北見市の新カーリング場建設で思考したこと

吾輩は以前から、人口規模がほぼ同じの北見市(北海道)と我孫子市(千葉県)との財政状況を通して、北海道の自治体が如何に恵まれているかを記してきた。そして、何でもかんでも公共事業を批判する左翼勢力を批判してきた。けれど、今回の北見市の新カーリング場建設ばかりは、少しばかり考えてしまった。だが、その裏には、我が町・我孫子市と比較して“羨ましい"という感情がある。

ネットで北見市の日刊紙「伝書鳩」(4月12日付け)を見たところ、「私は言いたい」のコーナーに、次のような寄稿文が掲載されていた。

〈新カーリング場は必要?〉

北見市に新カーリング場を建設するとのことですが、誰が、どんな発想のもとで建設しようとしているのか、訳がわかりません。

立派なカーリング場が同じ北見市常呂にあるのに。総事業費13億円、維持費が年間三千万円。常呂は四千万円。カーリング場の維持費だけで七千万円もの経費がかかるのです。しかもこれから建設するという北見自治区カーリング場は3レーンのみで、観客席もないとのことです。そんな中途半端な建物をどんな経緯で誰が決めたのか、市民には何の説明もなく密室で決められました。市民を無視した、このような暴挙が行われていいのでしょうか。どうしても建設したいのなら、賛成する市長や市議会の皆さんの方々で資金提供して建設してください。北見市に2つもカーリング場はいらないと思います。(北見在住の80歳の爺より)

ある面、このような声が出ることは当然のことである。

現在の北見市は“合併都市"であるので、以前から北見市には民間施設の「河西建設カーリングホール」(2シート)と、旧常呂町の「常呂町カーリングホール」(平成25年10月完成、競技シート数6シート)と2カ所のカーリング場がある。ところが、「河西カーリングホール」は、利用期間が冬期間のみであるし、老朽化などの課題があり、市内に新たなカーリング場整備を求める声が強くなった。そのため、平成20年10月共用開始を目指して、新たなカーリング場を建設する話しが持ち上がった。

実は吾輩、昨年10月中旬に「常呂カーリング場」を見学して来た。それはそれは立派な施設で、あらゆる国際大会に対応でき、見学した日が日曜日であったためか、全てのレーンで試合が行われていた。

ということで、北見市としては、平昌五輪カーリング女子の銅メダル獲得で注目が集まる中で、当然のこととして“町おこし"や、交流人口増加の起爆剤として活用することは理解できる。その意味では、一概に無駄な公共事業とは言えないが、やはり“羨ましい"という感情が出てしまう。

では、その“羨ましい"という背景を説明しよう。改めて北見市我孫子市の平成30年度一般会計予算を簡単に説明する。最初に、北見市の歳入・歳出の総額は740億円(地方交付税192億円)で、歳出の土木費は82億円(公共施設整備費などの投資的経費は130億円)。一方の我孫子市は歳入・歳出の総額は382億円(地方交付税29億6千万円)で、歳出の土木費は39億5千万円である。つまり、圧倒的に北見市の方が、投資的予算額が多いのだ。

そのため、我孫子市では、市民が熱望している「市民会館」(平成18年度末に閉鎖)が、依然として建設する見込みが経っていない。さらに、我孫子市の知識人有志が「郷土資料館」の設立を要請しているが、当然ながら建設の見通しは暗い。つまり、無い袖は振れないというわけで、今後10年経って一つくらいは願いが叶うかという現状である。おそらく、北見市であれば、このような重要公共施設であれば、既に建設できたハズだ。だから、吾輩は“羨ましい"と言っているのだ。

改めて記すが、一人当たりの地方交付税は、オホーツク管内は32万円、我孫子市は2万円である。つまり、国はこれだけ格差を付けていることを、道民は知って欲しいのだ。