できるので、6倍以上の格差である。
そこで、吾輩が独自に、高体連陸上競技の地区割りを参考にして、出場枠を割り振ってみた。
○北海道地区⇒49・2
○東北地区⇒115・3
○北信越地区(新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県)⇒77・2
○近畿地区⇒229・4
○中国地区⇒124・3
○四国地区⇒63・2
○九州地区⇒317・4
以上、地域レベルを考慮して、出場校を2つ増やして決めた。どうですか、皆さん同意してくれますか。
実は昨年10月22日、吾輩は次のような文章を書いた。
ー吹奏楽連盟の協議会では、九州の役員から出場枠の見直しが上がっている。あらゆる高校の全国大会では、常に出場枠の問題が持ち上がる。特に、レベルの高い地域からの要望であるが、ある面当然のことである。しかしながら、高校の部活は地方の隅々まで普及させるという目的がある以上、なかなか難しい面がある。ー
だが、これほどコンクール参加団体数に差があるとは知らなかった。はっきり言って、勉強不足でした。しかし、別の角度から見ると、これほど公平性が掛けているにも関わらず、何の改善も行わない全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社は、どこかに問題を抱えているのでないか。
さらに、九州吹奏楽連盟の連絡先を調べたところ、朝日新聞社の関連ビルと思われる「福岡朝日ビル3階」に入居していた。だから、全日本吹奏楽連盟は、1939年の創立以来、朝日新聞社に全面的に依存してきたのではないか、と感じた。つまり、全日本吹奏楽連盟は、完全に朝日新聞社に頭を押さえつけれているのではないか。
吾輩は、上京した時から朝日新聞を購読しているので、全国吹奏楽コンクールのことは知っている。ところが、朝日新聞以外の新聞を購読している多くの人は、全国吹奏楽コンクールのことを全く知らない。何故なら、朝日新聞以外は全く取り上げないので、これほど素晴らしい文化を、朝日新聞を購読している人しか知らないのだ。
それを考えると、全日本吹奏楽連盟は、そろそろ朝日新聞社から離れて、独自路線を歩む時期に来ているのでないか。また、文科省に対しては、“バランス感覚"が欠如して、信頼が地に落ちた朝日新聞社に、全国吹奏楽大会の主催を任せて良いのか、と問いたい。一刻も早く、全国吹奏楽コンクールという文化を、国民の手に取り戻すべきだ。そのためには、音楽関連の企業につい期待してしまうのだ。