大坂なおみ選手の優勝で感じたこと

1月26日に、豪メルボルンで行われたテニスの全豪オープン女子シングルス決勝で、大坂なおみ選手がペトラ・クビトバ(チェコ)を下して初優勝し、優勝賞金410豪㌦(約3億2000万円)を獲得した。翌日の各紙は、当然のごとく、一面から大坂フィーバーの紙面になった。

ところが同日に、高校総体(インターハイ)のアイスホッケー決勝が行われたが、テレビ局は全く無視。同日夜にネットで調べたところ、駒大苫小牧白樺学園を下して優勝していた。翌日の新聞を見ると、例年通りの扱い。

朝日新聞

▽決勝

駒大苫小牧3(0ー1、1ー0、2ー0)1白樺学園

得点者【駒】中島2、阿部【白】金子

(駒大苫小牧は2年ぶり31度目の優勝)

〈読売新聞〉

▽決勝

駒大苫小牧(北海道)3ー1白樺学園(北海道)

(駒大苫小牧は2年ぶり31度目の優勝)

産経新聞

掲載なし。

購読している新聞には、これだけしか書かれいなかった。この実態が、五輪種目団体競技のインターハイ決勝に対する扱いなのかと、いつも思うのだ。だから、何回もアイスホッケーを応援する意味で、アイスホッケーを取り上げている。

さて、全豪のテニスに戻ると、翌日の27日には男子決勝があり、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)を下して、7度目の優勝を達成した。そして、大坂選手と同額の優勝賞金を受け取った。

要するに、スポーツ競技は、世界的に活躍しないと、マスコミは全く関心を示さない。しかしながら、これでは注目されない競技には、少ない子どもたちしか親しまず、ますます競技人口が減少し、世界で活躍する選手が出現しない。

次いで、テニス選手の男女間の実力差について記す。2年前のことか、ネットの中で、今大会優勝のジョコビッチナダルロジャー・フェデラー(スイス)、アンディ・マリー(英)の「ビッグ4」の中の一人が、セリーナ・ウィリアムズ(米)が出産後の復帰が注目されていた時に、「男子選手の中に入ると、世界ランキングが百番台の実力しかない選手の復帰には何の関心もない」と書き込んだ。これを知ったセリーナが「○○○○、変なこと言わないでよ」と書き込んだ。つまり、セリーナのような偉大な女子選手でも、男子選手の中に入ると、世界ランキングは百番台(投稿した選手は、気を使って百番台としたが、現実にはもっと下位と思考する)の選手ということだ。

今後は、男女の優勝賞金の話し。もう15年前のことか、男子の賞金獲得額が女子よりも多かった時代、ある女子選手が「優勝賞金が男女で違うのはおかしい」とクレームを付けた。それに対して、ある男子選手が「男子は試合形式が5セット、女子は3セットの違いがある。その差が優勝賞金の違いさ」と反論した。確かに、今大会で優勝を争ったジョコビッチナダルは、2012年の全豪大会決勝で、大会歴代最長の5時間53分の激闘を演じている。男子は4時間、女子は2時間半あれば試合は終了するが、4大大会の7試合で、毎試合5セットで戦うことになれば、相当体力的に厳しいことになる。

現在の優勝賞金額は、もう10年前くらいから男女同額のようだが、おそらく多くの男子選手は、相当不満を持っていると想像する。だが、世界の流れが“男女平等"ということであれば、この流れに逆らうことはなかなか難しい。

そういえば、陸上・競歩の国際大会で、男子50㌔は20年東京五輪が最後の実施となる。その背景には、女子50㌔の競歩を実施しようとしたところ、女子選手には体力的に無理ということで断念、それでは男子50㌔も実施種目から排除する動きがあった。つまり、最も歴史が長く、権威がある「陸上競技」の種目が、女子選手には無理という理由で、この世から消えて行くことは悲しいことだ。明らかに、男女間には能力(というより得意分野)、体力(筋力、走力、投力、跳躍力)などに差がある以上、男子だけ、女子だけの競技種目があっても不思議ではないと思うが…。

テニスの優勝賞金3億円で思い出した。現在、存続問題で揺れている「日本製紙クレインズ」の年間運営費は4億円くらいであるので、誰かが年間3億円負担すれば、来シーズン以降もチームを維持できる。その意味で、競技スポーツの世界では、人気競技にカネが集まり、スポーツ全体の公平性がなくなり、異常なくらい“格差社会"になった。そういう意味で、競技スポーツに対しての“愚痴"を書いてみました。