天皇陛下の「真のご学友」はテレビには出ない

今年も新年度に突入するとともに、1日には政府から新元号「令和」の発表があった。そして、吾輩の自宅には、情報誌「選択」(4月号)が配達されてきたので、参考になる記事3本を紹介することにした。

天皇が心許した「真のご学友」の死ー沈黙を貫いた記者「松尾文夫」

天皇陛下の在位も残り2カ月余となった2月末、60年来の親交を結んだご学友が亡くなった。

共同通信ワシントン支局長の松尾文夫氏(享年85)。本人は生前、決して天皇との交流を他言しなかったため、知る人ぞ知ると言うべきか。3月8日、東京・築地本願寺における盛大な葬儀で、天皇侍従長を10年間務めた元外交官の渡邉允氏は会葬者に

「今だからこそ明かすが、陛下が最も心を許した本当のご学友」

と語った。他のご学友には例のない最大級の弔辞に、破格の信頼のほどがうかがえる。天皇から遺族に特別の弔意も伝えられた。〜

1951年(昭和26)年、皇太子に旧制高校の寮生活を体験させるため、東京・目白の学習院大キャンパス内に「清明寮」(名称は小金井を継承)が新設され、寮生約30人から、さらに皇太子のルームメート数人が選ばれた。松尾氏もその一人。高校3年と大学1年の2年間、寝食を共にし、「本音で話せる友人」の契りを結んだ。

美智子さまが旅先の欧州から結婚を断る手紙を寄越した時、皇太子に「一度や二度断られたくらいで諦めてはいけません。電話で口説きなさい」と勧めたのも松尾氏だ。メディアには2年後輩の織田和雄氏が「恋の伝令役」として登場するが、文字通り電話の取り次ぎだけで、必ずしも深層を知る立場だったわけではないようだ。

松尾氏は天皇との会話については固く口を閉ざしたが、気難し屋だったわけではない。素顔はむしろ話し好きで、誰にでも公平丁寧に接し、率直な議論を好んだ。何しろ最後まで現役の外交ジャーナリストだった。亡くなったのも取材旅行中、米ニューヨーク州のカナダ国境に近いシラキュースのホテルで入浴中のことだった。ー

そういえば昔、天皇陛下の「ご学友」ということで、テレビに何回も出てきた人がいた。この記事を読むと、本当の「ご学友」はテレビに出てこないようだ。従って、これからも「ご学友」としてテレビに出る人は、本当の「ご学友」ではないと見た方が良さそうだ。

金正恩の苦悶が続く「金欠病」ー米朝協議「停滞」で漂う不穏な空気

ー昨年末、北朝鮮最高の迎接施設である百花園招待所(迎賓館)の所長が、平壌市の統一通りに近い土城市場で公開処刑になった。所長は、金正恩氏を警護する護衛司令部に所属していたが、同司令部の幹部3人も不正蓄財で同時に処刑された。高級幹部が、庶民も利用する市場で処刑されるのは極めて異例の出来事。

北朝鮮の消息筋は「それだけ正恩の怒りは大きく、当局の懸念は深刻だった」と語る。

4人の処刑理由は不正蓄財。1980年代に建設された百花園は老朽化が深刻だった。正恩氏が昨年9月、訪朝した文在寅韓国大統領に「うちの宿舎はお粗末でしょう」と語ったほどだ。

正恩氏が百花園の改築を指示したのが不正発覚の発端だったという。捜査内容は極秘とされているが、「改修が進まないことに怒った正恩氏が、所長の身辺捜査を命じた」「外貨不足のなかで、予想以上に立派な改修結果に不信感を抱いた正恩氏が捜査を命じた」などといわれる。ともかく、所長の自宅から二百万ドル(約二億二千万円)前後の外貨が見つかった。

激怒した正恩氏は、護衛司令部幹部に対する一斉捜査を指示。幹部が出勤した直後の留守宅を急襲した結果、やはり百万ドル以上の外貨が見つかった幹部3人も一緒に公開処刑したという。ー

この手の情報は、これまでにも何回も流れており、別段驚くほどのことではない。また、確実な情報でない可能性もある。しかしながら、北朝鮮情報に関しては、裏が取れたものだけを報道することになれば、北朝鮮報道は成り立たない。なぜなら、各国の情報機関も、膨大なカネを使って情報収集しているが、確かな情報が取れずに苦労しているからだ。従って、メディアは、結果的に間違った情報であっても、何も恥じることはないのだ。そして、最近でも謎の反北朝鮮組織「自由朝鮮」の活発な動き、さらに「4・15ミサイル発射」の噂など、目が離せない情報が飛び交っている。

③「一帯一路」で青ざめる習近平ー親中諸国の離反と「債務帳消し」の悪夢

ー一帯一路問題に詳しい中国人記者によれば、中国が最も怖れるのは、ベネズエラ政権交代後、欧米などの支持を受け、債務不履行を宣言すること。そうなれば、中国のこれまでの投資、債務は全て消えるだけでなく、他国も追随するデフォルトのドミノ倒しが起きかねない。米シンクタンクの調べによれば、現在、パキスタンキルギスラオスなど8カ国が一帯一路で生じた債務への返済が困難な状況にある。一帯一路が破綻すれば、習近平氏の威信は失墜する。この構想に消極的な李克強首相周辺の影響力が高まり、中国の政局流動化に直結するだろう。ー

まさか、ベネズエラ政権交代が、習近平政権に大きな影響を与えるとは考えていなかった。まさに、世界は小さくなり、お互いが影響する関係になっている。従って、世界の動きから目を離してはならいのだ。