大相撲の次の覇者は誰だ!

大相撲初場所では、横綱稀勢の里が引退し、大横綱白鵬の衰えが見えてきたことで、大きく世代交代が起きる可能性が増してきた。そこで、我が輩も相撲好きとして、半世紀以上にわたってテレビ観戦してきた以上、過去の世代交代を押さえて、次の横綱を占ってみたい。

まずは、過去の世代交代であるが、最も印象に残る時代は、栃若時代から柏鵬時代に変わった時である。その当時、主役の横綱栃錦大正14年、同じく横綱若乃花は昭和3年生まれで、次の覇者である柏戸昭和13年大鵬昭和15年生まれで、その年齢差は十年以上あった。ある面、必然的な世代交代であった。

さらに、横綱北の湖(昭和28年生)と千代の富士(昭和30年生)の世代交代も劇的であった。しかし、二人の年齢差は2つしかないが、全盛期が十年くらいズレていたのだ。つまり、北の湖のピークは25歳前後で、千代の富士は三十代前半であったことから実現した“覇者交代"であった。

でも、最も劇的な“覇者交代"は、戦前の関脇・双葉山(明治45年生)と横綱玉錦(明治36年生)との取り組みである。昭和11年5月、当時西関脇の双葉山は、横綱玉錦を初めて破り優勝、これが“覇者交代"の一番として今でも語り継がれている。当時は、年二場所制であったことも幸いして、その後一度も玉錦に敗れなかったことも、劇的な主役交代として言い伝えられている。これほど劇的で、ドラマチックな“覇者交代"は、これからもなかなかお目にかかれないと思う。

要するに、今回の世代交代には、過去のような“劇的"な取り組みが見られるかが最大のポイントだ。週刊誌などでは、貴景勝と御嶽海を次の大関横綱候補に上げているが、果たしてどうか。確かに、今のところ、両力士は大関に一番近いポジションにおり、実力もそれなりにあるので、大関には昇進するであろう。しかしながら、横綱に昇進して、さらに大相撲界をリードする力士かというと、疑問符である。

その理由は、横綱は組んでも、突き押しでも、それなりに対応出来なければ、安定的な成績を修められない。その点で、貴景勝は典型的な押し相撲で、体型も完全なあんこ型である。このような力士は、どうしても馬力が求められ、ピークも二十代前半というのがこれまでの経験則である。その点に関しては、本人も“自覚"しているようで、今まさに精進中という感じである。また、御嶽海に関しては、貴景勝とは多少取り口が違うので、ピークは今だと思うので、早く大関を仕留めて欲しいものだ。

それでは、誰が白鵬後の大相撲をリードするのか。ネットなどを見ると、いろんな力士の名前が書き込まれているが、我が輩は、まず最初に双子の十両貴源治(21)を挙げたい。しかしながら、これまでの大横綱は、19歳か20歳で十両に昇進するが、その19歳、20歳、21歳の時に物凄い勢いで地力をつけ、物凄い早さで番付を駆け上がっている。それを考えると、19歳で十両昇進を果たしているものの、その後は停滞気味であるのだ。

そこで、もしかしたら今の幕下以下の力士の中から未来の横綱が出てくるのではないか、とも考えるのだ。例えば、まだ二十歳以下である、元中学横綱竜虎(幕下2)、元朝青龍の甥っ子の豊昇龍(幕下21)、元中学横綱の塚原(幕下39)、元横綱大鵬の孫の納谷(幕下60)などで、これから急速な勢いで上がってくる予感がする。さらに、まだまだ幕下以下に隠れた逸材が存在している予感もしている。

さて、問題は白鵬と間で“覇者交代"の取り組みが見られかということだ。白鵬が衰えてきていることを考えると、そんなに待ってはいられない。だから、一刻も早く十両・幕内に昇進して欲しいが、それに該当する力士が未だ幕下に留まっている以上、まだまだ先のようだ。早く出てこい、未来の大横綱!と叫んで、来場所を待ちたいと思う。