バスケットボール選手の年俸は高い

6月20日に行われた米プロバスケットボール協会(NBA)のドラフトで、八村塁(21、ゴンザガ大)がウィザーズから1巡目指名をうけたことで、日本のメディアはこのニュースを大きく取り上げた。だが、吾輩の受け止め方は、「バスケットボール選手は恵まれている」ということだ。その点を、これから説明したい。

報道によると、八村選手は、初年度から年俸は4億円という。それを聞いて、日本のアイスホッケー(プレイヤー6人、ベンチ入り23人)やラグビー(プレイヤー15人、ベンチ入り23人)のプロ選手のことを思った。つまり、それらの日本人選手は、多くとも年俸は三千万円程度と見ているからだ。

いずれにしても、どちらの競技も大人数で行う団体競技で、さらにコンタクト(接触プレイ)スポーツということもあり、どうしても怪我人が出る。そのため、トップリーグラグビーチームは、選手登録数は試合に出場するプレイヤーの3倍や4倍も在籍している。一方、バスケットボール(プレイヤー5人、ベンチ入り12人)は、最小限の5人で試合が終了することもあり、早くも来季のバスケットBリーグでは、1億円プレイヤーが誕生する。

ということで、朝日新聞(6月23日)は、NBAの現状を次のように報道している。

ー現在、NBAに所属するのは30チーム。プロでも、ロースターと呼ばれる選手登録は15人だけで、そのうち、実際に試合に出られるのは12人までだ。チームが抱える選手が少ないため、ドラフト制度も2巡目までしかない。30チームで2人ずつ、わずか60人しか指名されないのだ。ー

確かに、NBA選手になることは大変なことである一方、バスケは野球やサッカーに比べて、プレイヤーが少ない分年俸を高くできる。この辺のところを多少古い統計であるが、スポーツ界の2016年チーム平均年俸ランキングを紹介(17年1月12日付け「朝日新聞」)する。

(チーム、リーグ、平均年俸)

キャバリアーズ〈NBA〉…約10億400万円。

ヤンキース〈大リーグ〉…約8億9100万円。

クリッパーズ〈NBA〉…約8億8800万円。

マンチェスターU〈イングランド1部〉…約8億8400万円。

バルセロナ〈スペイン1部〉…約8億6500万円。

⑥トレイルブレーザーズ〈NBA〉…約8億5700万円。

グリズリーズ〈NBA〉…約8億4500万円。

マーベリックス〈NBA〉…約8億4300万円。

マンチェスターC〈イングランド1部〉…約8億3000万円。

⑩マジック〈NBA〉…約8億2600万円。

以上、ランキング上位10チーム中6チームをNBAが占めている。如何に、NBAの選手が恵まれていることか…。

そのほか、大リーグや欧州サッカーの年俸も高いが、こちらは選手数も多いが、試合会場が5万、6万、7万と収容人数が多い。その点、バスケやアイスホッケーの試合会場は、室内アリーナであるので、収容人数は2万人以下がほとんどである。それでも、バスケは選手が少ないから高額な年俸を支払えるが、アイスホッケーはそうはいかない。さらに、氷上競技であるので、会場の維持費も多くかかる。

ということで、如何にバスケが恵まれているのか、と同時に、如何にプロスポーツの世界は“格差社会"であるのか、ということを説明した。その意味で、今後もマイナースポーツの待遇改善を求めて、微力ながら応援していきたい。